京都大学薬学部の大学院を蹴って、とある人材会社に就職する話。

1 / 2 ページ

10歳のあなたに


あなたに謝りたいことがあります


10歳のあなたは、

「京都大学に入学して科学者になる!」


校長先生の前でそう叫び、10年後の自分への手紙にも書いていましたね


ごめんなさい、科学者にも研究者にもなりません


来年から人材会社でバリバリ働きます


あなたはきっと

「どうしてー?」

と言って私を責めるでしょう


何で薬学部に入って薬の名前、薬効、副作用とか覚えたのって

せっかく今から勉強しようとしてるのにって


ごめんなさい


でも大丈夫、

4年間で覚えた薬の名前は硝酸イソソルビドと、、、ってぐらい

薬学部なのに薬に全く興味ないからほんと1個しか覚えてない


大丈夫、

この先、大学に入るまで、勉強を嫌いになることはないし、

むしろその面白さに引き込まれていくから


だから

大学4年の僕がしたちょっとおかしく、ちっぽけな、この決断を許してください



「もったいない」


大学院進学を辞退した時、

研究者にならないと言った時

みんなは驚いた顔をしてこう言った


「もったいない」と


この言葉の意味はなんだろう

せっかく勉強して薬学部入ったんだから?

専門性あるから?

お給料いいから?


大学院まで合格したのに辞退して、休学して留年までしちゃった


自分もみんなと同じように大学院に進学してからこれからの進路を決めようと思っていた


大学院の入試勉強をしている時、初めて

「なんで大学院にいくんだっけ?」

そういう問いかけを自分にした


答えが出なかった


大学院での生活のその先に、自分の夢、やりたいことがない、そう強く感じた、

それがすべてだった


虚無感に包まれた私は、教務課にかけこんだ


大学院合格の結果がでたその当日

私は、休学届を提出し、大学院進学を辞退した



「もったいない」

何回聞いただろう

全部友達から言われたんだけど


きっと自分だけがもったいないって思ったことがなくて

もちろん、薬学部としての肩書きは全く使えないけど、

自分はそんなものなくても、活躍できる自信があった

だからもったいない、なんてない、と


そもそも、そんな肩書きはきっと、


一人暮らしの部屋にある巨大シャンデリア


みたいなものだから、

なんてね


それより、

大好きな古着とか、

ほこりまみれの漫画とか、

座りすぎて色あせたイスとか、

そんなものの方がよほど大切で、失いたくない


話を戻すと、

だからむしろ、

この貴重な人生をやりたくない研究に

あと2年も費やすほうがよほどもったいないし、死にたくなる


知識とか肩書きとか、それをとったらなんにも残らない、そんなしょうもない人間にはなりたくはないし、ならない


そう決めた


よく「結果より過程が大事」

そういう言葉を耳にする

本当にそう思う

「物語のおもしろさは結末ではなくストーリーにある」

そう思う


受験勉強をしてよかったのは、「合格」って結末はもちろんだけど、

これだけ本気になれる自分を知れたこと

勉強を心の底から好きになれたこと

自分しか知らない受験勉強のストーリーが数え切れないほどある


そんなこと


誰もが悩む進路選択

自分で考えて答え出しても、いろいろ邪魔になることがある

周りの声とか、親の反対とか、漠然とした不安とか

だけど、誰のために生きてんの?って

親のため?友達のため?

自分の決断を誰かにどうこう言われる筋合いはない

だって自分の人生なんだから


でも迷う、

人と違う決断するのって怖い

著者の山口 裕生さんに人生相談を申込む

著者の山口 裕生さんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。