日本船社3社によるコンテナ船事業統合会社が設立された。それでも規模は中位。生き残っていけるのだろうか?

いよいよ日本海運の生き残りの戦いが始まる。コンテナ船事業で日本の船会社は後れを取り世界ランクで10位以内不在という体たらくであった。コンテナ事業は圧倒的に規模の経済が働く事業である。このままでは日本にコンテナ船を運航する企業がなくなってしまう。そうなればかつての海運大国ニッポンも粉みじんに吹っ飛ぶ。

そこで日本郵船、商船三井、川崎汽船の邦船3社はコンテナ事業を統合して運営することに同意。

今年5月には持ち株会社・運営会社の名称を略称がONEとなるOCEAN NETWORK EXPRESSとすることを発表。7月には会社の設立を完了、10月からの運営開始に向けて準備を進めている。

2社対等という事業形態でも主導権がどちらにあるのか分からず、責任の押し付け合いや主導権争いで大抵は上手くいかない。それが3社ともなるとその前途はますます厳しいものになると言わざるを得ない。


但し、見るべきものとしては運営会社の本社をシンガポールにしたことと、CEOを世界一のコンテナ船会社Marsk Lineに買収された世界的なコンテナ船会社P&O Nedreid出身者を充てた事。元々、日本郵船の経営委員も務めていた実力者だ。

もう一つ業界を中心に話題になっていたのが運営会社の名前だ。

かつてジャパンラインと山下新日本汽船のコンテナ部門が統合された会社の名前は日本ライナーシステムだった(後に日本郵船と合併)。今回も「日本」「ジャパン」「ニッポン」の名称が入るのではないかと言われていた。

また昔から合併に際しては合併する両社に考慮して新社名に両社の名前を入れることが頻繁に行われていた。例えば、大阪商船と三井船舶の合併で商船三井。山下汽船と新日本汽船の合併で山下新日本汽船。

流石に今回は3社の事業統合なので、郵船三井川崎とはならなかった。


但しこの事業統合をしても万全とは言いがたい。

統合後の輸送スペースは業界第6位。1位のマースクラインの4割に過ぎない。

尚且つ上位船社も買収、統合でさらなる規模の拡大を競ってる。

それ以上の懸念が従業員の融和。

日本郵船は三菱グループの発祥としてのプライドが高く社員の出身校も東大、慶応が多い。

商船三井も東大が多いがその他の国立大学、私大上位校にも採用枠がある様に見える。日本郵船に対するライバル意識は明治時代の郵船対三井船舶の競争に起源を持ち根強い。

川崎汽船は出身校がより裾野が広くなっている。

各社採用数が30名位と比較的少ないので業界活動でお互いに顔見知りだったりするが、やはり社風が現れていて、特に日本郵船の社員は、「自分達は違う」という空気をガンガン出している。

新会社の社名通り、ONEとなれるかどうかがこの事情統合の成功の為の第一歩であろう。






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