日本一高いところ(標高3,400メートル)で遭難して、自分だけ助かろうと必死になったが、やっぱり天罰が下った話

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著者: 花井 大地

当初素晴らしい動きをみせていたCも、元気がありませんでした。 

ちなみにBの指先の色は、「黒」です。


「レスキューを呼ぼう」 

携帯電話で助けを呼びかけるAの右手はガタガタと音をたて震えていました。 

いっこうにレスキュー専用ヘリコプターは現れません。

旅客用の飛行機が通る都度、

マンガのように「おーい、おーーーーい」と

三人は残された体力を振り絞りながら、手を振り続けました。


Bは手も上がりません。 






ブバババババババババババ 





凄まじい音をたてながらレスキューがやってきました。

強風のためランダムで一人ずつ救助されます。初めにAが助け出されました。 

この時、DはAに手袋を貸していたので、心底後悔したそうです。

それから30分はたったでしょうか、なかなか二度目のヘリはやってきません。



腹が減って泣きそうなDは、

Bが動けないのをいいことに、

彼が背負っているリュックからおにぎりをとりあげ、貪りました。 

カロリーとっておけば、無敵。 Dは1人、回復を狙います。

更に30分は経過した頃、




ブバババババババババババ 




ヘリがやってきました。

Bはすぐさま拾い上げられ、

まさかのサービスでCも拾い上げました。 


はて残ったのは誰でしょう? 











Dの心に冬がやってきました。

雲のうえで、まさかのひとりぼっち。

雲と雪と冷気と不安と孤独、そして後悔に包まれていきます。

それをあざ笑うかのように、風もますます強くなりました。

雪がすごいスピードで頬を横殴りします。

動かないと、全身が雪まみれになります。


1時間は過ぎたところ、



リーン  リーン 



救助からの電話が鳴り響きました。 

「はあ、ようやく悪夢から開放される、正直限界だ」





「レスキューですけど、ヘリのガソリン切れたんで、あと1~2時間待ってもらえますか?」 

「なるほど!!」 






物思いにふけりました。

携帯でmixiしました。遠くの大きい岩に手ごろな石を当てて楽しみました。

雪だるまをつくりはじめました。つくれません、

雪はむしろ氷だったので指がギタギタになりました。

指先は変色していきました。

やっほーーー!!と叫びました。

反響はありませんでした。富士山より高い山はなかったようです。

ものは試しに裸足になりました。 




無事四人助け出され、

当然叱られ、

警察署に出向き、報道陣に追われ、山梨を後にしました。

二度と同じことはしないでしょう。  

本当に忘れられない一日でした。 


あれ以来、どんなにきついと言われる仕事も、何も感じなくなりました。

当たり前に生命があることに、たまに感謝もしています。



レスキューや警察の皆様、地元の方や家族にとても迷惑をかけ、

改めてこの場を借りて改めて謝罪いたします。 本当に申し訳ありませんでした。


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