19歳の時、NYの空港でテロリストと間違えられて尋問ルーム的な部屋へ連行された話

19歳の冬、僕は語学留学のため半年間アメリカにいました。ロチェスターというNYシティから飛行機で1時間くらいの田舎街に住んでいました。
年末年始の冬休みがあったので、友達とNYシティへ旅行しました。一週間の観光旅行を終え、友達とは現地でお別れ。
僕は一人でロチェスターという土地へ帰る予定だったのですが、その帰りの飛行機搭乗の際に、事件は起きました。

冒頭にも書きましたが、僕は語学を勉強するために留学していました。
英語が全くできなかったなりに、必死に勉強していたと思います。
真面目な僕は、バスの移動とか休憩時間とか、ちょっとした隙間時間があれば、自分で作った単語帳を使って単語を覚えていました。単語カードは3,000枚以上ありました。それを100枚くらいの束にして、いくつも持ち歩いていました。
もちろんその事件の日も、いつも通り単語カードを持ち歩いていました。
むしろ飛行機の移動時間・待ち時間が長いので、いつもより多めのカードの束をズボンのポケットに入れて持ち歩いていました。

NYシティからロチェスター、アメリカ国内での移動なので、空港でのチェックは、日本から入国する時みたいにまどろっこしい質問とかはなく、簡単です。
簡単だけど、やっぱりジロジロ見られながら、荷物検査とかするのは緊張します。
英語が話せないという不安もあります。
腕時計とかベルトとか、身に着けている貴金属系を全て外してゲートをくぐる。
ゲート横でガタイのいかつい黒人のおっちゃん(デンゼル・ワシントン似、以下、デンゼル)が監視している。
ゲートを難なくクリア!

とホッとした、その時。
デンゼルがなんか言ってきた。
英語がわからないので、聞き取れなかったが、フレンドリーな感じは全くなく、何か疑われている感を感じ取れた。
僕のポケットを指さして何か言っている。
どうやら、「ポケットには何が入っているんだ?見せてみろ。」と言っているようでした。
一瞬、パニックになりそうだったが、ポケットには単語帳が3、4束入っているだけだったので、冷静に対応。
ポケットにある単語帳を全て出して、デンゼルに渡した。
留学生らしく、片言の英語で「僕は日本から来て、英語を勉強しているんです」的なことを笑顔で伝えた。
人当りは良い方なのだが、デンゼルの様子がおかしい。
デンゼルが不審そうな顔で単語帳を指さしながら、「これはなんだ」と僕に単語帳を見せてきた。
自分が書いた単語帳なので、僕も「なんなんだろう?」的な感じで、デンゼルの指さす単語帳を見た。
そこには、「slaughter」という文字が見慣れた自分の文字で書かれている。
が、それがどういう意味だったかは思い出せない。
思い出そうとしたが、全く思い出せない。
その間もデンゼルは何かいっぱい聞いてくる。
とりあえず、その単語の意味がわからないと話が進まないので、デンゼルの持ってる単語カードの裏の和訳を見ようと手を伸ばした。
「Don't Move!!」
デンゼルが少し大きな声で僕の手を制した。
当然、周りの人が注目する。
警備員的な人が2人ほど駆け寄ってくる。
なんか話してる。
何を話してるか全くわからなかったが、とりあえずやばいことはわかった。
パニクッた。とにかくパニクッた。
そうこうしている間に、自分の一人の警備員が僕の荷物を持ってきた。
そして、そのまま尋問ルーム的なところに連れて行かれた。
パニクッた。とにかくパニクッた。

部屋に入ると、まずパスポートを没収される。
なんでアメリカにいるんだとか、どこに住んでいるんだとか、色々聞かれる。
どもりながら、つたない英語で答える。
そんなやりとりを5分くらいしてたら、問題の単語カードの話になった。
僕は「そのカードを見せてください。」と伝えた。
※この時はデンゼルではなく、なんかエラそうな白人だった。
この時はすんなり渡してくれた。
恐る恐る、「slaughter」のカードをめくってみた。

驚愕した。

「slaughter」という単語は「大規模な虐殺、殺戮」という意味らしい。
ここで自分の置かれている状況が結構、やばいことを理解した。

どうやら、テロリストと思われているらしい。
あのショッキングな911の同時多発テロから5年以上経過してるとはいえ、場所はNY。
しかも、向こうからした僕は外人。
質問されたら、どもって返答する、あきらかにパニクっている外国人。

なるほど、今振り返ってみれば、納得はできる。

けど、当時の自分にはそんな余裕はなく、「何故、3,000枚以上ある単語カードの中で、こんなタイミングでこの単語が,一番上にあるのか?」、「この濡れ衣をどう英語で解消するのか?」とますます焦っていた。
まぁ結局、こっからは必至で説得するしかなかった。
他の単語カードを見せて、「僕は勉強してるだけなんです」と主張し続けた。
そしたら、紙に自分の名前とかを書いて、10分くらいで出れた。

とまぁ、オチが弱くなってしまいましたが、これが僕が「9歳の時、NYの空港でテロリストと間違えられて尋問ルーム的な部屋へ連行された話」です。
フライトにも間に合って、これといった問題はありませんでした。
一生の中で使う機会があるのかどうかはわかりませんが、「slaughter」という単語は一生忘れないと思います。
後、あれ以来、海外に行くときは衣服も文字が入っているものは避けて、無地のものを選んで空港に行くようにしています。
皆さんもお気をつけて!

著者のHiraishi Daisukeさんに人生相談を申込む

著者のHiraishi Daisukeさんにメッセージを送る

メッセージを送る

著者の方だけが読めます

みんなの読んで良かった!

STORYS.JPは、人生のヒントが得られる ライフストーリー共有プラットホームです。