たくさん死体の上で考えたこと


この木はキリングツリーと呼ばれています。今から40年くらい前、この木にたくさんの赤ちゃんが叩きつけられて死にました。足を持って、振り回して木に叩きつけて殺すんです。母親の前で。何百人では済まない赤子が殺されました。なぜ木に叩きつけるかというと銃弾で殺すよりお金がかからないからです。それだけです。

その木の前に立ちすくむ僕の足元にはたくさんの死体が埋まっていました。ところどころ、地面から衣服の切れ端が見えるんです。カンボジアで大虐殺が起きたのは今から約40年前です。しかし、あまりにも虐殺されて埋められた人が多くて、いまだにすべてを掘り起こすことはできていないんです。
僕たち人間は無知・差別・偏見からたくさんの人を迫害し、殺してきました。いや、今も殺しているしこれからも殺し続けます。他の民族に対する憎悪は「人間がなし得る最も有害な行為」なんです。人を憎むのはしょうがないです。僕も嫌いな人くらいいます。でも、その憎しみを特定のコミュニティ、民族、国とか人の集団に向けるのはやめましょうよ。

でも僕は自信がないんです。例えば、ある知的障害者にレイプされた女性の、知的障害者という集団に対する恐怖や憎しみに対して僕はどう接すればいいのでしょうか。僕が作業所(知的障害者のための施設)で、彼らと一緒にご飯を作って食べて遊んだことを語り、彼らにもいろんな人がいることを話したところで彼女の恐怖や憎しみがほんの少しでも軽くなるとは思えません。逆に、僕が大切な人を特定の集団に傷つけられた時、その人だけを憎んでその集団に対しては全くニュートラルな感情でいられるでしょうか。僕にはその自信がありません。

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