会えなかった初恋の人

会えなかった、初恋の人。

Episode1 出会いはチャット  Episode2 会いたい Episode3 会えなかった理由 Episode4 別れ Episode5 彼が去った後 Episode6 15年後の今

Episode1【出会いはチャット】
15歳、中3の夏。 中学入学時から続けた部活を引退し、 受験モードに突入・・・  元より勉強が嫌いだった私に、 いよいよ部活という格好の言い訳がなくなってしまった。  成績は常に下の中。テストは毎回一夜漬け。  そんな私のやる気のない夏休みがスタートした。 周りの友人は皆、賢かった。  更に塾でも勉強。取り残されてゆく私。 
一般家庭に少しずつインターネットが普及し始めた頃。  中学の授業でもインターネットが組み込まれていた。  インターネットの授業で初めて知った、チャット。  クラスメイトとオンラインで会話する。 
私の人生に新しい風が吹いた瞬間だった。 
夏休みの始まった私、両親は共働きで帰りは遅い。  母は夜まで帰らなかったし、 消防士の父は24時間勤務を終える翌朝まで帰らない。  暇つぶしに、とパソコンの電源をいれた。 ブラウザを開いて最初に出てくる検索エンジン。  そのサービスの一つだった公式チャットへ接続した。  無数に広がるチャットルーム。  何も考えずにいちばん上にあったチャットルームへ入室した。 
チャットどころか、インターネットの勝手もわからなかった私が入室したのは 実はアダルトカテゴリだったのだった。
ハンドルネームは本名。  入室してすぐに何人かが挨拶してくれた。  私は軽い自己紹介として、
15歳中3 
と言うと、みんなが口を揃えて  「若い!!」と言った。 今でこそ、小学生ですらネットをする時代。  でも当時は、中学生すら珍しい世界だった。  (後に私は、HNを姉の名前に変更する。15歳なんて嘘だろう、なぜアダルトルームに中学生がいるんだ!と激しく罵られ、びびった私は急遽姉の名前をHNに使った。)
 何人かとチャットする。  初めは遅かったタイピングも若さゆえか、すぐに速くなった。 余談だが、この後中学を卒業し、進学した中の下の商業高校では  私の成績は常にトップクラスだった。(数学以外)  コンピュータの授業では、私の右に出る者は居なかったし、  卒業条件の各種PC系検定も、高1・高2の間に全て合格した。  タイピング、プログラミング、DTPに及ぶコンピュータ系の授業は常にトップだった。  このチャットでの経験は、高校~今に至るまで人生の上でとても役立っている。 

さて、毎日チャットに顔を出すようになった。  毎日話しているうちに、特定のメンバーが出来てくる。  殆どが社会人の人たちで、中学生の私は最年少、 次に若い人でも高3でまもなく大学生になる人だった。  私は、このチャットの世界ではずば抜けて若かった。  20代後半の今、私が中学生をチャットで相手するとなると、正直厳しい。  話題もさることながら、まずその若さに引いてしまう。  でも彼らは私をいつも迎えてくれ、夜な夜なおしゃべりは続いた。 
そんな中の一人に、Kという人が居た。
大阪在住の25歳。 ちょっとミステリアスな感じのする人で、 口は悪いけど優しい人だった。  常連のメンバーは皆だいたいが首都圏に住む人だった。  彼だけが関西在住、そして私も名古屋在住と、少し離れていた。 
あまり大勢で話すが好き出なかった彼とは、何度もプライベートチャットで話した。  メールアドレスの交換をして、Eメールでのやりとりも始まった。  いつしか私の生活の大半は、彼のことを考える事で占められ、心の支えとなっていった。

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