強烈なオヤジが高校も塾も通わせずに3人の息子を京都大学に放り込んだ話
学校よりもクリエイティブな1日にできるなら無理に行かなくても良い。
その後、本当に学校に行かなくなり
大検制度を使って京大に放り込まれた3兄弟は
変わった教育方針の父親の元で育ちました。
一般的な家庭なら
「早く起きろ!さっさと学校に行け!」
と育てるところでしょうが3兄弟の家庭(ホーツキ家)はその真逆。
学校に頼って勉強するのではなく、自分で勉強を組み立てろというのがその主旨でした。
小学生の僕(長男)「お母さん、今日は火の鳥のマンガ全巻読破するから学校休むわ~」
母「いいわよ~」
弟「いま調度『信長の野望』がいい所で今日中に天下統一する!なので学校は休むね。」
父「コマンドの【調略】をうまく使えよ。夕飯の時に武将クイズするからちゃんと覚えとけよ。」
弟「任せといて~」
とまあ、こんな感じ。
たまに父親の方から学校を休んで○○しよう!
という誘いが来る事さえありました。
父「おい、今日は天気がいいな。キャンプ行くか!!」
兄弟「ヤターーーーーーーーヽ(´∀`)/」
ほんとかよ!?と思うかもしれませんが、ホントなんです(笑)
非常識とも言われかねない家庭教育は、いったいなぜ始まったのか。
そこには一風変わった、どころか、かなり変わった強烈な父親(以下オヤジ)の存在がありました。
はじめに
このストーリーは、家庭教育に心血を注いだ、ある強烈なオヤジのストーリーです。我が子を育てるために、いい学校を選んだり、いい塾を選んだり、あるいは海外で育てたり。普通は「我が子にあう学習環境はどこにあるか?」と考えるものですが、オヤジはついに「自分の子どもは自分の力で育てる!」というモットーを貫き通してしまいます。
書き手の僕は3兄弟の長男で、いわば家庭教育実験台の第1号。オヤジはその第1号の成功や失敗を踏まえながら、ときに孤軍奮闘、ときに悪戦苦闘、またあるときは支離滅裂になりながらも、弟2人にもその絶大な影響力を発揮していきます。
ちなみに僕は現在32歳で同じく3人の子どもを育てる立場になりました。親になるとやはり、自分の子どもをどうやって育てていけばいいだろう?と悩むこともしばしばです。そんなときいつも思い出すのが(あるいは反面教師にするのが)オヤジの教育論とその手法です。
子育てに悩んでいたり、不安を抱えていたりする保護者の方や、あるいはこれから親になる方々のご参考になればと思って書いてみました。
オヤジにも感謝の念を込めながら・・・
オヤジさん!あなたは現代のソクラテスなの!?
オヤジの現在の風貌はというとこんな感じ。
これはかの有名な哲人ソクラテスの彫像です。
このアゴヒゲのない人物とイメージしてもらえばいいと思います。
見た目だけでなく頭の中も本当に似ているのかもしれない・・・
自称「オレは本気で学問を積んだ」というだけあって、歴史・サイエンス・IT・経済と頭の中には様々な知識がデータベース化されているようでした。だいたい何を聞いても答えが返ってくるのです。
兄弟「オヤジ、やべえ。」
3兄弟がオヤジに抱いたのは、尊敬と畏怖と、そして恐怖の念でした・・・
なので、学校の先生に任せるよりも自分が教えた方が早い!といった自信があったのでしょう。それがオヤジの教育方針を支える原動力となっていたのは確かです。(注:完全な不登校ではなく、公立の小中学校にも通いつつ家庭教育を施された)
しかしオヤジも仕事をもつ身。四六時中家にいて授業をする訳にもいきません。そこでオヤジが考えついたのが「自分の代わりに優秀な教師を買い込む!」という作戦でした。
優秀な教師を買い込む!!??
ま、まさか!?
アリストテレスのようなスーパー家庭教師を買収するって話・・・
ではなくて、3兄弟が自分で学び取ることのできる本・マンガ・テレビ番組を大量に買い込んでそれを戦略的に見せていくという作戦です。
たまの休みに本屋に一緒に行ったと思えば何時間もいりびたって大量の本やマンガを買い込みます。そのイベントは3兄弟にとってはまさに地獄・・・
オヤジ「おい、本屋に行くぞー」
兄弟「えー?めんどくせーなー」
オヤジ「いいから来い!早く車に乗れ!」
兄弟「は・・はい・・・」
数時間後
兄弟「まだ?もう帰ろうよ」
オヤジ「うるせーだまっとけ。本嫁」
数時間後
兄弟「さすがにマジでもうかえ・・」
オヤジ「お前らのために本を選んでるんだろうが!この野郎!テメーラmaji・・以下略」
という訳で黙々と本の目次を読みあさりながら当たりを付けて大量の教材を買い込むオヤジ。そして気づけば家の本棚には大量の家庭教師達が3兄弟を待つことになるわけです。
家庭教師A:マンガ日本の歴史全巻
家庭教師B:マンガ世界の歴史全巻
家庭教師C:三国志by横山光輝全巻
家庭教師D:学研伝記シリーズ全巻
・
・
・
本屋だけではありません。オヤジの鋭い眼光は新聞のテレビ番組表にも及んでいました。例えばNHKスペシャル。ちょっと知的な方々が好んで見る特番などは彼にとって絶好の教材集。それを録画して3兄弟に見せるために、なぜか4台ぐらいの(笑)ビデオデッキがウィンウィン音を立てているというのが日常でした。
テレビ番組表なんでまだまだ序の口。
100円ビデオレンタルショップもオヤジの格好の餌食に・・・
「お1人様1回20本です」
という様なルール設定があったりするため、しぶしぶ20本借りてくる訳です。『ガンジー』『椿三十郎』『ニューシネマパラダイス』『レインマン』という具合に、片っ端に名画を借りてくるのですが、当然1週間のレンタル期間で見れる訳もなく・・・
僕「そんなに借りてきてどうすんの?1週間で見れる訳ないじゃん」
オヤジ「オレを甘く見るなよ。なぜこの家にビデオデッキが4台もあるか。それはビデオをコピーして・・・以下略」
余計な延滞料が発生しない様に注意を払いつつ、作業が終わると返しにいって、また20本借りてきます。こうしてこのループをくり返し、「うちってビデオ屋だったけ?」というくらいに大量のVHSが貯まっていきました。という訳で、マンガ・本・映画という大量の家庭教師達がホーツキ家に蓄積していくことになるのです。
しかし!
子どものためにわざわざ買ってきてからといって、「わーうれしい!ありがとう^^」と簡単に手に取るほど子どもはあまくありません。親が期待を込めて届けているというのに、「興味ないし」というのが実情で、それは3兄弟も一緒でした。(ある日、高そうな望遠鏡を買ってきてくれて、3回ぐらい見たら飽きて、結局ほこりをかぶってその後処分・・・ということも・・・)
オヤジも色々と思案を重ねたのだろうと思います。どうすれば息子達が興味を持って手にしてくれるのか・・・
思案の末にオヤジが繰り出した作戦に、3兄弟は見事にひっかかります。
オヤジ「お前達、まずマンガや本については1ページにつき1円の小遣いをやる」
兄弟「え??マジ??読む読む!全然読む!!」
そう!子供はお金で釣る作戦(笑)
これは圧倒的なパフォーマンスを誇る作戦でした。
マンガですら1ページ1円!なんと素晴らしいルールメイキング。
ただし、ズルをしないように感想文ノートを作らせて母親がチェックし、ハンコを押してもらえればお小遣いがゲットできるという仕組み。感想文が長くなりそうであれば口頭で説明させます。本やマンガをただ読ませるだけでなく、内容の定着を図る&プレゼンの練習機会を盛り込むという、したたかなオヤジ。
そんなオヤジの策略も知らず、ガムシャラに学研の伝記シリーズなどを読みあさり、手にした小遣いで駄菓子屋に駆け込んだ日々。こうして3兄弟はオヤジのしたたかな戦略に転がされながら、無我夢中で家庭教師達をむさぼり始めるのでした。
いま思い返せば、やはりこの手法には感謝しなければなりません。幼き頃に心に焼きつけた世界の偉人達の人生は、その後の人生に大きな影響をもったのではないかと思います。長男の僕は当時エジソンにはまり込み、四六時中、工作やロボット作りに励み、将来はロボット工学者になることを夢見ていました。
憧れというやつです。「最近の子どもには夢がない」という言葉をよく耳にしますが、憧れの人物を見つける・人生のお手本を知る・ロールモデルに出会う、というのはとても大きな学習効果を持っているのだと思います。
まあ結局ロボット工学者にはなれませんでしたが・・・
著者の寳槻 泰伸さんに人生相談を申込む
著者の寳槻 泰伸さんにメッセージを送る
著者の方だけが読めます