素朴な疑問がスタンダードを創り出す。不動産テック新人が業界のスタンダードを作るまで~不動産ポータル汎用連動機能 開発秘話~
「新卒1年目の冬ですね。上長が営業からの要望に頭を抱えていた場面を今でも鮮明に思い出します。」
そう語る柴﨑は、いえらぶGROUPの4年目社員。右も左もわからない新卒時代に、新商品の提案と実装まで担った体験について伺いました。
株式会社いえらぶGROUP 連動開発課 柴﨑史織
入社まで全くプログラミングの経験のなかった新人エンジニアが、上長も唸った難題を柔軟な発想で解決。
新人ならではの発想から生まれた、営業、開発、そして業界の指標にもなるサービスの裏側。
会社員、エンジニアとしての会社への向き合い方も伺ってきました!
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新人時代の後悔
――いったいどんなことがあったんでしょう?
柴﨑: 私の所属している「連動開発課」は、いえらぶCLOUDの物件データベースと、SUUMOやLIFULL HOME'Sのような不動産ポータルサイトへの物件情報の連携開発を手掛けている部署になります。簡単に言えば、物件情報をよりスムーズにやり取りできるサービスの開発をしています。
連動機能はコチラ
https://ielove-cloud.jp/service/portal/
冒頭の通り、入社1年目の冬のことでした。営業の同期が
「新しく大型の物件検索サイトをリニューアルするクライアントがいる。開発費も期間もそれなりに準備するから、そのサイトに物件情報を連携する『オリジナル連動システム』を独自開発してほしい」
という相談を、当時の上司に持ちかけたときのことでした。
その上司は「だったら今すぐそのコストに合う契約をとってきてください」と強い態度で断ったのです。
――聞いた限りでは、良いお仕事のお話なような気もしますが?
柴﨑: そうなんですよね。当時何も知らなかった私は
「クライアントから開発費用ももらえるし、いえらぶのシステムを使ってくれる会社も増える」
すごくいいことなんじゃないかと素直に考えていました。ところが実はそんな簡単な話じゃなかったんです。
――実は新人にはわからない問題があった?
柴﨑: はい。実は、こういった開発要望は会社の立ち上げ当時から度々有り、開発を行っていた事例もあったんです。
しかし、最終的には
「一部の会社しか使わず、売上が増えない」
「パッケージ商品が複雑化する」
「個別のクライアントの処理がサーバー負荷全体を圧迫」
などの様々な『運用的な課題』を後々になって抱えることになる相談だったんです。いわゆる「負の遺産」になります。
毎回ほぼゼロからオリジナル開発をする一方で、苦労して作ったシステムも使うのは数社だけで採算は取れない、ということが何度もあったそうです。
もちろん当時の私にも解決する術は思いつかず、ただただ状況を見守るばかりだったのはとても悔しかったですね。
素朴な疑問と怒涛の開発
――しかしその後、今回紹介する商品の開発の話が上がってきたと。
柴﨑: それから半年くらいですね。同じような相談はやっぱり定期的にあって、類にもれず上司が怪訝な顔をしていたときのことです。
「もういっそ、一般的な形式でデータを飛ばしてみたら駄目ですかね」
と、つい一言漏らしてしまったんです。
「お前何テキトーなこと言ってるんだ」って呆れられるかもしれないと思いました。
しかし反応はまさかの「あー!いいなそれ」でした。
もはや喜びよりも戸惑いのほうが大きかったですね笑。まさかこんな新人の意見がいきなり受け入れてもらえるとは思わなかったので。
そもそも、業界の当たり前の発想ではない事が、新人だからこそ採用された瞬間でした!!
そこからは「この書式でデータを出力すれば、結構広まってるし、相手も必要な部分は自社開発できるかも」とトントン拍子で企画が進んでいきました。
企画が進むうちに「コレは絶対に私が開発して業界に一石を投じてやる!!」と思い、「私が作ります!」と手を上げました。
――ドヤ顔が目に浮かぶようです笑
柴﨑: でも案の定、開発に入ってからは連動先会社との連携が上手く行かなかったり、思っていた設計が想定と外れてやり直しになってしまったり、話したこともなかった営業の方と密に連絡とりながら開発しなきゃいけなかったり……と、つまづくことはとても多かったです。
ただ不思議と「もうだめだー」と投げ出すことはありませんでした。やっぱり自分で「やりたい!業界を良くしたい!」って思った原動力は凄まじいな、と今でも思います。
なんだかんだ一直線でしたね。1ヶ月くらいかけて気合で実装しました。
――1ヶ月!スピード感がすごい、お客様の反応はどうだったんですか?
柴﨑: 自分でもびっくりしたのは「こんなに早くできちゃったの!?」と驚かれたこと、そして自分が提案した仕様は思っていた以上に業界に馴染みがあって、スムーズに導入ができたことです。
実際、すぐに数十店の契約がありました。
新卒で入ってからこの開発の少し前まで、クライアントありきの開発ばかりしていたんです。ただこの開発は違いました。クライアント関係なく、自分が機能を開発し、それをクライアントの方が使ってくれるか、という初めての勝負でした。
自分の開発が主体となってプロジェクトが進んでいく未知数の感覚がとても楽しく、そして同時に不安だったんです。
でも、リリース後にお客さんに「これイイね!!」と言ってもらえた時、その不安は吹き飛びました。
自分が業界に認められたようで本当に嬉しかったです。
なによりも、お客様の困りごとを自分の提案で解決できたこと、そしてこの業界はまだまだ自分たちが変えて、進化させていけるんだと思ったこと。
これらに本当にワクワクしました。そのワクワクが、今の仕事にも繋がっているかもしれません。
連動機能についてはコチラ
https://prtimes.jp/story/detail/XBaDzYC9dbp
汎用連動機能とこれから
――これまでのやり方にとらわれない手法だからこそ、驚かれて、そして喜ばれたんだと思います。汎用連動機能について詳しく教えてください。
柴﨑: はい。「汎用連動機能」は主に物件情報を自社のホームページに記載する際に使います。
サイトごとに色々な形式で載っている物件情報を、標準的な形式にまとめて各不動産会社が使えるようにするんです。
これによって、各サイトから自社に物件の情報を転記する際に起こるミスがなくなります。おまけに業界でよく使われる形式なので、他社さんや家探しをするユーザーさんが見てもスッキリまとまった形式になっているんです。
今までは「ウチはウチのやり方でやる」という会社が多く、それぞれの会社がバラバラに動いていたと思うんです。
でも今後は不動産業界にも「分かりやすさ」や「透明感」が求められる時代だと思いますし、これをきっかけに業界の情報流通の風通しが良くなればと思います。
――ありがとうございます。「汎用連動機能」を開発した柴﨑さんは、今現在どのような開発をしているんでしょうか。
柴﨑: 現在は連動機能についての新規開発に携わっています。「汎用連動」の際に営業さんや社外の方と積極的にかかわった経験が今の開発でも活きていますね。
もちろんエンジニアの腕も少しずつ上がってるかなー?なんて笑
――自分で言っちゃいましたね笑 最後に、これから開発を経験していく後輩に向けて一言お願いします。
柴﨑: これは開発の人だけじゃないんですけど、ぜひ会社を上手く使って欲しい!!
新人で若手で、会社の仕事に振り回されることはきっと多いと思うんです。
でもだからこそ、それだけで終わっちゃうのは「もったいないな」と。
会社に振られたからやる、じゃなくて自分の人生でやりたいことを考えてみて、それを会社のためになることと結び付けてやってみる。
「自分のやりたい熱狂の渦に、むしろ会社を巻き込んで振り回す」みたいな気概で仕事をやってみて欲しいな、って思います。
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新人時代の素朴な疑問から、社内全体、そして業界のスタンダードになりつつある機能を開発した柴﨑さん。
新規開発の経験もない中、自分で作ると手を挙げたことを、何のてらいもなく話していたのが印象的でした。何かに挑戦することが当たり前、という雰囲気が格好良かったですね。
経験がないからと、ためらうことも多いかもしれませんが、逆に経験がないからこそ思い切って飛び込める。そんな姿勢を見せてもらった気がします。
今悩んでいる人は、あえて不安に飛び込んでみると、想像以上に面白いことが待っているかもしれませんね。
連動機能の詳細はコチラ
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※現在の上司(やさしいですよ)と有山さんの対談
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