世界初?!「海中熟成しょうゆ」が醤油発祥の地で誕生。老舗醤油蔵の商品開発ストーリー
湯浅醤油有限会社は、日本の醤油の発祥地として知られる和歌山県湯浅町にあります。伝統をベースにしながらも、大胆なイノベーションを断行し、斬新なコンセプトの商品を生み続けてきました。
湯浅湾の海底15メートルで半年間熟成させた、世界でも珍しい醤油「海中熟成しょうゆ」を販売開始しました。5代目・代表の新古より、「海中熟成しょうゆ」開発の経緯をお話しします。
醤油の発祥地で、伝統と革新を融合し醤油づくりを続けてきた老舗「湯浅醤油有限会社」
日本の醤油の発祥地として知られる和歌山県湯浅町。湯浅醤油有限会社は、明治14年(1881年)に創業した老舗の醤油蔵「丸新本家」の醤油部門です。
醤油は、約100年使用している吉野杉の木樽を含め、大きな木樽で長期熟成させる伝統製法でつくっています。気温の低い冬季に仕込み、ゆっくりと発酵をスタートさせ、春夏秋冬とじっくりと時間をかけて1年半以上熟成させることで、複雑な旨みのある濃厚な醤油になります。効率を上げるために加温したり大量生産はしません。木樽で仕込み、人の手で大切に手入れしながら作っていることが、湯浅醤油の味と品質を保つ秘訣です。
湯浅醤油では、伝統をベースにしながらも、原材料の選定や製造工程において大胆なイノベーションを断行し、“人がようせん(出来ない)ような”斬新なコンセプトの商品を生み続けてきました。おかげさまで日本の皆さまはもとより、ヨーロッパのミシュランシェフたちにも愛される醤油を生み出すまでになりました。
今回、湯浅湾の海底15メートルで半年間熟成させた、おそらく世界初の醤油「海中熟成しょうゆ」を開発・販売しました。
世界初?!海中に沈め熟成させた醤油、着想は偶然から
開発のきっかけは、2021年9月に和歌山県串本町で行われたトルコ軍艦「エルトゥールル号」遭難事故の犠牲者の追悼式典でした。通常は漁協関係者らが鎮魂のために串本湾に酒を沈めるのですが、知り合いの漁協関係者に「一緒に湯浅醤油を沈めないか」と声をかけられ、自社製のしょうゆを沈めることにしました。
式典後、海で熟成させたしょうゆの商品化を思いつきます。同じ発酵食品であるワインも紫外線の届かない海中で一定の水温と微振動によって熟成が進むことで、まろやかな味わいになると言われているからです。
「どんな美味しい醤油になるのだろう?」ワクワクしながらの試作
2021年10月、試作のため、地元の湯浅湾に30本のしょうゆを沈めてみました。1年後の22年秋に引き揚げてみると、醤油の周りは魚や貝、ウニなどの住居になっていました。木箱はボロボロに朽ちて微生物のすみかになり、木が空洞化して空洞の表面にはカルシウムが付着していました。味を見たところ、やはり塩角のない濃厚な味わいに熟成されていたことから、販売に向けて本格的に動き出しました。
そのときのことを新古はこう話します。
「誰もやったことの無い事なので、わくわくしました。どんな美味しい醤油になるのだろうか?以前、酒を船に乗せておくだけでも美味しくなると聞いていたので、海中はもっと、と期待もありました。社員も一緒に楽しんでくれ、初めて海から上がってきた醤油を見て興奮していました。肝心の味は塩味がとれてまろやか。その味に皆が驚きました」
一定の海水温と、穏やかな波による「ゆらぎ」が熟成を促進。旨味のある唯一無二の醤油に
1回目の試作の際は、醤油を木箱に入れていたため、船に引き揚げる時ボロボロになった木箱から醤油が数本落ちてしまいました。そこで次はプラスチックケースで沈めることにしました。
2022年秋、再び湯浅湾の海底15メートルの位置に醤油を沈めました。1回目は試験的にいろんな醤油を沈めましたが、2回目は、北海道産の契約農家の自然栽培(肥料・農薬を一切使わない)で育てられた大豆、小麦、米と長崎の塩のみを使って昔ながらの木樽で熟成させた、湯浅醤油の最高級品を使用。これを湯浅湾の海底に約半年間沈め、海中でじっくりと熟成させました。
通常、醤油は酸化すると黒っぽくなりますが、ビンに密封して沈めた海中熟成しょうゆは、赤っぽくフレッシュ感があります。地上に比べて温度変化や紫外線が少ない海中の15℃~19℃という一定の海水温と、穏やかな波による「ゆらぎ」の微振動の中でじっくりと熟成が促進され旨味を増しながら、とがりのないまろやかな味わいで、まるで長期熟成させたようなコクと芳醇な香り、深みが楽しめる唯一無二の醤油に仕上がっています。
「海中熟成しょうゆ」の美味しさを、遠方の人にも届けたい
2023年2月17日に海から引き上げられた2回目の海中熟成しょうゆは、4月1日より300本を実店舗と湯浅町のふるさと納税のサイトで、数量限定で販売しました。
今回、遠方の方で通販を希望する声を多くいただいたこともあり、自社サイトでの販売をすることになりました。引き揚げた瓶には、貝がいくつも張り付いて見た目も迫力満点!まるでアートのような造形が広がる世界です。1本1本が違うので、通販の場合はどんな瓶が送られてくるのかという楽しみも生まれます。
「海中熟成しょうゆ」は、卵かけごはんや白身の刺し身、焼き魚によく合います。抜群に美味しい、海に育まれた醤油を是非味わってみませんか?
「和食」は世界の人々に広く愛されるようになりました。その味の決め手となる醤油は、もはや「日本のローカルな調味料のひとつ」ではありません。醤油をつかう人々の味覚も国籍も料理の種類も広がる中、“昔ながらの味”だけにこだわっていたのでは、その時代を生きる人たちに驚きと感動を与えられない。どんなときも「これぞ世界一!」と感じてもらえる醤油をつくり続けること。これが私たちの使命です。
私たちは海中熟成しょうゆを通じて、ものづくりの面白さを一人でも多くの人に伝え、伝統と技術を引き継ぐ若い作り手を増やしていきたいと考えています。明治時代から続く醤油本来の製法と醤油発祥の地で140年続く伝統を守りながら、時代のニーズに合わせた醤油の新たな可能性をこれからも追求していきます。
■商品概要
商品名:海中熟成しょうゆ
原材料:大豆(北海道産)、小麦、塩、米
内容量:200ml
商品URL:https://www.marushinhonke.com/c/3555/20892
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