不動産投資クラウドファンディング「CREAL」誕生秘話!『不動産投資を変え、社会を変える』ための奮闘記
皆さん、はじめまして、ブリッジ・シー・キャピタル代表取締役の横田と申します。
不動産投資クラウドファンディングサービス「CREAL」は、本日2020年11月13日をもってローンチからちょうど二周年となります。誰でも1万円から不動産投資ができるサービスとして、2020年10月末までに、計33ファンドを満額組成し、クラウドファンディングによる調達金額は60億円超となり 、不動産投資クラウドファンディング累計調達額No1※1を達成しております。また投資対象の不動産は、学校・保育園・地方創生に資するホテルなどESG不動産投資※2ができる点がポイントであり、2020年度グッドデザイン賞も受賞いたしました。
※1 2020年6月期不動産特定共同事業許認可におけるクラウドファンディングサービス運用資産残高調査(日本マーケティングリサーチ機構調べ)
※2 ESG不動産投資:人口減少や少子高齢化等の喫緊の諸課題の解決に寄与する、環境・社会・企業統治に配慮した不動産投資
順調に見えるCREALの軌跡ですが、様々なハードルやトラブルがありました。今回は、CREAL開発に至った想い、試行錯誤を重ねたファンド事例、コロナ禍における工夫などを私から発信いたします。
【既存の不動産ファンド事業では、必要な不動産に十分なお金が回らない】
「機関投資家や富裕層の投資は、大型のオフィスや商業施設といった商用不動産に偏っており、なぜ社会にとって必要な老人ホームや保育園といった社会インフラともいうべき不動産には十分な資金が行き渡っていかないのか?」
私は、オリックス株式会社やラサールインベストメントマネージメント株式会社、株式会社新生銀行などで、長年不動産ファイナンス業務や投資業務に携わる中で、こうした不動産ファンド事業の在り方に疑問を感じていました。
一方で、日本の現金預金はおよそ1,031兆円となっており、これは家計金融資産の50%以上に相当します※3。米国などと比較すると、日本は個人の資産形成の環境が整っているとは言えない状況があり、こういった世の中に滞留するお金を本当に社会に必要な不動産に振り分けられないものかと思案していました。
そんな折、クラウドファンディングを活用して広く一般個人へ不動産投資の門戸を開くCREALを着想し、家庭に眠る預貯金を世の中に必要な不動産への投資に振り向け、投資リターンと社会貢献を両立するサービス開発を目指しました。
※3 日本銀行『2020年第2四半期の資金循環(速報)』より
【初期の苦労は免許取得と開発、そしてゼロからの実績作り】
まず、立ちはだかったのは免許取得の壁でした。
不動産投資型クラウドファンディングのビジネスを開始するためには、不動産特定共同事業法の電子取引業務の許認可を取得する必要があります。今でこそ、不動産特定共同事業の電子取引業務許認可取得事業社は増えてきましたが、当社が免許取得に動いていた時期は、まだ事業者数も少なく、免許権者の東京都との調整や折衝にも時間がかかりました。自ら何度も通い、なんとか免許を取得したのは、CREALのプロジェクトをスタートしてからなんと1年後でした。
また、同時並行でCREALのサイト開発にも取り組んでいたのですが、リリース直前までソースコードを書き換えるなどヒヤヒヤする場面も多かったです。
そのような苦労を乗り越えて、2018年12月に第1号ファンド『ホテル アマネク 浅草吾妻橋スカイ』は募集をスタートし、ここからCREALの歴史がはじまりました。
写真:第1号ホテルファンド『ホテル アマネク 浅草吾妻橋スカイ』
【皆さまに不動産投資の入り口として使っていただけるサービスをご提供したい】
「まずは、不動産投資の敷居を下げなければ、世の中に眠っている現金・預金を動かすことは難しいだろう。」
そう考えていたため、第2号ファンド以降は、都内の区分ワンルームマンションのファンド募集を推進しました。なぜ都内の区分ワンルームマンションだったかと言うと、不動産投資の中でも投資金額が小さく、流動性が高い(売却がしやすい)ためです。一番身近で馴染みのある不動産であるという方も多いと思います。とはいっても、情報が業界内で閉ざされがちな不動産業界において、一般個人がいきなり不動産投資に飛び込むにはリスクもあります。
そこで、CREALを通じてWebならではの動画等を交えた情報を公開することで、優良な不動産の条件を肌感覚でつかんでいただくことができると考えました。また、CREALで採用している優先劣後出資方式※4やマスターリース※5によって、投資家の方のリスクを抑えつつ、不動産投資の世界に入っていただくきっかけづくりを進めました。
※4 優先劣後出資方式:対象不動産の価格の10〜20%に相当する金額をCREAL運営会社ブリッジ・シー・キャピタルが共同出資する仕組みです。ファンドの対象不動産に売却損が発生した場合には、まずブリッジ・シー・キャピタルが先に損失を負担しますので、投資家の皆さまの元本毀損リスクを軽減します。
※5 マスターリース:賃借⼈がさらに別の賃借⼈(転借⼈)にサブリース(転貸)することを前提とした契約で、賃料の下落が発⽣した場合でも、賃借⼈は運営会社へ毎⽉固定の賃料を⽀払います。CREALでは、運営会社ブリッジ・シー・キャピタルの関連会社であるブリッジ・シー・エステートが物件を一括借り上げすることにより、ファンドには毎月の固定賃料が支払われ、賃料減のリスクが軽減されます。
同時に、私自らがプレゼンテーターとなり、「CREAL説明会」を開催するなど、投資家の皆さまに安心してCREALをご利用いただけるような取り組みを行ってきました。
そのような甲斐あってか、区分ワンルームマンションのファンドは大人気で、安定した投資案件であれば投資家の皆さまからの需要は大きいことが分かりました。当時からCREALをご利用いただいている方はご存じかと思いますが、数千万円のファンドであれば数十秒で完売してしまうような状況で、『いつも待っているのに全く投資ができない!』といったお叱りのお電話をいただいたことも何度もあります。当時は申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
【共感がお金を動かす】
一方で、当初からの想いであった「世の中に必要とされているが資金が行き渡っていない不動産へ、世の中に眠っているお金を行き渡らせる」ために、ESG不動産投資第一号案件の準備も進めていました。今ではCREALの定番商品となった東京都内の認可保育所への投資です。
日本全体の人口は減っているものの東京都の人口は増え続けており、都内の待機児童問題は依然として解決には至っていません。認可保育所が社会に必要とされているインフラ不動産であることは明らかでした。
ところが、認可保育所への資金の流入は多くありません。理由は、一概には言えませんが、商業施設やオフィスなどと比較すると認可保育所は平均的に投資金額規模が小さく投資効率が悪いこと、また銀行融資が受けにくいことが原因と考えます。認可保育所を開発したい運営者がいたとしても、資金調達の部分で躓いてしまうのです。
さらに、認可保育所に投資をする場合、オペレーター(保育園運営者様)から頂く賃料が配当の原資となるため、利回りは高く設定することができません。利回りを高く設定できない中でどのようにして皆さまから投資を募ることができるか、そのために悩みました。
そこで、保育園の理念を保育園事業者様に語ってもらい、素晴らしい理念をもって運営に臨まれていること、地域にとって必要不可欠な施設であることを皆さまにお伝えしようと考えました。今ではCREALの定番になっている運営者の動画インタビューの公開や運営レポートの配信など豊富な情報開示は、こういった想いから繋がっています。
こうして募集開始をした第9号ファンド『さくらさくみらい駒込』は、利回りは4%と投資型クラウドファンディングの中では低い利回りでしたが、1人で数百~数千万円といった大口の投資をしてくれる方もおり、同時に「地域貢献などを考慮した投資として素晴らしい」「毎月の園児の様子が分かるレポートで癒される」「こういう案件を待っていた!」といった感想もいただけるようになりました。
その時、「世の中の預金は眠っているのではなく、投資先が見つからないだけなのではないか」ということに改めて気づきました。投資型クラウドファンディングは、不特定多数の投資家の方々から、資金を集める方法です。そのためには金銭的な利益だけでなく、シンプルに社会のために必要なファンドであるという共感を集めることこそ大切であるという考えに至りました。共感がお金を動かすのです。まさに個人の投資を世の中に必要な社会インフラへ巡らせるCREALの一つの大きな理念です。
その後、『さくらさくみらい駒込』のファンドは、クラウドファンディングを活用したESG不動産投資の例として、その後、国土交通省の検討会資料に取り上げられました。
https://www.mlit.go.jp/common/001297251.pdf
写真:第9号ファンド『さくらさくみらい駒込』
その後も社会貢献性を兼ね備えたファンドの組成を増やしてきました。
千葉県南房総市のホテルファンドは、高齢化に伴い過疎化が進行する千葉県南房総市千倉町の老朽化し運用されなくなった国立小学校の元保養所といったシンボリックな施設を「体験型新コンセプトホテル」へ再生を果たすファンドでした。地域の一次生産者との連携を深め、雇用の促進を図ることによる地方創生と、投資家の皆さまには安定的なリターンを提供する投資採算性の確保を両立することを目指す、そんなファンドでした。前述のとおり千葉県南房総市は過疎化も進む地域ですが、本ホテルは地域との交流を大切にしており、TBSの「漁船まるごと食べよう」の企画で拠点として使用されるなどしています。
写真:第16号ホテルファンド『ちくらつなぐホテル』
【コロナ禍においてアセットマネージャーとして果たすべき責任】
コロナ禍によって、業界全体でのファンド組成数や金額は一時かなり減少しましたが、CREALでは、保育園ファンドを中心に、順調に新規ファンドの調達ができていました。
しかしながら、過去に組成したホテルファンドは、インバウンド需要の激減により、過去組成したインバウンド向けのホテルファンドなどは、9月から運営を休止するなど投資家の方に不安を与える状況も続いていました。関連会社のマスターリース賃料があるため、運用期間中の投資家への配当は問題ありませんでしたが、ホテル不動産の売却という面では非常に苦戦が予想される状況でした。
もちろんCREALは投資商品ですから、市況の変化といった外部要因によっては、想定通りの運用ができず、元本保証はされない可能性があるということは投資家の皆さまもご承知の通りです。しかしながらCREALを運営する当社としては、皆さまの資金をお預かりして購入した物件をしっかり運用するというアセットマネージャーとしての責務が最も大切であると考えます。投資家の皆さまの利益を守り、最後まであきらめずに最善を尽くすため、この不動産の最有効利用のあり方をもう一度見直し、調査をしました。
「この不動産を最も活かす方法はなにか。」
コロナ禍において、全国的にリモートワークが推進されてきましたが、実態としては7割の企業がすでに通常の勤務体制に戻っているといった調査結果※6から、中小規模のオフィスのニーズは引き続き堅調であると考えました。さらにそんな中で、従来型のオフィス環境が、オンラインでの打合せや商談の多くなった現在の業務に適しておらず、そのようなウィズコロナ・アフターコロナに適したオフィスは、より必要になってくると考え、ホテルからオフィスへのコンバージョン(改修工事によって用途変更すること)を検討し始めました。
実際に、他社事例や周辺取引事例などを調査し、また投資家の皆さまへもアンケートという形で投資商品としてのニーズもヒアリングしたうえで、「上野ホテルコンバージョンプロジェクトファンド」として募集することを決定いたしました。
新ファンドは、第34号『上野オフィスプロジェクトファンド』として、2020年11月9日より募集を開始し、11月25日まで募集予定となっております。
※6 株式会社東京商工リサーチ 第6回「新型コロナウイルスに関するアンケート」調査より
「第34号上野オフィスプロジェクトファンド」パース(イメージ)
【これからのCREAL】
CREALは、サービス開始から約1年で累計調達額30億円を突破し、現在では累計調達額60億円超 とコロナ禍にもかかわらず右肩で成長を続け、不動産特定共同事業認可における2019年の市場規模約39億円※7中、CREALは約23.6億円を調達し、市場規模の約6割を占めるまでに成長をしております。
図:CREAL累計調達額推移
今後も投資商品としての安定性は当然のことながら、不動産ファンド事業・アセットマネジメント事業も行う会社のサービスとして、世の中に新しい価値を提供するファンド組成ができるようにしてまいります。今後ともCREALを、どうぞよろしくお願いいたします。
※7 一般財団法人日本クラウドファンディング協会『クラウドファンディング市場調査報告書』より
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