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「社外メンタープログラム」導入企業のソフトバンク・エーザイ事例から紐解く ジェンダーギャップ解消への道

著者: 株式会社Mentor For

日本の女性管理職比率は2019年時点で14.8%(労働力調査より)、ジェンダーギャップ指数の国際順位は153カ国中121位と国際社会での圧倒的な遅れが目立ちます。


しかし、国内の企業では女性リーダーの育成やジェンダーギャップの壁を超える様々な取り組みが動き出しているのも事実です。Mentor For「社外メンター」マッチングをはじめとした、D&I(Diversity&Inclusion)推進を目的としたプログラム(以下、プログラム)もその一つです。社外メンターと呼ばれるリーダー経験とライフイベントの両立をしてきた先輩女性たちが、企業で働く女性社員たちの“キャリア不安の軽減とリーダーシップ育成”を担うことが女性管理職育成の切り札になるかもしれない、そんな手応えを感じ始めています。


今回は、実際にプログラムを導入いただいた、ソフトバンク株式会社とエーザイ株式会社の事例からプログラム導入の背景とジェンダーギャプ解消への思いをインタビューさせていただきました。2021年3月8日の国際女性デーを前に日本における女性リーダー育成について改めて考えるきっかけになったらと思います。

「面」で寄り添う施策から「個」に寄り添った社外メンターへ:ソフトバンク株式会社

(左:人事本部の木戸あかりさん 右:SDGs推進室の日下部奈々さん)

ソフトバンク株式会社は2018年10月よりMentor Forの社外メンターマッチングプログラムを導入。さらに2019年からは、社外メンターによる1on1メンタリングを受けた女性管理職が、今度は「社内メンター」として社内の後輩女性たちの育成を支援していく制度も作りました。メンター制度を社内に提案したSDGs推進室の日下部奈々さん、人事本部の木戸あかりさんにインタビューさせてもらいました。

―社外メンタープログラムを導入した背景について教えてください。

日下部さん:社外メンターを活用しながら、社内メンター制度も構築し、女性管理職を増やしたいという目的があります。そのために、Mentor Forのサービスを使い始めた背景は3つあります。


1つ目は女性特有の“自信の無さ”。管理職やリーダーのポジションに対して、女性のほうが自信の無さを感じることがあるようです。その自信の無さにアプローチできる施策が必要と考えました。


2つ目は、これまでの研修やワークショップといった“面”での打ち手に加えた個々に寄り添った施策であること。人や状況の多様化が進むうえで、女性をひとまとめにとらえ、女性向けの研修やワークショップのテーマを育児支援に絞ってしまうことは、十分ではありません。仕事でのポジションや所属する部署、家庭での環境など人によって様々で複雑なので個々に寄り添った施策が必要と考えました。


三つ目は、管理職になった女性が更に上のポジションを目指すための後押しです。上位の役職ほど女性の比率が低くなるので、個別にサポートしていくような施策が何か必要ではないかというと考えました。

―実際に社外メンタープログラムを導入して、社員の変化はいかがでしょうか。

木戸さん:社内のメンターだけではない選択肢として非常に魅力を感じています。また、本プロジェクトの対象者でもある女性管理職が、このプログラムに満足し、感謝してくれることもあり、導入して非常に良かったと思っています。

―ジェンダーギャップ解消への思いを聞かせてください。

日下部さん:今全社で取り組んでいるSDGsもですが、2030年までに達成するという目標を持って「今変えないとダメだよね」と思い推進しています。


女性活躍、女性リーダー創出も関しても、本当にここ数年で本当にぐっと力を入れてやらないと、このまま数十年変わらないのではないかと思います。このような社内外のメンター施策が女性活躍施策のひとつになるのは非常に良いと思うし、この日本や今の組織の状態にすごく合っていると思います。このようなメンター文化が根付くとすごく良いなと思います。


木戸さん:いずれ「女性が管理職になる」ことが自然なことになってほしいと思っています。「特別に頑張らないといけない」とか「何かを捨てたり選択したりしなければならない」ではなく。


本来、人は多様です。キャラクターとしても多様。しかしそこに何か力学が働いて、どこかの属性や性格、リーダーのキャラクターなどが固定化してはならないと思います。マネジメントしかり、単一性が強い組織はすごく不自然ですね。


ひとりの社会人としての適度な規律と「心理的安全性」が社外メンターの魅力:エーザイ株式会社


エーザイ株式会社は2020年4月よりMentor Forの社外メンターマッチングプログラムを導入。当初は、まずは小規模のパイロットからスタートし、その後、効果を実感し、組織長クラスを対象に本格導入しました。社外メンタープログラムを社内で推進した人財開発本部・タレントディベロップメント部の松井洋子さん(以下、松井さん)にインタビューさせてもらいました。

―社外メンタープログラムを導入した背景について教えてください。

松井さん:女性の組織長層を対象としています。あえて社外であることで「適度な規律と心理的安全性が担保されている」というのが、非常に大きな魅力でした。


一般的に「組織のメンバーに知られたくない」「他の組織長には相談しづらい」等の理由から、ポジションがある人ほど相談しにくい傾向があります。また女性には、男性には相談しにくい女性特有のイベント(妊娠・出産、健康の課題等)と責任ある仕事の両立の悩みも大きいと考えられました。そこで、社内特有のしがらみや甘えのない社外の方であれば適切な心理的安全性が担保された中で相談できる場所を提供してもらえるのではないかと考え、MANABICIAのMentor Forの社外メンタープログラムを導入させていただくことにしました。

―社外メンタープログラム導入後の変化についてはいかがでしょうか。

松井さん:私自身がまずは導入推進役の立場として、実際に本プログラムを受講しました。その経験で言いますと、やはり社外のメンターということでとても大きな安心感がありました。今までも社内に信頼できる相談相手はたくさんいましたが、一方で、頼っているようで頼りきれていないような。


自身のキャリアは自身で考えるものであり、特に、管理職になってからは、管理職であるが故に本音を全てさらけ出してはいけないのではないかといった遠慮の部分がありました。社外の方との対話という安心感の中で、自分の全てをさらけ出せ、それを受け止め気にかけてくれる、そのような存在はとても心強かったです。「自分のことを考える時間で良いんですよ」と。


本来、日々の業務の中で自分の将来のキャリアについて考える時間を持って良いはずですが、つい目の前の業務に精いっぱいになってしまい、「自分は将来どうしていきたいのか」ということに思いを馳せる時間を取ることは、多くの人にとっても難しいのでないでしょうか。今回、社外の方と話す時間を定期的に作ったことにより、キャリアを考える時間を日常のなかで持てたことは、私にとってはかけがえのない、大きな財産となりました。

―ジェンダーギャップ解消への思いを聞かせてください。

松井さん:女性の中には、これから管理職になり、プライベートでは結婚、出産という道を歩むことに不安になる方もいるかもしれません。しかしその中でも「どのようなライフイベントがあったとしてもあなたらしくしていて良いんだよ」ということを、特に自己肯定感が低いと言われている女性に、まずは伝えていきたいですね。


自己肯定感については、本来性別を問うテーマではありませんが、女性の方が比較的自己肯定感が低いと言われています。また、まだまだ日本においてライフイベントがキャリアに与えるインパクトが男性よりも女性のほうが大きい現状にも鑑み、今回の社外メンター派遣プログラムは女性を優先的に対象としました。


将来的には、女性・男性・年齢かかわらず、本当に皆さんのそれぞれの能力が開花できる、認め合える、尊敬し合える、そんな行動がシームレスに行われる職場にしていくことを、ゴールとしています。

「社外メンター」は女性リーダーが育つ突破口に

 ソフトバンク株式会社、エーザイ株式会社という日本を代表する2社の導入事例を通して、(株)MANABICIA / Mentor Forの代表・池原真佐子(以下、池原)が考える女性リーダー育成の過程における社外メンターの存在意義とは。


池原:女性を育てるというと、育休、時短など「ママフレンドリー」な施策を思いつく方も多いかもしれません。「女性が長く働ける選択肢」としては絶対不可欠ですが、リーダー育成にはそれでだけでは不十分です。


 多くの男性には、新卒の時から「ロールモデル、相談相手となる同性」がたくさんいます。組織人としてのイロハから管理職としての振る舞い、人生設計まで。しかし女性はどうでしょうか。リーダーを目指そうと思っても、上司はほぼ男性(しかも育児家事は妻が担当)で、自分自身のキャリア設計の参考にすることが困難です。


また、「リーダー」「リーダーシップ」という言葉は、従来の働き方やパワーのあり方・・例えば、「いつでも戦力として24時間体制で戦えること」「仕事だけが常に最優先」「強さや統率力」というイメージが強く、そこに引いてしまう女性も多くいます。また、社会が女性に無意識に求めている「誰かの世話をする優しい存在」という規範と矛盾することも多く、その葛藤で悩む女性リーダーも多いなと。


配偶者の仕事(転勤族かどうか)、子供を持つ持たない、産後の働き方、育児(幼児期から子供の受験、習い事の送迎など)が全て「働き方・キャリア」に大きな影響を持ってしまうのが女性です。不妊治療をしながら管理職ができるのか、受験期の子育てをしながら部長が務まるのか、「強いリーダーになれと言われたので、そのように振る舞ったら、逆に反発が大きくなった」など・・そのような悩みの糸口となるロールモデル、メンターは社内にほとんどいないのが現状です。


(社外メンターによるメンタリングの様子)


「女性は管理職になりたがらない」とよく聞きますが、この現状で「管理職になりたい!」と意欲を持てる女性がむしろ少数ではないでしょうか。この現状を打破する鍵は「ロールモデルとなる、同性メンター」を社内外に提示していくこと、しかも、「時短部長」「配偶者の転勤帯同しながらもリモートで管理職」「配偶者と育児を半々で担当している執行役員」など、多様なタイプの女性リーダーがいることだと、実際に社外メンタープログラムの導入先企業の女性社員の変化を見ながら確信しています。


実際に、女性リーダー育成には、通常のよくあるリーダーシップ研修などと組み合わせでメンターが有効であるというデータも出ていますし(Frank Dobbin and Alexandra Kalev ` The Origins and Effects of Corporate Diversity Programs `)我々が行ってきたメンタープログラムでも、受講者の女性社員のキャリア・昇進意欲・自信が向上しています。


一方で、社外メンターにも限界はあります。社外の知見を社内に入れながら、社内のメンターも育てていくこと、男性を含めた経営陣、管理職のアンコンシャスバイアス を採用・育成・登用のプロセスから排除すること。それによって、優秀な人材が性別関係なく、安定的に働き続け、上昇を目指していける組織を創ることが必要です。


「女性による、女性のための社外メンターの育成とマッチング」からスタートしたMentor Forも、現在では、男性を含めた、組織のD&I(Diversity&Inclusion)戦略策定、進化に向けた支援を強化しています。



▼Mentor Forの社外メンタープログラム

https://mentorfor.jp/


▼取材に関するお問い合わせ

広報担当 井上千絵

c.inoue@mentorfor.jp




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