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コロナ下で売上好調な「三分割マットレス」、大失敗からひらめいた誕生秘話

著者: 株式会社エアウィーヴ

  

 春の引越しシーズン。新たに寝具を購入、買い替える予定の方も多いのではないでしょうか。

 

 株式会社エアウィーヴは2007年、寝具業界に参入。もともとは釣り糸の押出成形機械を製造する会社でした。創業から14年、わが社の寝具はアスリートや著名人に愛用されているだけでなく、数多くの一流ホテルや旅館に採用されるまでに成長しました。

 そんなわが社の主力商品のひとつとなっているのが、「三分割マットレス」。1枚のマットレスを肩・腰・脚の3つのパーツに分割したマットレスです。去年、コロナ下で営業自粛を余儀なくされる店舗が相次いだ中、同マットレスの個人向け出荷額は前年比120%と好調を維持しました。

 この商品をひらめいたのが、代表取締役兼社長・高岡本州(たかおか・もとくに)。実はこのマットレス、わが社の経営を危ぶむほどの”ある大失敗”から生まれた商品なのです。

 今回は、そんな「三分割マットレス」の誕生秘話をご紹介します。

■海外進出でまさかの事態!配送事故でクレーム殺到

 寝具の販売開始から5年経った2012年、フィギュアスケーターの浅田真央さんがブランドアンバサダーに就任。さらに、ロンドン五輪で日本選手団の公式寝具に採用されると、ブランドの認知度は一気に高まり国内での売上が伸びていきました。

 すると高岡は、念願だったアメリカ市場への進出を決意。2015年、アメリカ・ニューヨークに初の路面店をオープンしました。しかし、そこでまさかの事態が起きます。

 当時、アメリカ国内で販売していたベッドマットレスなどの商品は、日本国内の工場で生産していました。すると、お客様から返品依頼が殺到したのです。日本からアメリカまでの輸送距離が長いため、商品が到着する頃にはベッドマットレスが破損していることが多く、クレームが相次いだのです。

 結局、数十億円もの損失を出し、2017年にアメリカ事業の縮小を決断。国内でも類似品が増えて売上が落ち、社員は次々と去り、会社は危機的状況に陥っていました。

 

■失敗から生まれた、エアウィーヴの救世主!

 しかし、この失敗から、高岡はあることを思いつきます。

 ――「そうだ、マットレスを三分割にしてしまって、お客様に組み立ててもらったらどうだろう」


 マットレスを分割するという驚きの挑戦に、社員の大半が反対しました。それでも、高岡は1か月で開発するよう指示。マットレスを分割するのは当初簡単そうに思えましたが、従来の切断機では分厚いマットレスを切ると刃がぶれてしまい、分割したマットレスの横幅がバラバラになってしまいました。しかし、新しい機械を導入する余裕もなかったため、切断機のパーツを手探りで改良。

 そして、2017年、「三分割マットレス」シリーズの販売を始めたのです。

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 従来、大きくて重たいマットレスは配送業者が2人がかりで運ぶ必要があり、物流コストがかさむうえに、お客様も受取時間が指定できないという問題がありました。

 しかし、「三分割マットレス」なら3つのパーツを2つの段ボールにわけて収納・出荷することができ、こうした物流面の悩みを解消することができました。

 さらに、三分割にしたことで可能になったのが、マットレスの個別仕様化です。各パーツの表裏で硬さを変えることで、パーツを入れ替えたりひっくり返したりすると、例えば「肩部分は柔らかめ、腰部分は硬め」など体形に合わせて硬さをカスタマイズすることができるようになりました。

 

 高岡は以前から、「体重・体形の異なる人が同じ寝具に寝ていいはずがない」と考えていました。「これからは、人が寝具に合わせるのではなく、寝具が人に合わせる時代だ」――分割できるマットレスが今後主流になる、高岡はそう確信したのです。

■コロナ下で注文増!「洗える&自分で組み立て」がポイント

 その後、少しずつ売上を伸ばしていた「三分割マットレス」ですが、2020年、コロナ下で注文が増加します。

 ”おうち時間”を充実させる人が増えたことに加え、「三分割マットレス」なら自分で組み立てられるので配達員が自宅に入って設置する必要がなく、コロナ対策として便利という点から商品を選ぶお客様が増えました。

 さらに、カバーだけでなくマットレスの中材まで「水洗い」できるという点が、世の中の清潔意識の高まりとマッチ。同マットレスの売上は、現在、右肩上がりを続けています。


 そして、嬉しいことに、同マットレスは今年開かれる4年に一度のスポーツの祭典において、公式寝具として採用されました。「清潔で安心な睡眠環境」の提供とともに、「寝る人に合わせる寝具」がさらに定着するよう、われわれはこれからも挑戦を続けていきたいと思います。




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