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"中小企業の活性化”を使命に掲げるNISSOKENの「創業の精神」

著者: 株式会社日本創造教育研究所

株式会社日本創造教育研究所の創業者 田舞徳太郎が、創業に至るエピソードと

創業に込めた想いをお伝えします。


創業の精神は、灰色に見えた海上の船の中から始まっていた。


 平戸島の故郷を出る時、田舞徳太郎は九十九島の島々を抜ける船上にいた。海は紺碧に輝いていたが、甲板から海を眺める15歳の少年の目には灰色にしか見えなかった。大阪に向かう旅立ちはこのようにして始まった。

 中学校3年生の時に父の会社が倒産し祖母の家に預けられた。中学を卒業してすぐに父の借金を返すため、大阪の寿司屋に丁稚奉公に出されることになった。

 「会社がダメになるということがどういうことか」を少年の心に深く刻みつけた1コマだった。思い返せば、この哀しみの船上に、「中小企業の活性化」という志が芽生えた瞬間なのかもしれない。


 職人の世界は大変厳しいものだった。借金完済のその日に夜逃げをした。先が見えなかったからである。「自分にはこれ以外に道はない」と、強く決意したのは博多音羽鮨の山本精一社長の言葉だった。


「人間というのは与えられた状況や環境の中で、

 精いっぱい努力してこそ、次の道はひらけるのだぞ」


 決め手は無限にある。新たにお店を持つ目標に向かい、死に物狂いで学び、努力した。人との出会いに支えられ、昭和45年9月25日『音羽鮨』が誕生。24歳で夢を叶えた。しかし、それは更なる試練の始まりでもあった。


音羽鮨・創業2店舗外観


 金や社会的評価は手に入り、立派な家にも住めるようになった。しかし、自らの人生の最も高い壁となる「人」の問題に苦しめられた。

 人に去られる悔しさと寂しさで、自信は打ち砕かれ、傷つく日々の連続だった。


 徳太郎はふと考えた。

「人が辞める原因は自分にある。経営者として、リーダーとして魅力がないからだ。この人なら人生を託してもいいと思われるような人物になる」

 素直に向かうべき道が見えた。


音羽鮨創業時の田舞徳太郎


 ある研修会で「食べ物づくり人づくり」の経営理念を創ったことが大きな引き金になり、その後の人生に影響を与え続けた。人づくりが強いミッションとなったのだ。

 人づくりのための調理師学校の構想も湧いていた。

 ある記念講演で講師のサントリーの佐治敬三会長(当時)に出会った。テーマは「やってみなはれ」。机上で考えるより、まずやってみること、そこから道がひらけるという衝撃の話だった。


 すぐに行動に移した。思いのたけをその場で手紙にしたためた。「食べ物づくり人づくり」の経営理念を実現するために、調理師学校設立のビジョンを、真摯に手紙に託し、毎日送り続けた。

 次の日も、また次の日も、夢を膨らませながら書き続けた。可能性は無限にある。出来ないのは自分がやっていないだけなのだ。


 126通目、ついに直接電話が入ってきた。日創研につながる道がひらけた瞬間だった。佐治会長が発起人となり、サントリーに支援されて調理師学校ができた。

 しかし、それは見事に失敗に終わった。『技術だけでは人が育たない』ということに気づかされた。人間教育を根底にしなければ真の『人づくり』は出来ない。そのことを痛感させられた。


 当時、日本青年会議所(日本JC)の研修担当常任理事を務めており、多くの青年会議所のメンバーが自宅を訪ねてきた。そして、皆が同じように人の問題を抱えていることを知った。


『自分と同じ悩みを抱える人に手を差し伸べたい』

『中小企業の人づくりに貢献できる教育会社をつくりたい』


そんな思いが強く込み上げてきた。人財育成を諦めることはできなかった。


34th JC National Convention


 アカツキハイツの一室が、日創研の創業の地である。人づくりのビジョンに集ってくれた仲間と徹夜で語り合った。中小企業がこの国を支えている。その中小企業の人づくりと成功づくりに邁進しよう、徳太郎はこの時「中小企業の活性化に殉じよう」と己の心に誓っていた。


 その誓いが、昭和62年3月9日に産声をあげた日創研の創業の精神である。

 もっていたのは熱い念いと、今まで知り合った人たちの名刺だけ。研修カリキュラムを一から作り、夜が明けるまで討論した。心の支えとなったのは、後藤静香先生の「本気」という詩だった。


本気

本気ですれば

たいていな事はできる

本気ですれば

なんでも面白い

本気でしていると

だれかが助けてくれる

人間を幸福にするために

本気ではたらいているものは

みんな幸福でみんなえらい

(後藤静香)



 どんな小さなことも怠らず、誠実に、本気で取り組み、常により以上を目指して実践し続け、可能性に挑んで「日本一の教育・コンサル会社になる」という念いだけだった。

 自分たちだけが成功するのではない。人づくりに悩み、苦悩する人の困難に共感し、立派な会社づくりに貢献することを本分とするため、「共に学び 共に栄える」の経営理念がつくられた。


大阪第一研修センター


 どんなに時代が変わろうとも、人が世の中の中心であり、企業経営の中心である。人づくりは自分づくりであり、我々が先に学び続け、貢献の歩みを続けていく。

 最初に蒔いた創業の精神の種は、いつかは花をひらかせ実を結ばせなければならない。

 共に働く人は国の宝。一人でも、一社でも多くの成功づくりを成し遂げていく。




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