人々の暮らしの中で生きるモノづくり「鉄の可能性」を信じて鉄家具を届ける
鉄製の家具や建材、店舗什器などを、デザインから製造、販売まで一貫して手がける杉山製作所が、Factory Shop「鉄家具と暮らす」をリニューアルオープン。ショップは工場に併設されているため、工場の稼働日には実際に職人さんが家具を作っている様子をご体感いただけます。
杉山製作所では、創業以来、鉄の加工・溶接を専門に培い、自動車部品・列車車両部品などの製作を行ってきました。そしてその熟練した技術と設備を生かし現在では、鉄へのこだわりをもった製品づくりを行っています。今回は大きく事業転換したことで生まれた杉山製作所の新しい魅力と変わらない技術力の源についてご紹介します。
両親から引き継いだ会社を守る選択
2000年、先代の娘で現社長である島田が杉山製作所へ入社。同時に鉄という素材にこだわったインテリア商品の企画提案、製作、販売をまとめて行う事業部として、アイアン事業を開設しました。バブル崩壊後の不景気の影響を受けて売上が落ち込んでいたこともあり、両親から引き継いだ会社を守るための選択でもありました。
島田の前職はインテリアコーディネーター。仕事が減ってきていることに会社の危機を感じ、どうにか助けることができないかと考えていたところへ、ギフトショップを経営していた姉夫婦から「店舗で使うおしゃれな什器を作れないか」という依頼を受けることに。店舗向けの什器をデザインし製作していくうちに、下請けの仕事ではなく自社製品を作って売るという方向へ切り替えていきました。そして2012年にはアイアン事業一本で活動していくことになったのです。
幸い、先代の社長や職人たちが、経験によるアイデアや技術を積極的に出してくださり、協力的でもあったため、新しく入ってきた若い職人たちも事業改革を柔軟に受け入れてくれ、自然な流れで移行していくことができました。
2000年〜2010年までの10年間は店舗什器をメインに製作していました。その後3年くらいかけて鉄家具のブランディングを実施。商品開発を行って展示会に出展しては、その都度、お客様からの評価を受けとるということを繰り返す事で商品のブラッシュアップを行い「鉄家具ブランドの確立」をしました。お客様に鉄家具の魅力を伝え、様々なインテリアショップさんに扱っていただけるようになりました。鉄の魅力は細くて、強度があり、デザインの自由度が高く、より洗練されたデザインを追求できることです。
初めて家具のブランドとして発表した椅子は、鉄の魅力を追求した椅子でした。「斬新すぎて住宅向きでない」などの意見をいただき、なかなか住宅用に受け入れてもらうことができませんでした。
そこからいろいろな家具の開発をしていくなかで、「鉄の椅子で一番座り心地の良い鉄椅子を作りたい」という社長の想いから椅子の開発に本格的に取り組むようになりました。
「座り心地の良い鉄の椅子」として家具デザイナーの村澤一晃さんと作った椅子は、2年間、約10回の試作を重ねて形になりました。
良いものができても、それを売ることは難しく、魅力をどんなふうに伝えていくのかも試行錯誤でした。
「BtoBからBtoCへ」感じた課題
製造業は良いものを作ることができても、出口をつくることが難しい。どのような場所で利用される家具や什器か、価格帯はどれくらいで販売するか、など「どんなものを作ってどのように売るか」を社長自らが考え社員と共有していくことで、現在の仕組みが作られました。
杉山製作所では近年、社員全員が参加して意見を出し合う「ワークショップ形式」の商品開発をしています。企画営業スタッフ、製作や物流スタッフ、デザイナーなど、それぞれ違う目線からの意見を取り入れることで、よりよい製品開発ができるようになりました。直営店スタッフの接客で、お客様から伺える意見や要望も、積極的に商品開発に反映しています。
また、定期的に社員全員が集まり、各分野での取組みを共有したり、働く環境づくり「10年後の工場を考える会」を実施して、社員がみんな効率よく仕事をしようと意識して仕事をしています。
Factory Shop「鉄家具と暮らす」
今回、店舗を改装するにあたり「お家に置いたとき」をイメージできるよう、今までモルタルだった床をフローリングにしたり、空間を仕切る壁を増設したりしました。もともと工場の一部だったところを、少しづつリノベーションして今の空間にしています。
何年かはショールームとして、そしてその後の何年かはお店として運営してきた場所に今回さらに手を加え、全面的に「鉄家具のコーディネート」を楽しめる空間に改装しました。床を貼ったり壁を建てたりする工事は職人さんに依頼しているものの、床を塗ったり壁を塗ったりする作業はスタッフが自分たちの手作業で行いました。
新しいショップはエリア別に「ラグジュアリー」「ナチュラル」「カフェスタイル」など、それぞれをイメージした暮らしやインテリアの提案を展⽰をしています。ファクトリーショップでしか買えない商品もございます。
また、ショップ併設の工場で、職人さんが家具を作っている様子に触れ、手仕事やモノづくりの魅力も体感していただきたいです。
日本には鉄で家具を作るメーカーをほとんど見たことがなかったので、作っても売れないと思い込んでいました。でも社長は家具が大好き。特にイタリア家具はとても洗練されていて憧れていました。
まさか自分たちが鉄で家具を作るとは思ってもみませんでしたが、ある方のアドバイスがきっかけで2020年11月に1台の鉄板のテーブルを作って展示会に出展しました。そこでのお客様の反応が「鉄って温かみがあるんだね」「手触りがいいね」「手作り感とシャープなデザインがかっこいいね」と可能性を感じる言葉をいただきました。そこから家具を本格的に作ることが始まりました。
杉山製作所が見つめる「鉄の可能性」
近年、安価でデザイン性の高い海外製の家具が市場に広がり、家具やインテリアにお金をかけない方も増えてきています。そんななかで、長く使えて高品質の鉄家具を、もっと幅広い世代の人に知ってもらい、国産のものづくりの良さを体感してもらいたいです。
丈夫で長持ちする鉄家具は、長い目で見ればコストパフォーマンスも良く、鉄はリサイクルできるのでエコな素材でもあり、今の時代に合っているといえます。そういったことも伝えていくために、社員みんなで考えながらモノづくりを続けていきます。
直営の店舗をリニューアルしたことで、より鉄家具の魅力や、暮らしの中での鉄家具の役割を伝えていける場所ができました。
鉄家具といえば杉山製作所だよねと思い出してもらえるような、「鉄家具のスタンダード」を目指して、よりたくさんの方に鉄の可能性や鉄家具の魅力を伝えていきたいと思います。
杉山製作所 Factory Shop 「鉄家具と暮らす」
住所:岐阜県関市旭ケ丘3丁目13番地
営業時間:平日10:00~17:00、第2土日10:00~17:00
定休日:火曜、土日(第2除く)、祝日
オンラインショップ:https://fit-shop.tetsukurite.jp/
Instagram:https://www.instagram.com/tetsukagu/
こちらの記事でもショップについて紹介しています
https://note.com/tetsukurite/n/na5337a86ef35
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