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歴代介助犬フェスタが築いてきたもの…初代実行委員長が開催決意の裏側を語る。 社会福祉法人日本介助犬協会 専務理事 高柳友子

著者: 社会福祉法人 日本介助犬協会



 「介助犬、人のために犬を働かせてかわいそう」「厳しくて過酷なトレーニングしてるんでしょ」介助犬の啓発に取り組む私たちが、常にさらされていたネガティブな犬の飼い主の方からの言葉だった。


 2009年に開設した介助犬総合訓練センターは全国で唯一の介助犬専門訓練施設として多くのメディアに取り上げて頂き、開所から半年は、1ヶ月に一度の見学会は毎回2ヶ月以上の予約待ち。北海道から沖縄まで、全国からたくさんの方に訪れて頂き、訓練犬の犬舎から障害者が入所できるお部屋、トレーニングルームなどくまなく見学して頂き、PR犬や訓練犬によるデモンストレーションとトレーニング紹介も見て頂いた。介助犬と生活している使用者さんのお話も聞いて頂き、質問もたくさん頂いた。回収率毎回ほぼ100%のアンケートでは、「犬たちの楽しそうな様子に驚いた。」「シンシアの丘の犬は表情豊かで可愛い!」「職員の皆さんが犬たちを大切にしていることが伝わってきました」「犬と人の絆が感じられた」シンシアの丘を訪れていただくことで、確実に私たちが大切に伝えていきたい「人にも動物にもやさしく楽しい社会をめざして」の想いは伝えられると確信した。犬たちの表情や職員の笑顔と犬への接し方、介助犬と共に暮らす使用者さんの話を聞いて頂くことで、確実に介助犬への正しい理解が深まり、どれほど犬は私たち人間にとって大切なパートナーであり素晴らしい動物であるかを伝えることが出来ると確信していた。

              <介助犬デモンストレーション>


しかしながら、メディアの最後にコメントで「厳しい訓練」「我慢している」「ストレスがかかっている」と言われることは絶えず、イベント先でも「犬好き」の方から手厳しい言葉を浴びさせられることもあり、使用者さんからも「介助犬に向かって、大変だねえ、頑張ってね と声をかけていく人がいて傷ついた」と聞くにつれ、シンシアの丘への見学や啓発イベントに出向いて下さる方だけに啓発していても理解は深まらない、誤解は解けないと感じた。介助犬は可愛そう、と思い込んでいる犬の飼い主にどうしたら理解してもらえるのか。考えあぐねて思いついたのは、犬と一緒に楽しく参加できるイベントの開催だった。犬と一緒に遊びに来て頂いた先で、甘い視線で見つめ合う介助犬とパートナーの姿を見かけ、ブンブン尻尾をふりながら冷蔵庫を開けてボトルを取り、携帯電話を探して持ってくる介助犬の作業を見れば、犬たちが喜んで作業をするように訓練していること、介助犬は決してかわいそうな犬ではないこと を理解してもらえるはずだと考え、犬連れで参加できる大規模なイベントを開催しよう!と思いついた。

 初代実行委員長を私、高柳友子が務めることとなったが、職員からは「たくさん犬が来て犬同士のトラブルがあったらどうする?」「大規模なイベント開催の協賛が集まるのか」「職員が日常業務に追われる中、準備の負担が大きすぎる」などなど、何度とない話し合いが必要だった。しかしながら、私たち協会のモットー 人にも動物にもやさしく楽しい社会をめざして の理念と介助犬たちは楽しく介助動作を身につけ、人に褒められたくて作業をしてくれている、幸せな犬なのだということを、知ってほしい!という想いを、支援をして下さる企業や法人の代表者にぶつけ、シンシアの丘のすぐ近くの愛・地球博記念公園のご理解を頂き、介助犬の啓発を通して、障害者に対する理解を深めるためのイベント「介助犬フェスタ」開催に向けて準備を進めている時、東日本大震災が起こった。

開催するのか?ご寄付で運営している私たちがするべきことは??この時も、何度も話し合った。そして、私たちに出来ることは介助犬と暮らす障害者と介助犬を待つ方々に不安を与えないためにも発信を続けること。と結論を出し、2011年5月14日開催の運びとなった。会場に東日本大震災への支援のための募金箱を設置した。介助犬に対して、と東日本大震災に対して、両方へのご支援をして下さる方がとても多かったことに感動した。

 

 初年から3000人を超える来場者と200頭を超える犬の参加があった。犬同士のトラブルがないように、飼い主が犬を適切に管理することの啓発にも繋げるべく、ボランティアによる「わんわんパトロール隊」に排泄管理と熱中症予防を呼びかけてもらい、ペットシーツの犬のトイレを用意した。ステージでは、介助犬だけでなく盲導犬・聴導犬のデモンストレーションが一番人気で、犬のこと、障害者のことを1日で学べるイベントとして、毎年のリピーターがどんどん増えていった。










 <愛犬しつけ方教室体験>









                        

                       <愛犬にがおえ>                   


2019年には7600名、400頭を超える人と犬の来場があり、会場は常に笑顔に溢れていた。犬のしつけ相談やしつけ方教室は予約が即埋まり、愛犬似顔絵コーナーには常に長蛇の列ができ、みんなのドッグショーは人気を博し、車いすバスケットボール体験や車椅子体験、障害者用の車両の展示と体験コーナーは子供にも大人にも人気の企画となった。介助犬育成・普及活動はほぼ全ての収入がご寄付と募金、チャリティグッズ販売の収益に支えられている。介助犬フェスタでチャリティグッズを購入することを楽しみに毎年来場して下さる方も多く、新作Tシャツやグッズは午前中で売り切れるものが多くてうれしい悲鳴をあげた。

全国から介助犬、盲導犬、聴導犬の使用者さんが介助犬フェスタで集まろうと待ち合わせをし、レトリバーをはじめとした同じ犬種を飼っている飼い主さんたちが「介助犬フェスタでねー」と集い、介助犬フェスタ会場では、主催者の自分たちすら、日本にはこんなにたくさんの大型犬がいて色々な犬種を飼っている人がいて、そして、こんなにマナーが良い飼い主さんが多くて素晴らしい🐾 と嬉しくなった。










<グッズ販売の様子>











 一般的には、街で障害者と出会う機会も多くはない。まして介助犬やその他の補助犬と出会う機会はない。だから障害者も介助犬と共に暮らす人も自分とはまるで関わりのない違う世界の人と考えがちだ。犬という共通の話題から、介助犬の訓練や犬と人との絆に関心を持ち、そこから障害についての理解に繋げられるイベントをめざして開催してきた趣旨は確実に来場者の数とともに広まったのではないかと思う。


      <多くのボランティア、介助犬使用者の皆さんと集合写真> 


 コロナ禍で、2020からはオンライン開催となった介助犬フェスタは、次なるステージを迎えた。対面で一堂に会せないことは寂しくはある。が、逆に全国の障害者から、オンラインだからやっと参加できたと声を頂き、1年中ネットで見て頂けることで会場のキャパの何倍もの数の方に見て・知って・感じてそして楽しんで頂くイベントとして発信することが出来ている。


            <オンライン開催の様子>    


コロナ禍が落ち着いて対面で集まれるようになったとしても、オンライン発信は続けていきたいと考える所以だ。

多くの方が、見て・知って・感じたことをさらに拡散してその輪を拡げて下さることを願っている。


介助犬フェスタ2021 https://kaijoken-festa.jp

日本介助犬協会YouTube https://www.youtube.com/channel/UC2w5dXlD5P1LvcubIH5dMhw

日本介助犬協会HP https://s-dog.jp






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