”援助ではない社会課題解決を” - NPOの活動を支える資金調達への挑戦
創立して5年半となるAfriMedico。健康と笑顔を届けるべく、アフリカで置き薬事業を展開する認定NPO法人だ。ビジネススクールで生まれたアイデアは、その後、実際に海を越え、今も広がり続けている。その活動を支えるために重要な資金調達を担当する竹村理事に話を聞いた。
-AfriMedicoでの活動の原点になっているできごとなどはありますか?
発端はアメリカ同時多発テロのあと、アフガニスタンの報道が日本でも増え、そこでの貧困にあえぐ家庭の存在を知ったことです。借金を返すために日干しレンガを作っている家族を紹介している番組があったのですが、レンガは人がいればいるほど多く作ることができるので、その家族の子どもたちは学校に行かず働いていました。番組の最後にスタッフが子どもへインタビューをしていたのですが、そこで子どものひとりが「日本のみんなも大変だと思うけど、がんばろう」と言ったのです。おそらくその子は、自分と同じ様に日本の子どもも学校には行けず働いていると思っていたのではないかと思います。学ぶ機会がないとこうなるんだという衝撃を受けました。これをきっかけに機会均等の実現に何か貢献したいと強く思うようになったのです。
ワーキングホリデーで滞在中のカナダにてボランティア仲間と(右から4番目)
-竹村さんはその後、どう行動しましたか?
国際協力に関わるためには英語が必要と考え、ワーキングホリデーを利用しカナダへ行きました。カナダ滞在中にボランティア活動に参加していたのですが、そこで知ったのは、どこの団体も資金調達が一番の課題だということです。何をするにもお金はかかります。それで自分自身が稼げる人になりたいと考え、帰国後は国際協力ではなく、一般企業へ勤務することにしました。その後偶然ですが、新たな就職先ではCSR(Corporate Social Responsibility、企業の社会的責任)を担当する機会があり、児童労働などの社会問題をいろいろ学ぶことができました。
-AfriMedicoに関わるようになったきっかけは?
社会人ビジネススクールに通っていたときに、すでにAfriMedicoにかかわっているクラスメートと知り合ったことです。最初は気楽な気持ちで説明会に参加しただけでしたが、そこで資金調達を担当することになりました。NPOで活動するならば、やはり資金調達として、という思いがあったのです。
いろいろ取り組みましたが、反響があって嬉しかったのは、通ったビジネススクールが主催する「あすか会議」というイベントのスピーチ原稿を作成したことです。代表理事の町井が発表する内容を、本人と何度もやりとりしながら、原稿を作成しました。町井本人には強い思いがあり言葉にもこだわりがあるのですが、客観的に「それでは伝わらない」と率直に返したこともありました。ターゲットに合わせたスピーチを企画することで、結果として寄付者も増えたので、資金調達担当として、手ごたえを感じました。
AfriMedicoの活動や良さをどう伝えるのか、試行錯誤の日々
資金調達にはもう一つ、大きな柱である助成金獲得という業務があるのですが、残念ながらこちらはまだそこまでの手ごたえを得られていません。助成金を提供する側には目的があり、それにマッチしないと採択してもらえないのですが、相手にあわせすぎてしまうと本末転倒な結果を招きかねません。そういった点に難しさを感じています。
-いろいろ大変なことがある中で、どうして無償のプロボノ活動を続けているのでしょうか?
大きな理由は、メンバーの多様性です。AfriMedicoのメンバーは全員プロボノなので、本業もそれぞれであり、単に人が集まっただけではない多様性があります。医療系NPOですが、メンバーには医療とは関係ない仕事をしている人も多く、バックグラウンドも年齢も異なります。その多様性がおもしろいと思っています。人が集まるとどうしてもバックグラウンドが近くなりがちですし、実際にビジネススクールの仲間の集まりもそうなのですが、不思議なことにAfriMedicoは違うのです。理事になってさらに多くのメンバーと関わるようになり、より一層メンバーの多様さを感じるようになりました。多様なメンバーに囲まれて「大変ではないですか」と聞かれることもあるのですが、かえってそれが活きることが多いのです。
具体的な事例をあげると、前述のスピーチも、別のメンバーが作成したあるメディア向けインタビュー資料がたたき台になっています。さらに、原稿を作っていく中で、新規事業の立ち上げを本業とする他のメンバーからも意見をもらいながら、ブラッシュアップできたのがよかったです。
来日したタンザニア人スタッフと(左から2番目)
-理事として、AfriMedicoの活動を通じて実現したいことはありますか?
まずはAfriMedicoの黒字化を実現したいです。またこちらは個人的な目標ですが、AfriMedicoの安定した財政基盤をつくりあげたい、それが実現したときに一部は自分の成果だと胸を張って言えるようになりたいと思っています。AfriMedicoで資金調達を成功させること、それを目標としてやってます。
また、もう少し大きい話をすると、生まれた場所によって人生が左右されない世界になってほしいと思っています。AfriMedicoは置き薬事業を中心にしてますが、実は大事なのは置き薬があることそのものではなく、それに伴って身近な疾病の予防や対処法などの知識が増えていくことです。途上国では、大病でなくても命にかかわることがあるので、そうした負のスパイラルがない世界を実現したいと考えています。
竹村のり子
認定NPO法人AfriMedico理事。
大学を卒業後、プログラマー・SEとして企業向けの業務アプリケーション開発に従事する。ワーキングホリデーとして1年間をカナダ・バンクーバーで過ごし、帰国後は小売業に身を置く。
海外で貧困家庭の子供が学校に通えず格差が固定化されている状況を知り、機会均等の実現に何か貢献したいと強く思うようになる。援助型ではなく事業を通じた社会課題の解決に取り組むAfriMedicoの存在を知り2018年に参画。簡単には利益が出ない事業環境下でそれを実現する挑戦を下支えしようと資金調達チームで活動。2020年から理事に就任。
AfriMedicoでは、現在、理事を募集しています。情熱をもって、前のめりに、柔軟な発想で、組織を牽引していくことができる方、ぜひAfriMedicoの仲間に加わりませんか?特にITトレンドに強い方、プロジェクトやチームをリードしたご経験がある方を積極募集しています。
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