「3Dアバターで世の中に革新を起こしたい」私たちが3Dアバタープラットフォームを構築しようとしている理由
株式会社VRCは、高性能な人体の3Dアバターを高速で撮影し、様々な分野でそのアバターデータを利活用するためのプラットフォームを持つスタートアップ企業です。2016年5月に創業し、5周年を迎えました。創業期からCEATEC JAPANを始め、様々なところで受賞などもしましたが、その背景には苦労もありました。今回は代表取締役社長のシェーインディが当時を振り返りつつ、VRCのこれまでとこれからについて語っていただきます。
創業のきっかけ
私はもともと大学教員になりたいと思っている研究者でした。しかしもっと自分の力を試したいと企業に就職し、引き続き画像処理の研究開発を行っていました。そして企業で働く中でより社会のために何かをしたいと起業に踏み切ったのです。
人体の3D画像処理を選んだのは、世の中として音声情報、2D画像情報と技術が進歩している中で、次には3D画像が来ると思っていたからです。VRCの社名は、Virtual Reality Creativeの頭文字をとっています。技術力には自信があったので人体の3Dアバターに関する技術会社を創業しました。「実生活の課題を、バーチャルで解決する」というミッションを掲げ、とにかくVRCが開発する技術を社会に実用化させたいという思いで、人体の3D化に特化したビジネスを行っております。ほかの企業と異なるところは、トータルソリューションでサービス提供している点です。3Dアバターを撮影するだけでなく、データを安全に管理するクラウド環境やセキュリティ管理機能などのバックエンド技術も含めたご提供を行っております。VRCは3Dアバターに関するインフラ企業となるべく、日々技術に磨きをかけています。
CEATEC JAPANへの出展と挫折
2013年末から3Dの人体を瞬時に撮れるスキャナーを開発し始めておりました。そして2016年5月に株式会社VRCを創業しました。創業当時の苦労として印象に残っているのは、人々に弊社の技術力が理解されにくかったことです。自分は技術畑の人間なので、素晴らしい技術を作れればそれでいいと思っていたのですが、実際には世間に技術を提供して初めて技術力が理解されることに気が付いたのです。
印象に残っているのは、2016年のCEATEC JAPANでブース出展をした際の出来事です。ブースにはたくさんの来場者の方が見にきてくださり、大盛況でした。皆さんが興味を持って面白いと反応を返してくださいました。そしてDigital Imaging部門でグランプリ受賞もさせていただきました。しかしいざ商談になると「3Dアバターが撮影できて面白いけれど、それでなにができるの?」と言われ、回答に詰まってしまい具体的な取り組みにつながらなかったのです。
ここから暗中模索の数年間は苦労しましたが、今では苦労したことが価値になっているので無駄ではなかったです。人が困難を乗り越えようとする力には差が出ますが、普段からしつこく取り組んでいきたいと思っていますし、そのおかげで今があると思います。
事業化に向けた取り組み
私たちはCEATEC JAPANの経験から人体の3Dアバターをどう活用するのか、試行錯誤を繰り返しました。スキャナーの試作機の製作も3代目、5代目、10代目…と開発を進めていきました。スキャナーだけでなく、システムの改良も同時に行いました。スキャナーのアバター生成時間も当初は5分でしたが、アルゴリズム開発を行いどんどん早くしていきました。なぜならエンドユーザーが体験してすぐに生成結果がみられないと一般化は難しいと考えたからです。現在では撮影時間0.2秒、アバター生成時間約20秒まで縮められています。
さらに撮影するだけではなく、3Dアバターのデータを安全に管理するセキュリティ環境の構築、データを保管するクラウド環境の構築なども行い、3Dアバターをスキャンした後にいかに利用しやすくするかということの検討を重ねました。その結果、3Dアバターに関するプラットフォームを構築しサービス化することができました。そして3Dアバターをどう使えるか、どうやって実生活をよくできるかメンバーで議論を重ね検討続けました。
その甲斐もあって少しずつ成果が出始めます。2018年の平昌オリンピックには日本代表の技術として採択され、現地を訪れたたくさんの方に体験いただきました。また同年の東芝テック様のアクセラレータープログラムにも応募し採択されました。
2019年にはNTTドコモ様と実証実験の取り組みが開始されました。弊社のスキャナーで撮影した3Dアバターをアプリにダウンロードし、動くスタンプを作れるという取り組みを実施しました。
そのように少しずつ、3Dアバターを使った取り組みや世界観の普及ができるようになってきたと感じております。
アパレル業界に対するDX
3Dアバターを活用する領域には、エンターテインメント、コミュニケーション、フィットネスなどがあげられると思いますが、現在VRCでは、アパレル業界に向けた取り組みを加速しています。例えば、服の3Dモデルを実用技術化するなどの研究開発を実施しています。
アパレル業界ではコロナ禍ということもあり、大手企業でも店舗を複数店たたむところが出始めています。店舗の減少もあり、エンドユーザーからすると店舗におもむいて試着し購入するという従来の購入体験が実現しにくいと感じております。もしも自宅で自身の3Dアバターに試着させることができれば、どこかに行く必要もなく購入後のミスマッチや返品なども減らせるのではないか、と我々は考えており技術開発を急いでいます。
また、環境省からもサステナブルファッションと銘打って、アパレル業界にDX化を促す情報発信が出ています。
このサイトで説明されている通り、服の製作工程では大量の水の汚染問題や生地の廃棄の問題などが顕在化しています。服の製作工程を3Dモデリング技術を使って行うことができれば、そういった問題の解消になると考えています。また、人体のサイズデータが大量にあれば、どういうサイズがどれだけ必要になるかについても推測することができ、やみくもに大量生産するのではなく、生産量をコントロールすることも可能です。そうすることで、大量廃棄の問題解決にもつながります。
VRCではアパレル業界に貢献すべく、バーチャル試着技術やアパレル業界向けのスキャナー開発など新たなトータルソリューションの構築に現在力を入れています。
<関連プレスリリース>
今後の展望
目標は世界でまだないものを創り出すというのが使命だと感じています。VRCは日本だけではなく世界を舞台にするワールドリーディングカンパニーになりたいと考えております。メンバーを大事にし、一緒に成長していくスタンスはそのままに、お互いに助け合いながら進んでいける文化を大事にし、コストパフォーマンスとトータルソリューションに軸足を置いた開発をしていきます。
スキャナーについても、カメラの台数を減らしつつ品質を担保しコストダウンするようなバージョンの開発や、アパレル業界向けに試着室に入れられるバージョンの開発などを行っております。私たちのスキャナーや3Dプラットフォーム技術を世界中に社会インフラとして展開していければというのが、我々のビックドリームです。今後のVRCの活躍にもご期待ください。
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