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人の数だけ、物語がある

ファッションを自分でつくる時代へ。デジタルマーケッターによる「OWNLY ONE」ビジネス開発ストーリー。

著者: 株式会社千鶴堂

自分で料理がつくれるようになると「食」の世界は一気に広がります。ファッションも完成品を組み合わせるだけでなく、つくりはじめるところから積極的に関わっていきたい。自分のファッションを自分でつくる。新しい生産消費スタイルの提案です。



「なんか欲しい物がみつからないなあ」。その時ひらめいたのが「なければつくってしまおう」でした。

昔、カメラもグラフィックデザインもプロがやるものと決まっていました。今はだれもがかっこいい写真を撮り、デザインしたものをネット経由で印刷したりしています。それと同じように服や靴も自分でデザインしたり自分用にカスタマイズする時代が来るに違いない。

そう思った私は早速、メガネと靴をオーダーメイドで職人さんにつくってもらいました。そして日々使ってみて感じたのが、「自分の意見が反映されていたモノって結構愛着が湧いてくるし、多分簡単には捨てられないだろうな」。

自分オリジナルを持つ喜びを実感したことが「わたしだけの世界に一つ」をキーワードにしたOWNLY ONEビジネスにつながりました。



オーダーメイドやカスタマイズは地球規模で問題となっている大量生産大量消費のサイクルから脱却できる。顧客満足度も高い。質の高い日本の職人や製造業にも合致する。まさに三方良しといえます。

MIT(マサチューセッツ工科大学)スマート・カスタマイゼーション・グループによれば、2020年アメリカのカスタマイズ衣料は衣料全体の15%を占めると予測(カスタマイズ、CCCメディアハウス、2014年11月初版発行)ということで、その流れは必ず日本にもやって来る。でもなぜ日本ではパーソナライズが浸透していないのか。価格の不透明感や仕上がりへの不安など情報不足が影響しているのではないか。仮にそうであったらオーダーメイドに特化した口コミ情報サイトをつくればいい。

そうしてできあがったのが[「買う」から「つくる」へ。]をスローガンにしたOWNLY ONE.comサイト(https://ownly-one.com/?m=top)です。そして、私自身もシャツやらデニムや自転車やらとオーダーメイド&カスタマイズの経験を積んで「わたしだけの世界に一つ」をつくっていきました。




しかしOWNLY ONE.comは口コミが投稿されるどころか一向にアクセスが伸びません。応援してくれる企業も現れず、結局メディア事業は開店休業状態。メディアによる情報提供はオーダーメイドを検討する人にとっては有益かもしれないが、そもそもモノをつくるという発想自体が現代の消費者にはないのではないか。まずは、日本の消費者に自分だけのモノをつくる機会を創出すべきではないか?

そこで原点に立ち返ってオーダーメイドビジネスを見つめ直したところ、一般的なオーダーメイドと私が求めているオーダーメイドとの間にギャップがあることに気づいたのでした。


私が求めるオーダーメイドは、どうせ世界に一つをつくるのなら「もっといろいろ自分で考えたり試したりしたい」ということです。「採寸をしました。あなただけの1着です」「全部で何万通り。用意したアイテムから選んで下さい」。これらはこれらで十分満足感が得られますし、愛着感も湧くでしょう。

でも私は、1枚のシャツであっても、なぜこのエリのカタチにするのか、なぜこのボタンの色を選ぶのかといったことを一つ一つ納得したいのです。それは突き詰めると「自分らしさとはなにか」「自分という人間をどのように見てもらいたいか」といった個性の表現につながり、さらに深掘りすると素材や技法、トレンドなども学んで生産側のプロの領域にまで首を突っ込んでつくり上げるというイメージです。そして完成品を実際に使い「もっとこうした方がよかった」「次はこうしよう」といった気づきを得ることでノウハウを蓄積し、次の企画に生かしていく。そのイメージを踏襲してOWNLY ONEでは「自分をよく知る自分がメーカー目線でモノをつくり、その製造意図をよく知る自分が正しくそれを使う」と規定しました。

第1弾プロジェクト「OWNLY ONE 染色キット」の企画意図は、染色をしてもらうより、色の価値が極めて重要なファッション製品をつくってもらうことにあります。お客様自身がメーカーあるいはブランドとなって、OWNLY ONEはそのサポート役。今までにない生産消費スタイルを提案していきたいと思っています。


▼「OWNLY ONE染色キット」プレスリリース▼


「OWNLY ONE染色キット」Makuake(マクアケ)より




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