目指すは「管理部門の業務支援ツール」。300社から5万5千点を預かる法人専用向け倉庫の誕生秘話
300社以上に利用されている、法人専用宅配型トランクルームサービス「ストックマモル」。運営会社である株式会社日本パープルは、2021年5月に創業50周年を迎えた老舗セキュリティブランドです。140%の昨対売上を達成した本サービスの誕生秘話について、事業責任者の白石さんとマネージャーの武内さんに話を聞きました。
(左)マネージャーの武内さん (右)事業責任者の白石さん
倉庫業界の常識破りのサービス「ストックマモル」の特徴
――「ストックマモル」の特徴について教えてください。
白石:一言で言うと「法人専用の宅配型トランクルームサービス」です。シンプルなシステム操作で、誰でも簡単に荷物の出し入れができます。倉庫・会社間の荷物の輸送もサービス内容に含まれているので、わざわざ社員を倉庫に出向かせる必要がない点が大きな特徴ですね。また、預けた荷物は写真で確認可能です。
一般的な倉庫は坪単価や一畳でいくらといったスペース代での運用が基本ですが、ストックマモルでは従量課金制を採用しました。預ける荷物が増えたら価格が上がり、減ったら下がるというわけですね。その昔、私は業界に従事していたためわかるのですが、これは倉庫業界の常識を覆すものなんですよ。
――ということは、荷物がなくなってしまったら利用料がゼロ円になるのですか?
白石:その通りです。無駄なコストが発生しないため解約をしていただく必要がなく、無料のアカウントさえ保持していただければ、預ける荷物が出てきたタイミングで繰り返し利用していただける。申し込みと解約を繰り返す必要がなくなるんです。
このように、倉庫業界にとって非常識なスタイルを採用したのは、ストックマモルが目指すところを「倉庫」ではなく「管理部門の支援ツール」に位置付けたかったためです。サービス内容の設計も、「ただ荷物を預かる場所」ではなく「業務の利便性向上」を軸に考えました。
武内:その思いが表れているのが、荷物の廃棄代行サービスです。保管していた荷物が不要になった場合、同一システム内で廃棄依頼までできるんですよ。
白石:荷物を減らしたら弊社の利益が減るのに、減らすお手伝いをするサービスを含めたんです(笑)。従来の倉庫では、会社側が荷物の廃棄処分をしようとしたら一旦荷物を自社に輸送し、そこから再度処理場に運ぶという二度手間が発生していました。お客様にヒアリングをしたところ、廃棄代行にもニーズがあると確信できたため、サービス内容に組み込みました。廃棄処理には自社で有している機密文書の処理工場を有効活用しています。
――あらためて、ストックマモルを開発することになった背景についてお聞かせください。
白石:弊社は今年5月で創業50周年を迎えました。時代に合わせてブラッシュアップしながらではありますが、機密文書の処理をメイン事業としてきました。処理のためお客様に出入りしているなかで、廃棄するだけではなく一時預かりのニーズがあることがわかったため、1986年、機密文書の保管事業を開始。その後、文書だけではなく物品も保管できるサービスを作ろうという話になり、ストックマモルの開発に至りました。
――先ほど、荷物の出し入れを自らする必要がない点が特徴だというお話がありました。サービス開発にあたり、そこは最初から考えていたことなのでしょうか。
白石:そうですね。一般的な倉庫が多くある中で、法人専用サービスとしてどうすれば優位性を出せるのかを検討しました。荷物の出し入れまでをサービス内容に含めようと思ったのは、お客様先にニーズがあると知っていたためです。「取りに来てくれないんですか?」と尋ねられることが多々あったんですよ。
一般的な倉庫では、まず倉庫側に「荷物を入れたいけど空きはありますか」と問い合わせを入れ、日程を調整します。そこから運送会社に「いついつに配送をお願いします」と別途連絡を入れなければなりません。その手間も省こうと、ストックマモルでは1回の簡単な手続きで運送会社の手配から倉庫への入庫までをカバーできるように設計しました。
――プロジェクトを進めるにあたって、課題はありましたか?
白石:幸いにして、大半の課題は初期段階でクリアしていました。倉庫業を手掛けるにあたり、ネックになるのは保管施設です。しかし、弊社では初めから複数の倉庫を保有していました。それも、セキュリティレベルの非常に高い、機能的倉庫です。格納できる荷物量が一般的な倉庫と比較して格段に多かったので採算的にも大きなメリットがあると思いましたね。
――荷物を写真で確認できるようにしたのはなぜでしょう?
白石:荷物を扱う総務部の業務をイメージしたら、おのずと写真が必要だという結論になりました。テキストだけでの在庫管理では、「椅子 黒 5台」「椅子 黒 大 3台」といった具合に、どれが何なのかわからなくなりがちです。「これを出しておいて」と頼まれた総務の社員が、迷わず必要な物品を出し入れできるようにしたい。そのためには、写真による可視化が1番だと思ったんです。
収納物の色・形・大きさを直観的 にウェブ上で把握できるので、 備品管理者の負担を軽減します
システムの開発を依頼した会社は、デザインの面でも見識が高かったため、UIUXの点でも非常に使い勝手の良い出来になりました。
武内:リリース当初は、マニュアルがなかったほどです。途中で「さすがに一応作っておこうか」ということで作成しましたが、実際にはマニュアルを見ずとも問題なく操作できます。
白石:倉庫に入れたものの出し入れは、そう頻繁にあるわけではありません。会社によっては、年1回のイベント時のみといったケースもあるでしょう。たまにしか使わないサービスだからこそ、毎回「どうやって使うんだったっけ」と迷わないようにしたかったんです。機械の電源を入れられる人であれば誰でも使えるほど、シンプルな操作性を徹底しました。
IT系企業からスポーツチームまで、大小さまざまな企業が利用。コロナ禍で新たなニーズも
――顧客企業からの反応はいかがですか?
武内:写真で管理できることに対して喜んでいただけることが多いですね。Excelでのテキスト管理だと、ファイルを作った人にしか荷物の詳細がわからなくなるという課題があったのですが、写真だと簡単に後任者に引き継げるとおっしゃっていただけています。
白石:140%の昨対売上を達成し、売上も右肩上がりと、数字にも好調さが反映されています。ありがたいですね。
――どういった企業に利用されているのでしょうか。
白石:多種多様ですよね。
武内:ええ。具体名は出せませんが、航空会社から通信、金融、IT系や人材系、飲食やジム、書店、不動産、大学、イベント会社など、かなり幅があります。現在、アクティブ数にして300社ほどご利用いただいています。お預かりしている点数は累計およそ5万5千点ほどです。
――意外だった業界はありますか?
武内:スポーツチームでしょうか。ユニフォームやトロフィー、イベント用のグッズなど、さまざまな物品を預け入れていただいています。
白石:ITゲーム会社が、とてつもない数のパソコンを預けることにも驚きました。常にパソコンを使う仕事なのかと思いきや、開発時だけ必要とされるケースがあるのだと初めて知りましたね。
――ローンチ後にわかったニーズや反応はありましたか?
白石:老舗セキュリティブランドであるという点への評価の高さでしょうか。ウエアや制服類、コラボ商品やキャラクターグッズは、安易に廃棄ができません。どこかで不正に入手されてインターネットオークションに出品されたなんてことが起きたら大問題ですし、警察や航空会社など安心安全に関わる業種は、制服が盗まれると事件に繋がりかねません。その点、弊社ではご要望に応じて二次利用されないようにするなど、機密性の高いものを確実に廃棄することが可能です。かねてより自負はしていましたが、やはりセキュリティ面を評価してくださる企業が多いと実感しています。
武内:2020年からはコロナ禍の影響も、ニーズの変化に繋がっています。オフィスの縮小や撤退、レンタルオフィスへの一時移転のため、物品の保管ニーズが急激に上がりましたね。
白石:リモートワークが増え、新入社員向けのキット一式を倉庫から直接社員の自宅に送ってほしいという事例もありました。
武内:会社以外の場所への配送でいうと、コロナ禍以前からイベント会場への直接搬入、搬出といった使い方もされていました。なるほどなと思いましたね。
来年夏には新たな自社物件も運営開始予定。唯一無二のサービスとして今後もさらなるサービス向上を
――今後、ストックマモルのさらなるサービス向上についてはどのようにお考えですか?
武内:利用企業の増加に伴って、機能追加に関するご要望も寄せられてきます。毎年バージョンアップをしていますが、今後もニーズに応えながらシステム面をさらに向上させていきたいですね。過去には、1アドレス1アカウントだったところを、複数アドレス登録できるように変更した例があります。あとはチャットBotも用意し、手軽に質問を受け付けられるようになりました。
白石:総務の業務を効率化しようというところから、「総務に荷物の取り出しを依頼するのではなく、荷物を取り出したい人が直接依頼できればもっと効率的なのでは?」と思うようになりました。会社が安心して社員に任せられるようにするため、1年半くらい前から権限を分け、利用範囲を制限できるようにしています。
ニーズの増加に応え続けられるよう、早めに倉庫を増やしてきました。来年夏には新たな大規模倉庫も構えます。これからもどんどん利用していただきたいですね。
今後、法人専用宅配型トランクルームとして比較対象がいないところまでストックマモルを磨き上げたいです。また、何らかの会社のバックオフィス業務を担うことも視野に入れています。Webで気軽に即日利用開始できる世界観を実現させたいですね。
取材・執筆=卯岡若菜、監修=株式会社 日本パープル
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