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元銀行員のアートコレクター が語る、銀行でアート事業を立ち上げた成功秘話。

著者: 株式会社THE ART


株式会社THE ARTは、日本にアートを切り口とした新カルチャーを導入し、サステナブルな社会創りを目指し、アートアドバイザーやコンサルティングを行う会社です。

ファウンダーの岩崎かおりは、金融マンの時代から世界各地のアートフェアやギャラリーで現代アートを収集し、アートはずっと人生の一部でありました。またそういった中で、日本の市場と世界の市場の格差を長年痛感していました。


アート企画推進を立ち上げるまでの秘話

その代表の岩崎が前職の銀行員時代にアート事業を立ち上げし、前代未聞のプロジェクトの成功までに至った経緯についてお話させていただきます。社会の変革に興味ある方、新規事業にチャレンジされる方、アートに興味ある方や社会事業に興味ある方に読んでいただけると嬉しく思います。





日本のアート市場は世界的にとても小さい市場

“The Art Market 2020”Art Basel and UBSによると、アートの市場規模は、イギリスと中国がそれぞれ世界の20パーセントほどのシェアを占めるのに対して、日本はわずか4パーセント程度(アート東京調べ)です。GDPにおいては、日本はイギリス、中国との差はそれほどまでに開いていません。日本は豊かな国にもかかわらず、アート市場がこれほど小さいことに疑問を感じており、市場の活性化のために何かできないかと考えるようになりました。





なぜ銀行でアートの取り組みをしようと思ったのか?

一方で所属をしていた銀行では差別化がなくなり、さらにデジタルの進歩で競合がもはや金融機関ではなくテック企業という脅威も出てきていました。新たな事業を生み出していかなければという課題があり、富裕層ビジネスを展開する信託銀行においてアートはまさしくシナジーあるテーマでもあり、自身が置かれている環境を生かして社会的にもビジネスとしても成果を出せる分野だと思うようになったことがアート事業に取り組みたいと思ったきっかけです。


企画が実現するまでのハードルを乗り越えるために

チャレンジをする際は当然、「それは本当に効果があるのか?」という不安の声は起こりますし、抵抗もあります。でもそうした抵抗が大きいほど、成功したときの社会へのインパクトは大きい。そこにビジネスチャンスがあると確信していました。同業他社でも前例のない取り組みの効果を数字で予測し、社内のコンセンサスを取り付けるのは容易ではありませんでしたが、私の中では「これは絶対に成功する」という確信がありました。

そして、何度となく施策の企画を出していましたが、実現に至るまでには相応の時間がかかりました(笑)。

そこでまず社内にアートファンを増やそうと、2018年に有志メンバーによるアートクラブを結成し、立場や所属を超えて、アートの専門家や作家をお呼びし、コミュニティーを作りました。口コミでメンバーが増え、現在は毎回40人程が参加する規模になりました。


現代アートの作家を招いて制作秘話を語ってもらうとともに、参加者が思い思いに感想を披露するなど、アートという共通の話題で、仕事であまり接点のない人同士でも親しく語り合える場となりました。このクラブの中から「岩崎さん、そういう企画なら副社長に出すといいよ。とてもアートへの造詣が深い方なんだ」と情報を提供してくれるメンバーが現れ、権限者に繋がりアート企画推進を立ち上げる機会を得られました。






銀行の支店で現代アートの展覧会を開催した効果は?

様々な施策のうち、まずはブランディングや認知度向上に繋がりやすい銀行の支店で現代アート展(アートブランチ )を開催する運びとなりました。最初は、行内では現代アートはニッチ過ぎるのではないかという声も上がりましたが、世界の流れより絶対に日本でもこれから注目度が上がってくることを説明し、銀行×現代アートという思いも寄らぬ取り合わせのギャップを、新しい価値へと昇華させる出来事に繋げていきました。

文化面から経済面に渡り、幅広い観点でメディアに取り上げられ、当初の驚きや戸惑いはアートに関心がなかった人をも巻き込む感動に変わり、さらなるビジネスチャンスへの期待につながっていきました。


今では日本企業もSDGSへの取り組みは当たり前になっていますが、当時はまだ日本では一般的ではなく、現代アートがサステナブルな社会創りとして意義が出せるよう、限られた人しか入れない応接室ではなく誰もがふらっと観に行ける支店という場所に拘ったことも大きなポイントになっています。

日本の国立美術館では、若手作家を所蔵することが非常に稀であって、日本では若手作家作品を見ること、知ること、学ぶことが困難な状況です。海外で活躍する日本人作家でさえ所蔵されることは稀となっています。もっと多くの方の目に触れて、現代アートを気軽に楽しんでいただける場創りを意識し、先進的な取組みができるのもアートならではと、社会性に拘りました。


会期後半には、「ぜひ継続してこのイベントを開催してほしい!」という声がお客様だけではなく、現場から挙がってくるまでになりました。これまで支店に来られたことのないお客様が足を運んでくださるケースや信託銀行に接点のなかった新規のお客様も訪れていただけたことが現場では直接的にアート×ビジネスの力を体感できてのではないかと思っています。

実際に、銀行という多くの人の身近な場所で現代アートに触れた方から、「作家の連絡先を教えてほしい」「どこで買えるのか教えてほしい」といったご要望も多数いただきました。





なぜ銀行を退職したのか?

銀行という硬いイメージのある組織で、大成功を成し遂げたプロジェクトでしたが、私が銀行を退職し新たな一歩に踏み込んだ理由としては、日本は現代アートの市場が海外と比べても極めて小さく、素晴らしい作品を生み出している作家がいるにも関わらず、多くの作品が海外に流出しています。言い換えれば、日本が未来に伝えていくべき文化の流出といえるのではないでしょうか。また若手作家であればあるほど、コレクターが少ない日本では生活困難に陥り、作家を諦めることは珍しくありません。実際に美大生卒業から、作家の道に進む人は10%前後と言われています。


銀行員という枠組を超え、1つの組織から日本社会全体に貢献していければという思いで、退職を決意しこの度THE ARTを創業しました。商業施設やレストラン、街、企業と連携をしながら、将来性高い若手作家を中心に展示をし、現代アートが短に感じられる空間創りとそれだけではなく、ステークホルダーのビジネスにも繋がる仕組み創りを行っております。サステナブルであることが重要に感じますが、CSRでは継続が難しいからです。


作家、コレクター、アート関係者、社会、行政、教育機関、関わる人たちのポジティブなサーキュレーションを創造していくことが、THE ARTの強い思いでもあり、ビジョンでもあります。








http://theart.co.jp/

#企画の裏側 #創業エピソード #プロジェクトの裏側 






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