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あなたの物語を教えてください

“オタク活動”用アイテムを介護用に使う逆転の発想。認知症の人でも記憶を持てる「おぼえている手帳」はいかにして生まれたか?メーカー様のご協力とご提案のもと製品ができあがりました!

著者: 株式会社ビークル

「おぼえている手帳」の構造

 おぼえている手帳は、以下のような構造を持っています。

 まず開くと、右側がドット方眼の記入面。

 そして左側がL版の写真が入るポケット。

 これを一対として、リングで綴じられたノートです。

 そして表紙は右開きです。

 この構成には必然性と意味があります。

右開きへのこだわりは、高齢者に寄り添うため

 「おぼえている手帳」の想定利用者である、認知症の高齢者は昭和初期生まれです。

 この時代の人たちにとって、ノートは右開きが普通でした。

 現代の我々が使ってるような左開きのノートを高齢者が使おうとするときには、以下のような現象が発生します。

 すなわち、裏表紙を表紙(表)のつもりで開こうとする。それが裏表紙であることに気がつき、今度は本当の表紙から開こうとする。

 こういう現象が必ず起こります。

 そもそも、発案者である私は、最初はシステム手帳でできないかと考えて試していました。ですが、どうしても上記のような問題が発生しました。

 そこで、市販の縦書き日記帳を利用して実施していたという経緯があります。

 製品化に際しては、この右開きという点が大きなポイントでした。

 日常的に使うものならば、絶対にすらっと開くことが必要だからです。

 これは、もっと若年層のユーザーならばとくに問題にならない事です。

 慣れによって、そのノートがどちらから開くものなのかを学習できるからです。

 しかし認知症の高齢者は違います。

 新しいことを覚えるのは手間も時間もかかります。また覚えられないかもしれません。 それよりは、すでに身についている感覚を生かす方が良い。それが認知症の高齢者の方々に寄り添うことだと考えたのです。

 そのために、ある文具メーカーに見積の依頼もしたのです。

 そして、できればポケットをつけて欲しい旨の希望を出しました。

オタク活動用のノートを転用した逆転の発想

 「おぼえている手帳」の特徴のひとつは、文章を書く面と写真を保持するポケットが見開きで一対になっているところです。とくにポケットがあることで、プリントした写真が簡単に保管できるようになっています。

 そして前述の文具メーカーにも、このポケットの構造が実現できないかと打診したのですが、かなわないという返答。

 製品化プランが振り出しにもどったとおもったところに一冊の文具に出会います。

 それが「レポチケ」。株式会社ハゴロモさまによる“オタ活”用のノートです。

 オタ活とは、コンサート、ライブなどで、アイドルなどを応援すること、またその活動の記録をすることです。そして「レポチケ」はこのオタ活に役立つように、チケットや写真を保持するポケットと記録用の記入欄が一対になっているのです


 私はひらめきました。この「レポチケ」を転用しよう。


 製品としての「レポチケ」は、左開きになっています。もっと正確に言えば、左開きで使うことが推奨されています。

 ただし、表紙には明確に表紙とは書いてありません。裏表紙もしかり。

 「これを右開きのものとして使おう」。

 やり方は簡単です。「おぼえている手帳」に付属する活用のための専用冊子で、右開きのものとして使う旨の説明を入れればいいわけです。ともあれ、そのままでは単なる転用でしかありません。

 オリジナルの冊子としてのアイデンティティが必要です。

 すでにこの時点で、「おぼえている手帳」のタツノオトシゴのアイコンなどはできていました。

株式会社ハゴロモに連絡し協力を依頼

 そこで私は「レポチケ」の製造販売元である株式会社ハゴロモさまに連絡。これをおぼえている手帳のベースとして使いたい旨を相談しました。

 ただしすでに、特定企業向けに名入れをされた「レポチケ」の前例はありましたが、違う用途、違うターゲット向けにカスタマイズした例はありませんでした。

 そこで、こちらが提案したのは、「おぼえている手帳 Powered byレポチケ」という名称にすることでした。レポチケをベースにしていることを明確にしつつ、オリジナルの名称もきっちり打ち出す。株式会社ハゴロモさまにはこの私の提案をご快諾いただきました。また、おぼえている手帳のベースとして「レポチケ」を提供いただく形で協力していただけることになりました。

 これらがクリアになった時点ですでに商標登録のために動いていたと思います。現在は無事商標登録が完了しています。

株式会社ハゴロモからの提案

 また、先方さまからも提案をいただきました。右開きのものとして使うために表紙にシールを貼る方法のご提案でした。

 これならば、どちらが表紙なのかがはっきりわかります。なにより、オリジナルの商品としてのアイデンティティが一目でわかります。

 そこで、表紙のシールのサイズを算出。デザイナーに制作を依頼してハゴロモ様側に入稿。印刷の上で貼っていただくところまでお願いすることができました。

「おぼえている手帳」の完成

 こうして「おぼえている手帳」は完成しました。

 表紙の色は「あずき」「うぐいす」「さくら」の3色。これは、小田原のういろうをイメージしたものです。ちなみに小田原のういろうは創業650年を誇る老舗です。

 「おぼえている手帳」は、認知症の高齢者とそのご家族の方に役立ちます。

 出来事を記録し、写真をとって一対の記録として保存。これを繰り返すことで、認知症の高齢者の方々でも記録を記憶として感じられるようになります。

 また、そのことで、連続した時間の中で生きる生の実感を回復できるはずです。

 すでに、別のストーリーでそのことも説明しています。こちらをご覧ください。


 そしてこの4月1日に発売を開始しました。

Webサイト:https://oboeteiru.com

オンラインショップ:https://oboeteiru.thebase.in/





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