「シェアードサービス」の取り組みでアジアNo.1を受賞。コカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービスが挑む間接業務の事業変革
コカ・コーラ社製品の製造・販売・物流・回収を担う総合飲料企業であるコカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社(以下、CCBJI)は、国内の各地域にあった12のボトラー社が統合を経て2017年4月に誕生しました。
その後、2019年にCCBJIグループ間の「間接業務」を一手に担うコカ・コーラ ボトラーズジャパンビジネスサービス株式会社(以下、CCBJBS)を設立。これまでCCBJIグループ各社ごとに行っていた間接業務の一部を集約するシェアードサービスを提供し、業務プロセスの標準化や最適化を推進することで、CCBJIグループ各社の生産性や効率性の向上を追求しています。
CCBJBSのシェアードサービスの取り組みは、The Shared Services & Outsourcing Network(以下、SSON)が主催するシェアードサービス&アウトソーシング業界で世界的に認められている賞のアジア版、「SSON Impact Awards Asia 2021」で、「ベストベンダーコラボレーション部門」と「ベストシェアードサービスチーム部門」の2部門で金賞を受賞しました。
CCBJIグループのさらなる成長のために、今や欠かせない存在となったCCBJBS。同社の事業戦略、2部門で金賞を受賞した背景を代表取締役社長のラジーブ・モール、コマーシャルフィールドサービス&チェンジマネジメント部 部長の酒井幸一、パフォーマンス管理サービス部 部長の源川徹哉の3名が語ります。
「Sell」を支えるプロフェッショナル集団「CCBJBS」
ラジーブ:当社は、日本のコカ・コーラシステムにおいて約90%の販売数量を担うCCBJIの戦略的パートナーという位置づけです。日本のシェアードサービスというと、事務作業のみを請け負うケースが多く、“裏方”というイメージがあります。一方、CCBJBSは間接業務のプロフェッショナルであり、コンサルタントというイメージ。CCBJIグループの事業戦略において、非常に重要な役割を担います。
CCBJBS設立の背景に、グループ全体における間接業務の標準化、効率化、そしてチェンジマネジメントが徹底されていないという課題があり、早期に改善する必要がありました。日本でも、シェアードサービスを導入している企業は多いのですが、世界ではすでに市場が成熟している。CCBJIグループとして、世界を見ながら戦略的にシェアードサービスに取り組む必要があるだろうと。
私個人としても、外国人であることから現場の社員と十分な交流ができていない課題があり、言葉の壁を壊し、意識の改革を実現したいと考えました。
酒井:CCBJIは、複数のボトラー社が統合を繰り返して誕生した背景があります。そのため、間接業務は、各社の仕組みや習慣が残り拠点ごとにバラバラだったり、一部重複していたりするといった課題がありました。そこで、戦略的に業務プロセスの統一化を図るために設立されたのがCCBJBSです。
ラジーブ:CCBJBSの業務領域は、人事、総務、ファイナンスにとどまらず、カスタマーサービス、コマーシャル関連、機材サービス、調達、マスターデータマネジメントと、多岐にわたります。私たちは「Sell or Help sell」というという言葉を使い、基本的な業務を「Sell(売る)」と「Help sell(売るのを助ける)」の2つに分けて役割をシンプルに考えます。後者の仕事を担うのが、CCBJBSです。
源川:「Help sell(売るのを助ける)」にあたる間接業務と、それを担っていたCCBJIの一部の社員は、CCBJBSに異動しており、過程で3つのステップを組み込みました。1つ目は、これまで当たり前にやっていた間接業務をサービスとして提供することのチェンジマネジメント。2つ目は、サービス品質の可視化。3つ目は、他社事例を参考にしたKPIの定義と、目指すべきターゲットの設定。そのうえで、サービス品質を定期的にモニタリングしながら、テクノロジーの導入やプロセスの標準化といった観点で改善を重ねてきました。
海外パートナー、テクノロジーの活用で自動化を推進
ラジーブ:CCBJBSでは、間接業務を「センターオブエクセレンス(CoE)」と「センターオブスケール(CoS)」の2つに分け、プロセスを変えています。コスト削減と品質向上を目的とした付加価値や専門性の高い業務は、CoEである国内のCCBJBS内で、定型業務で自動化ができる業務は、CoSである海外のパートナーに業務を委託しています。
いずれの業務も、適切な場面でテクノロジーを導入。CoSにおける業務自動化はパートナー企業の判断にお任せしていますが、定型業務ということもあり、次々と自動化が進んでいます。
一方、CCBJBS内で保持しているCoEで、もっともインパクトがある自動化がRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)。現在は150台のロボットを導入し、これらがアプリケーションのダウンロードやカスタマーサービス対応、マスターデータの登録と、相当量の作業を担当しています。カスタマーサービスでは、深夜など担当者が不在の時間にかかってきた電話の内容をロボットが録音、テキスト化して担当者にメールで送信します。
源川:CoEについては現状すべてを自動化できていませんが、計画的に要件を定義し、進めています。RPA以外では、Tableau(タブロー)などのBIツールの活用によって資料作成やマスターデータ管理が効率化され、安定した品質を保持できるようになりました。
酒井:ペーパーレスも浸透しており、社内の決済では押印は一切発生しません。請求書や契約書も一部を除きデータ化しています。各部署と協働しながら、私たちCCBJBSがリードして変革してきました。
源川:あらゆる場面で自動化やペーパーレス化を進めていたため、2020年に新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が推奨された際にも、CCBJBSでは大多数の社員はスムーズに移行することができました。コミュニケーションにおいても同様で、私や酒井はほぼ100%在宅勤務ですが、不具合などは起きていません。
30%のコスト削減、アジアで「金賞」を受賞
酒井:CCBJBSは2019年に設立されましたが、シェアードサービス自体は、それ以前から取り組んでいました。初めて外部評価を受けたのは2018年。「SSON Impact Awards Asia 2018」の「エクセレンスイントランスフォーメーション部門」で銅賞を受賞、その後も毎年、受賞しています。
2020年には「オートメーションインパクト部門」で初めての金賞を受賞、2021年には「ベストベンダーコラボレーション部門」と「ベストシェアードサービスチーム部門」の2部門で金賞に選ばれました。
ラジーブ:CCBJBSの取り組みが評価されているのは非常に喜ばしいこと。2017年に私と酒井で「SSON Impact Awards Asia 2017」の表彰式を視察し、「この受賞を私たちの目標にしよう」と話して、目指してきました。
受賞の背景としては、人事、総務といった領域だけでなく、営業など幅広い間接業務を請け負っていること、2019年と比較して約30%のコスト削減に成功していることが影響していると思います。作業時間も圧倒的に短縮されており、残業の削減につながっています。
酒井:CCBJBSの取り組みは国内では先進的であり、社員全員の働き方の変化だけでなく、モチベーションアップにもつながっています。定型業務をアウトソーシングして時間が空くと、新しい仕事を考えたり、プロフェッショナルやクリエイティブをより追求できたりする。こういった変化に対応できていることは自信となり、さらなるモチベーションアップにもつながっています。さらに世界的なアワードでの受賞など客観的に評価されることで、自分たちの取り組みの正しさへの確信が深まり、良い循環が生まれていると思います。
しかし、まだまだ満足はしていません。「SSON Impact Awards Asia」の受賞を通過点として、さらに業務品質、生産性を追求していきます。
源川:最高クラスの一貫したサービスを最適なコストで提供するというCCBJBSのミッションの達成を通して、CCBJIグループ全体に価値をもたらすことができている、という手応えがありますね。これからも、信頼されるビジネスパートナーとして、CCBJIグループ全体にプロフェッショナルサービスを提供し、CCBJBSの社員が誇りを持って働く強い組織の構築を推進していきます。
シェアードサービスを成功に導いたカギは
ラジーブ:CCBJBSのように幅広いシェアードサービスを成功に導くのは、簡単なことではありません。それぞれの部署にそれぞれの考えがありますし、大規模な変革に伴い不安を抱く人もいる。こういった課題を解決できた要因は、メンバーが可能性を強く信じ、各部署との信頼関係を築いてきたからにほかなりません。
シェアードサービスの基盤を作るにあたり、私たちは各部署のトップに「何を課題だと感じているのか」をヒアリングしました。そのうえで、情熱を持って相手側を説得し、信じて委ねてもらうための関係を強化してきました。その際、CCBJIグループの深い知見を持っている酒井、源川の両名のサポートが欠かせませんでした。
その過程では紆余曲折がありましたが、その都度、問題を真摯に受け止め、是正してきました。この繰り返しで、信頼関係が築かれたと思います。初期の頃は、「この業務を私たちに委ねてください」と依頼していたのが、今では「この業務をお願いしたい」と依頼されるほど。より一層重要度が高い仕事を、委ねられるようになりました。
こういったことの積み重ねによって、金賞受賞という実績を残すことはできましたが、現場の変化としてはギャップがありますね。私たちの期待値は非常に高く、シェアードサービスのグローバルな基準で考えると、まだまだだなと。
社員が満足して働けることを前提として、短期的には、ほぼすべての作業が自動化されることで、時間内に業務を終え、最適な人数で効率的に業務を回せる環境までもっていきたい。これまでの実績はすばらしいものだと自負していますが、もっと変革できる。底知れないほどの野望を私たちは持っています。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ