“すべてのデジタル企業に、プロダクト分析を”Mixpanelアナリティクス責任者インタビュー
米サンフランシスコ発のプロダクト分析ツール「Mixpanel」は、企業の重要な指標を測定し、データに基づくインサイトを提供して意思決定をサポートし、データドリブンなプロダクト改善を可能にします。現在、Bolt、Uber、Yelp、Indeed、楽天 Viber、などの企業で導入されています。
企業のプロダクト分析の重要性と、「Mixpanel」のプロダクト開発に秘められた熱い想いを、Mixpanelのアナリティクス責任者であるアダム・キニーに聞きました。
ー「Mixpanel」は、現在多くの企業で採用されているプロダクト分析ツールですが、プロダクト分析のニーズはどのように変化していますか?
Mixpanelは2009年に設立しました。設立当時はまだデジタル化が始まったばかりで、私たちはイベントベースのトラッキングにおけるパイオニア的存在でした。その後、時代の流れとともに世界中でデジタル化が加速し、企業がデジタル・カスタマージャーニーを、これまで以上に詳しく分析する必要性が高まってきました。
Adobe社の最新レポートによると、世界のオンライン決済額の合計は、2020年のわずか2.9兆ドルから2021年には4.2兆ドルに達すると予想されています。(※)この事実は、ビジネスの将来を考える上で、デジタル化が重要であることを示しています。
そして現在、Mixpanelのように、ユーザーが自社のデジタルプロダクトをどのように使用しているかを把握するためのツールは、ビジネスに不可欠なものとなっていると言えるでしょう。
ーなぜプロダクト分析が重要なのでしょうか。
顧客がWebサイトやモバイルアプリケーションを利用するようになると、デジタル・カスタマージャーニーについて真剣に考える必要が出てきます。顧客の獲得、コンバージョン、リテンションを向上させるためには、次のような問いに答える必要があるのです。
- 顧客は登録フローのどこで離脱しているのか、それはなぜか?
- どのような行動がコンバージョンまでの道のりを成功させているのか?
- 顧客はどのくらいの頻度でプロダクトを利用しているのか?
- どのような顧客の行動がより良いリテンションをもたらしているか?
- 新しいウェブサイトやアプリの機能は、コンバージョン、エンゲージメント、リテンションを促進しているか?
実は、世界の450人以上のプロダクト担当者を対象とした調査によると、50%以上の人がプロダクトに関する問いに迅速に答えられず、さらに38%の人がプロダクトメトリクスを効果的に測定できないと感じていることが分かりました。これは、多くのプロダクトマネージャーや企業にとって深刻な課題です。
その理由の一つは、多くの企業がこれらの質問に答えるためにプロダクト分析ツールを使用していないことが挙げられます。マーケティング分析ツールやBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを使っている場合もあるでしょう。どちらも素晴らしいツールではあるのですが、先ほど述べたようなプロダクトに関する質問に答えるには、必ずしも最適なツールとは言えません。
ーなぜ、BIツールだけでは足りないのでしょうか。
BIツールを使えば、財務、マーケティング、製品データなど、データウェアハウスのデータを照会して可視化することができます。組織内の膨大なデータをいくつかの重要なKPIに凝縮するには最適なツールですが、実は大きな欠点があります。
BIツールは、可視化できるデータの種類が非常に柔軟である一方、データウェアハウス内のデータ構造に制限されるため、プロダクト分析ツールのようにユーザーインサイトを深く掘り下げることができないのです。
プロダクト分析なら、データをより深く掘り下げることができます。イベント軸、ユーザー軸、その他あらゆる主要な分析軸でユーザー行動を分析したデータモデルを使用することで、Mixpanelのようなプロダクト分析ツールは、先ほどのような問いに答えるための、詳細で強力なクエリーエンジンを、他の分析ツールよりも効率的に提供することができるのです。
ーデータを活かして、効率的に分析していくことができるようになるのですね。
その通りです。Mixpanelのようなセルフサービス型プロダクト分析ツールなら、プロダクトチームはユーザーに関する複雑な問いに対する答えを、わずか数秒で得ることができるようになります。このような洞察力は、企業がプロダクト開発を迅速かつ創造的に取り組むために不可欠だと考えています。
例えば、顧客がどのように登録フローに進んでいるか、あるいは進んでいないかを確認するために、ファネル分析をしたいとします。SQLでは、このファネルの作成には何百行ものSQLが必要になりますが、「Mixpanel」ではわずか10クリックで済みます。
登録フローのある特定の段階で離脱した顧客をさらに分析したい場合、離脱した顧客をコホートとして保存し、そのコホートが時系列で変化しているかどうかを分析したり、顧客のプロパティによってセグメント化したり、他の顧客のコホートと比較してその違いを理解したりすることが、簡単にできるようになります。
BIツールのみを使った場合、これらの問いに対する答えを得るためには、データエンジニアリングチームがデータを適切なフォーマットに変換するという新たな作業が必要になってしまいます。この作業は、時には数日から数週間かかることもあるでしょう。専任のデータアナリストやデータサイエンティストがこのプロセスを手伝うことになりますが、そのために彼らの時間が割かれることになってしまいます。
セルフサービス型のプロダクト分析は、プロダクトチームがインサイトを得るまでの時間を短縮するだけでなく、データチーム、アナリスト、データサイエンティストが手作業に追われて、重要なプロジェクトに集中できなくなることを防ぎます。
ーBIツールとプロダクト分析ツールには、どのような違いがありますか?
BIツールから価値を得るためには、多大な先行投資が必要となるうえ、データの収集、品質管理、BIツールで効率的にデータを照会するためのデータテーブルへの変換管理、さらにこのデータをデータウェアハウスにアップロードするための専門チームが必要になることも多いです。
そのため、創業間もない企業がBIツールを導入するのは難しい場合があります。一方でプロダクト分析の導入には、このようなステップは不要です。
ただ、ほとんどの企業は最終的には、すべてのデータと分析のニーズをサポートする独自のデータスタックを構築する必要があるという結論に辿り着くということが分かっています。
ーどのようにプロダクト分析と最新のデータスタックを統合すれば良いのでしょうか。
これにはいくつかの方法があります。1つの方法は、顧客データのリポジトリとしてCDP(カスタマーデータプラットフォーム)またはSDK(Software Development Kit)を使用し、ユーザーデータを「Mixpanel」のようなプロダクト分析を含む様々なアプリケーションに取り込むことです。これにより、プロダクトチームは導入したその日から、迅速なイテレーションと成長のための強力なプロダクト分析を利用できるようになります。
2つ目の方法は、データウェアハウスからのデータのインポートです。私たちは、さまざまなソースからのデータを1つのデータウェアハウスに格納することで、企業データの情報源を構築する多くの企業と仕事をしてきました。同じデータがBIツールやプロダクト分析ツールで照会されるため、ツール間で同じ情報を扱うことができます。これにより、どのツールを使用しているかに関わらず、組織内の誰もが同じ数字を見ることができるため、データに対する信頼性を高めることができます。
またこの方法なら、プロダクト分析の一環として収集したユーザー行動データを、他の多くのデータ(CRMシステムからの運用データなど)によりさらに充実させ、より多くのユーザーインサイトを得ることができるというメリットもあります。
ーデジタル企業へ向けてのメッセージをお願いします。
「時は金なり」と言われます。効率的なプロダクト分析ツールの使用は、デジタル企業が持つべき重要な要素です。また、BIツールとプロダクト分析は必ずしも同じ目的ではないことを認識することも重要です。デジタルプロダクトを作るなら、BIツールが使うかどうかにも関わらず、プロダクト分析は必要です。プロダクト分析ツールとBIツールには相乗効果があるので、ぜひ組み合わせながら、様々な事例で活用いただけたら嬉しいです。
(※)Adobe Digital Economy Index Q1 2021参照
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