JIFFが「手話通訳費用補助制度」の運用を通じて目指すもの
写真提供:日本ろう者サッカー協会
一般社団法人日本障がい者サッカー連盟(JIFF)は、公益財団法人日本サッ
カー協会(JFA)または各都道府県サッカー協会が主催するサッカー・フットサルの指導者講習会および審判講習会において、講習会主催者に対し手話通訳費用を補助する制度を2018年から運用しています。
本制度は、障がいの有無に関わらず誰もが同様に講習会に参加できる環境をつくるための第一歩として開始しました。
チャレンジを阻んでいた情報保障の有無
これまで、聴覚障がい者がサッカー・フットサルの指導者講習会や審判講習会等に参加する場合、主催者は予算的な問題で手話通訳を手配することが難しく、受講者自身が手話通訳を手配するか、手話通訳なしで参加せざるを得ない状況で、負担が大きく参加を断念していたという方もいました。
ステップアップするほど講習会の日数も増え、自己負担額も上がるため、受講にあたり情報保障がなされないことがチャレンジへの壁になっていたのです。
聴覚障がい者のサッカー(デフサッカー)やフットサル(デフフットサル)では、主審もフラッグを持ち視覚で伝える
(写真提供:日本ろう者サッカー協会)
受講者の不安を払拭し初年度から活用
そこで、JIFFはJFAと連携し、聴覚障がい者も負担や不安なくサッカー・フットサルの指導者講習会や審判講習会等へ参加できるよう、2018年度に「JIFF手話通訳費用補助制度」を設けました。
2019年度までの2年間で8事業に活用され、受講者からは「これまでは、自分で情報をひろいながら追いとても大変な思いをしていましたが、手話通訳とUDトーク(情報保障システム)の導入で鮮明に情報が入ってくるようになり、落ち着いて受講することができました」等の声がありました。
制度運用に必要な資金は、障がい者が指導者や審判員の資格を得てキャリアを形成していくことへの理解と支援を募り、2年間で延べ951名、約34万円の寄付金をいただきました。
制度の運用で浮き彫りになった認識の差
運用開始後は新たな課題も見えてきました。本制度は、「音声情報を取得しにくい受講者がいたら、音声以外の方法でも情報を提供しましょう」という、いわゆる合理的配慮の考え方で、主催者側が手話通訳を手配する際の補助制度です。
しかし実際のところは、聴覚障がいのある受講者からJIFFに直接問い合わせをいただくケースも多く、主催者側も受講者側も「主催者側で手話通訳を手配する」という認識はまだ根付いていません。本制度を運用しながら、主催者側への環境整備の呼びかけや課題提起をしていきます。
写真提供:日本ろう者サッカー協会
障がい者がスポーツに参画しやすい環境づくりへ
障がい者スポーツは健常者のスポーツと別のカテゴリーとして捉えられがちで、障がい者が指導者や審判員としてスポーツに参画する機会が非常に少ないのが現状です。
障がいの有無にかかわらず一緒にスポーツを楽しみ、高め合う社会をつくるには、障がい者が選手としてだけではなく、指導者や審判員としてもチャレンジできる環境の整備が必要です。
それは当事者や当事者団体だけで成し遂げられるものではありません。JIFFでは多くの人に現状を知っていただき、聴覚障がい者だけでなく、障がい者がスポーツに参画できる道を増やしていきます。
寄付ページURL
https://donation.yahoo.co.jp/detail/5176001/
参考リリース
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