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ストーリーの著者は、読者でもあります

サステナブルな街づくりを目指した、ZEH水準を満たすマンション・戸建建築の裏側。環境配慮だけでなく、お客さまにも快適を届けるLEAFIAの次代を見据えた住まいづくり。

著者: 小田急不動産株式会社

小田急不動産の住まいづくり epi.1 

「ZEH」って何?ゼロからスタートした挑戦


(LEAFIAのZEH対応について語ってもらったメンバー。左から、森脇、本橋、田中。)


皆さんは最近、「カーボンニュートラル」という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。この言葉は「温室効果ガスの(排出量と吸収量を相殺して)排出量を全体としてゼロにする」ことを指します。

地球温暖化対策に関する国際的な枠組みである「パリ協定(2015年採択、2016年発効)」は、2020年から本格的な運用が始まり、地球温暖化対策として各国へ、2050年までにCO2排出量の大幅削減やカーボンニュートラルの実現を求めています。これに応えるかたちで、多くの国は2050年までのカーボンニュートラルの実現を宣言しており、脱炭素社会に向けた動きが加速しています。

日本では、2050年カーボンニュートラル達成に向け住宅分野において、2021年10月に閣議決定された「第6次エネルギー基本計画」の中で、「2030年度以降新築される住宅について、ZEH水準の省エネルギー性能の確保を目指す」、「2030年において新築戸建住宅の6割に太陽光発電設備が設置されることを目指す」とする政策目標が設定されています。

ZEH(ゼッチ)とは、「Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」の略称で、断熱性能・省エネ性能の大幅な向上と、太陽光発電などによる再生可能エネルギーを導入することにより、建物で使用する年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにすることを目指した住宅をいい、環境性能に優れた住宅の名称として不動産・建築業界において、ここ数年で定着してきた言葉です。

私たち小田急不動産は、2008年に新築分譲ブランド「LEAFIA(リーフィア)」を立ち上げて以来、「Lifetime(ずっといたい空間)」「Environment(自然を感じる)」「Amenity(この上ない心地よさ)」「Fammunity(ゆるやかなつながり)」をテーマに住まいづくり・街づくりを行っており、現在まで東京都・神奈川県を中心に約15年間で戸建1,772戸、マンション2,766戸を供給して参りました(2023年3月31日時点)。


こうした中、2023年10月下旬よりいよいよ、当社初となる「ZEH-M Oriented」の新築分譲マンション「リーフィアレジデンス練馬中村橋」、11月上旬より「ZEH/Nearly ZEH」の新築分譲戸建「リーフィア狛江<蒼翠の街>」の販売を予定しています。

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今回のストーリーでは、LEAFIAにおけるZEH対応への挑戦を企画担当者の想いとともにお届けします。


・戸建企画グループリーダー 本橋 理

2003年入社。就職活動を行う中で、地域に根差した街づくりを行う小田急不動産に魅力を感じ、入社を決意。入社以来、戸建住宅地の開発業務に一貫して従事。これまでの業務で最も思い出深いのは、神奈川県開成町の土地区画整理事業で地域の皆さまと孫子(まごこ)の代まで見据えた街づくりを一緒に取り組んだこと。未来を見据えた街づくり精神はZEHプロジェクト推進の礎になっている。


・リーフィア狛江<蒼翠の街>企画担当 戸建企画グループ 上席チーフ 田中 章斗

2013年入社。町田エリアにて不動産の売買仲介業務に従事し、その後、株式会社小田急ハウジングへ出向しリフォーム営業を経験。2017年4月より現職。 出向時代の経験に加え、一級建築士としての専門知識を活かしながら商品を開発している。プライベートでは2023年6月に第1子が誕生し、育休を取得。子育てにも邁進している。


・リーフィアレジデンス練馬中村橋企画担当 マンション企画グループ チーフ 森脇 なつみ

2018年入社。世田谷エリアや狛江エリアなど、都心エリアを中心に新築分譲戸建・マンションの販売業務に携わり、2022年4月より現職。販売業務を通して培ったお客さまの視点を大切にしながら、開発マンションの企画業務に従事。最近の趣味は、自宅のインテリアを考えること。自宅の壁にタイルを貼るなどDIYにも挑戦中。


新築分譲事業における環境への取組み、そしてZEH対応へ

「小田急」というと箱根の山々や江ノ島の海など、自然に恵まれた環境をイメージされる方が多いように、小田急グループは沿線の豊かな自然環境と共に発展してきた歴史があります。このため、「SDGs」や「カーボンニュートラル」という言葉が普及する前から、グループ全体の事業活動において、環境負荷の低減は必然的に取り組まなくてはならない課題だと考えてきました

当社の新築分譲事業においては、物件ごとに照明のLED化、Low―Eガラス※1、節水型水栓などの環境配慮の商材を積極的に採用しています。環境配慮や自然との共存をコンセプトとしたプロジェクトも行っており、2005年には太陽光発電システムや雨水再利用システムなどの省資源、省エネルギー設備を取り入れた新築分譲戸建「小田急elタウン南大沢フロンティア(31戸)」※2を開発。2021年に竣工した新築分譲マンション「リーフィアレジデンス橋本(425戸)」においては、マンション敷地内の民有緑地を管理組合が維持保全する仕組みづくりを行い、企業活動で自然と人との共生を促進することを目的に作られたABINC認証(いきもの共生事業所認証)※3で2020年1月に優秀賞を受賞、また、2022年度グッドデザイン賞も受賞しました。

(リーフィアレジデンス橋本)

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さらに、2021年度に策定された指針である、小田急グループカーボンニュートラル2050※4に基づき、当社においても、住宅供給を通じて脱炭素社会の実現に向けた取り組みを推進し、持続可能な社会を築くため、2022年度には「ZEHビルダー」および「ZEHデベロッパー」に登録認定されるなど、ZEH水準の住まいづくりの準備を整えてきました。

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ZEHビルダーにおいては2022年12月時点で5,034社が登録、ZEHデベロッパーにおいては2023年8月時点で207社が登録しており※5、ZEH住宅に取り組むことは不動産・建築業界全体のスタンダードとなりつつあります。


「ZEHに限った話ではありませんが、コストをかければかけるほど高性能な住まいを作ることは可能です。しかし、お客さまに「物件価額=商品価値」と理解されなくては事業として成立しません。折しも建築資材の高騰や労務費の上昇に見舞われている中、ZEH対応のための性能向上分の費用がさらにコストを押し上げることになります。そのため、2022年度よりZEHに対する顧客理解の獲得を課題として、社員の知識習得と意識醸成のための社内セミナーを「断熱編」、「省エネ編」、「創エネ編」、「施工編」といったテーマごとに、設備メーカーや建築施工会社の協力を得ながら実施してきました。セミナーを実施する前は、ZEHについて聞いたことはあるが説明できない社員も多く、ほぼゼロからのスタートでしたが、今では開発や販売に携わる社員1人1人がしっかりとお客さまにZEH仕様の住宅で暮らすメリットを伝えられるようになってきました。環境対応について常に情報をアップデートするためにも、勉強会は継続的に実施しています。」(本橋)

(社内セミナー 現場勉強会「施工編」の様子)


※1 Low―Eガラス

複層ガラスの内側に、熱の伝わりを抑えるLow-E膜という特殊な金属膜をコーティングして性能を向上させることで寒い季節も暖かく快適に過ごすことができます。


※2 小田急elタウン南大沢フロンティア

一般財団法人住宅・建築SDGs推進センターより「環境共生住宅認定」を取得。同認定は「地球環境を保全するという観点から、エネルギー・資源・廃棄物などの面で充分な配慮がなされ、また周辺の自然環境と親密に美しく調和し、住み手が主体的に係りながら、健康で快適に生活できるよう工夫された住宅、およびその地域環境」と定義されています。


※3 ABINC認証

自然と人との共生を企業活動において促進することを目的に、一般社団法人企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)が作成した「いきもの共生事業所推進ガイドライン」および「土地利用通信簿」を認証基準として、企業における生物多様性に配慮した緑地づくりや管理・利用などの取り組みを、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会(ABINC)が、第三者評価・認証するものです。


※4 小田急グループ カーボンニュートラル2050

「環境ビジョン」「環境長期目標」「環境戦略」の3つの柱で構成しており、小田急グループの事業活動を通じたCO2排出量の削減や資源循環、自然資源の保全・活用などの環境課題に取り組む行動指針を示しています。

https://www.odakyu.jp/sustainability/carbon-neutral/


※5 ZEHビルダー登録社数 

出典:SII公開データ

https://sii.or.jp/meti_zeh04/uploads/ZEH_conference_2022.pdf

ZEHデベロッパー登録社数 

出典:SIIウェブサイト

https://sii.or.jp/zeh/developer/search

お客さまの目線で拘った環境性能

当社の新築分譲事業では、マンション、戸建共に施工は外部の建設会社に依頼をしています。ZEH水準として性能をクリアするための等級は設定しますが、各社の調達力やノウハウが発揮できるように、設備仕様の細かいルールは設けず、物件ごとに提案を受けた上で検討を重ねています。それにより、原価を抑制しながら、先進の技術・設備仕様を最適に組み合わせてZEH水準を確保することができます

しかし、ZEH性能の等級は設計段階で決定されるため、適切に施工されていない場合は十分な性能を発揮しません。そのため工事段階では、当社、建設会社、第三者機関のトリプルチェック体制をとることで、各等級に適した高品質な建物を作ることに寄与しています。

リーフィア狛江<蒼翠の街>においては、Low-E複合樹脂サッシを標準採用することで高い断熱性能を確保するとともに、設備面においては太陽光発電システム、ハイブリット給湯器を全棟標準搭載しているため、快適な室内温度を保ちながら光熱費削減にも大きく貢献することができます。また、災害時においても、太陽光発電で創り出した電気や、ハイブリット給湯器の貯湯タンク内の水を利用することができる高いレジリエンス性を備えた住まいとしました。


本物件では、最終的に全ての住戸がZEHもしくはNearly ZEHの基準を満たしていますが、計画当初はどの住戸も基準値に未達の状況でした。そこで、断熱仕様の見直し、ハイブリット給湯器の導入、屋根形状の再検討による太陽光パネルの増量など、様々な方面から改善のアプローチをした結果、全棟でZEHまたはNearly ZEHの基準値をクリアすることができました。


「ZEH対応においては、単に数値をクリアするだけではなく、仕様変更による費用対効果や、街並み景観・プランニング面での商品性等を多角的に検証しました。例えば、断熱性を向上させるために窓の面積を抑制する方法もありますが、闇雲に窓の数量を減らすのではなく、窓の位置や形状に最大限配慮し、住空間としての採光・通風面の魅力を損なわないよう意識しました。1つ1つの要素で試行錯誤を何度も重ね、ようやく計画が決定したときは、苦労の甲斐もあり喜びは非常に大きかったです。」(田中)

リーフィアレジデンス練馬中村橋においては、全住戸リビングダイニングと主寝室の2居室にガス温水式床暖房を標準採用しております。LEAFIAブランド標準仕様では、床暖房はリビングダイニングのみの設置ですが、2居室に設置することで効率的に室内を温めることができ、一次エネルギー消費量の削減に貢献しています。加えて、断熱材を標準仕様よりも厚くすることや、Low-E複層ガラス等を採用することで、室内の温かさや涼しさを室外に逃がさない断熱性を確保しています。どちらも入居後リフォーム工事で対応することが難しい設備仕様のため、本物件に標準採用されていることはお客さまにとってもメリットとなります。

(各種設備を用いて断熱・省エネ性能を高めている、リーフィアレジデンス練馬中村橋の仕組み)



「本物件は、当社初のZEH-M Oriented取得マンションとなります。マンションのZEHは2018年度に定義されたばかりで、施工会社側も経験値が少なく、共に手探りでZEHマンションの開発を進めてきました。そのため、設計段階では「住棟単位」「住戸単位」のどちらで認証を取得するか明確になっておらず、当初は「住棟単位」で設計を進めていました。「住棟単位」の場合、一部住戸はZEH水準を満たさない可能性があるため、お客さまが住戸を購入する際、税制優遇や金利優遇を受けられないケースがあります※6。早い段階で気づけたため、結果的には全ての住戸でZEH水準を満たすことができましたが、お客さまの不利益が生じないように設計着手時点で事業主側と施工会社側とで共通認識をもってZEH認証取得のための設計を進めなければならないと改めて実感した出来事でした。」(森脇)


※6 参考URL

・国土交通省 住宅ローン減税について

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html

・国土交通省 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000018.html

・住宅金融支援機構 フラット35S(ZEH)について

https://www.flat35.com/loan/flat35s_zeh/index.html


ZEH仕様の住宅をスタンダードに、サステナブルな街づくりを目指して

このように、小田急不動産ではカーボンニュートラルの実現に向けて取り組んできましたが、戸建企画グループリーダーである本橋は先の未来についても見据えています。


「今後は、LEAFIAの戸建分譲住宅に設置した太陽光発電システムで生み出した電力を、当社の新築分譲事業以外の事業で活用できるように、環境価値の循環システムを構築していきたいです。LEAFIAを購入された後のお客さまと当社とのエンゲージメントを高めるうえでも効果的ではないかと考えます。長期的な目標としては、小田急グループの交通事業や流通事業などと地域レベルで電力の地産地消を図るマイクログリッドの構築に挑戦したいと思っています。小田急沿線の豊かな自然環境と共生するサステナブルな街づくりに貢献したいですね。」(本橋)


現在、一部の大手不動産デベロッパー・ゼネコンだけでなく中小事業者もカーボンニュートラルの実現に向けて動き出していますが、企業単位での取り組みが世界を変えられるだけの影響力があるかといえば十分ではありません。その壁を超えるには業界全体が連携してカーボンニュートラル実現に向けて取り組み、お客さまをはじめとする社会全体の意識高揚と行動変容を促していく必要があります。

小田急不動産はこれからも小田急グループ、業界全体と、脱炭素社会実現に向けたシナジーを生み出すことを目指し、行動し続けてまいります。







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