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ストーリーの著者は、読者でもあります

手芸を通じて多くの人に健やかな生活を。老舗手芸メーカーの新たな挑戦とサステナブルな取り組み

著者: 株式会社KAWAGUCHI


株式会社KAWAGUCHIは、1953年に東京の日本橋で創業した洋裁用具の開発メーカーです。今では、ハンドメイドの道具や材料のほか、衣類の補修用品や快適生活用品など、手作りライフを簡単、快適にするグッズの企画開発を手掛けています。


2023年5月には、いつでもどこでも楽しめるポケットサイズのミニ織り機「ポケおり」と、自由に使えて楽しめるカラフルでかわいい糸セット「あそび糸」、そのふたつを組み合わせた「ポケおり キット」を発売しました。


このストーリーでは、消費者のライフスタイルの多様化やニーズの変化に合わせて、経営を変化させてきたことについてお話しし、新商品の「ポケおり」開発に込められた健康維持やサステナブルに繋がる思いから、KAWAGUCHIが目指す今後の展望までをご紹介します。


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受け継いできた伝統と消費の多様化にあわせた新しい挑戦

戦後の日本は、めざましい経済成長によって人々の生活は豊かになり、欲しいものは何でも手に入れられる時代となりました。1990年代以降、ファストファッションが流行し、同一のデザイン、カラー、サイズの製品が世の中に溢れるようになりました。新しいトレンドを短期間で提供し、エンドユーザーは季節ごとに新しい衣料品を購入することが普通になり、自分で手作りした服を着たり、傷んだ衣類を補修したりすることは減ってきました。


画一化されたモノが溢れる世の中においては、自分の個性を出したくても、なかなか難しいというのが現状です。一方で、世の中に1つしかないものを求めて、日々手作り活動に励む手作りファンが増えているのも事実です。そして今、SDGsやサステナブルな観点から、エンドユーザーの生活スタイルは多様化しつつあり、手作り・手仕事の良さが見直されております。


当社は、このような変化に柔軟に対応するため、今まで主力とした市場ではなく、新たな販路での事業を手掛けたいと考え、社内公募で新事業の企画案を募りました。そこから生まれたのが、2016年に起ち上げた地域産業や工芸にこだわった上質なハンドメイドの道具「Cohana」というブランドです。


Cohanaのブランドの立ち上げについてのストーリーは、弊社代表の下記のnoteの記事をご参照ください。


Cohanaというブランドの成り立ち


Cohanaを通して百貨店、文具店、書店、インテリア雑貨店など、新たな販路を開拓することができました。その結果、日本だけでなく世界中のユーザーに愛されるブランドになるまでに成長し、Cohanaの売上は全体の20%近くを占めるまでになりました。


そしてその販路を活かし、その市場に向けた新商品開発や既存商品の提案を行っていく中で日常的に手芸をしない人にも遊び感覚で楽しんでいただける商品の企画を考えたいと動き始めました。 


これまで当社を含む多くの手芸メーカーは、ハンドメイドをより簡単にそして効率的にするための機能性の向上を目的とした商品づくりをしてきました。しかし、実は手芸をすることで、人の脳が刺激され心がリフレッシュされることから心身の健康促進につながると言われています。


具体的には、手先を動かす編み物を行うことがリラックスやリフレッシュに寄与することが示され、特にストレスや不安の軽減に効果があることが報告されています。


「参考:Knitting and Well-Being: A Systematic Review and Meta-Analysis (by Betsan Corkhill et al., 2016)」


この研究では、編み物と心身の健康に関する10件の研究を対象にメタ解析が行われました。その結果、編み物はストレスや不安の軽減に効果があることが示されました。また、編み物は幸福感や自己効力感の向上にも効果があることが報告されています。


これらの研究結果から、手芸は単に作品を作るだけでなく、心身の健康促進にも効果があることがわかります。

「いつでも、どこでも」をコンセプトにユーザーがわくわくするような商品を

手芸を通じて多くの人に健やかな生活を送って貰いたいと考え、企画し生まれたのが2023年5月に発売した「ポケおり」です。



最近の多様化した生活スタイルにおいては、リラックスできる時間や場所、隙間時間などは人によってさまざまです。そこで、「いつでも、どこでも」をコンセプトにユーザーがわくわくするような商品開発を企画し、そこで目を付けたのが織り機でした。


・織りたい時に織ることができる

・子供から大人まで幅広い年齢層の方が織りやすい

・短時間で満足感が得られる

・織った後も楽しめる


以上をポイントに開発を進めました。



日常的に手芸をされない方にとって、手芸は難しい、自分にはできない、面倒などといったマイナスのイメージを抱かれていることは少なくありません。そんなイメージを持った方がメインターゲットになるため、如何にマイナスイメージの壁を超えるかが課題でした。


そのマイナスイメージを払拭するためにも、織り方はタテ糸をかけてヨコ糸を通すだけの2ステップのみにしました。また、基本の織り方であれば30分~1時間で幅3cm×高さ5cm程度の織り物が完成するので、短時間で達成感を味わっていただけます。大人の集中力の平均持続時間は50分と言われており、15分周期で集中力の高い波があるそうです。織る途中で素材や色の違う糸に変えることで、その15分の波に乗れ、更に次はどんな糸を使おうかと考え、目に見えて織り上がっていくカラフルな織地に心が踊ります。


一般的な家庭用織り機は、幅40cm、奥行き30cm程の大きさなので、それをポケットに入れて持ち運びできるくらい小さなサイズにし、それに合わせて付属のくしと針も小さくして、見た目にもかわいいミニチュア感を出しました。ポケおり本体のフォルムはどこか懐かしさを感じる、誰もが認識しやすい糸巻きのかたちにし、手に優しく馴染むよう柔らかい曲線を用いながら設計しました。


引いた図面通りのサンプルを厚みのある紙で作成し、実際に糸をかけて織ってみて、作業性の確認・織りにかかる時間の測定など、サイズ感と織りやすさには徹底的にこだわりました。この一連の作業を3度繰り返し行い、そこからやっと3Dプリンターで樹脂製のサンプル試作を行いました。


そうしてできたミニサイズの織り機「ポケおり」は、コンパクトで軽く気軽に持ち運べるので、学校やオフィスの休憩時間、キャンプやピクニックなどの野外、病院の待ち時間など、織りたくなった時にどこでも楽しんでいただけます。

環境にやさしい素材を使用した「ポケおり」のサステナブルな取り組み

また、世界中に広まっているサステナブルな取り組みとして、素材にもこだわりました。先述のように、何種類かの素材で試作を繰り返し、最終的に織り機本体と、くしはホタテの殻を51%使用することに。本来廃棄されるはずであった貝殻を資材として使用することで、プラスチック使用料を削減することにも繋がりました。


さらに、針は強度のある紙を使用し、ほどよいしなりでヨコ糸を通しやすくしました。開発に一番時間を要したのは針でした。理想の針は、ヨコ糸をタテ糸に通しやすい細さ・厚みで持ちやすく、程よいしなりがあるものでしたが、細すぎても折れてしまい、硬くするとしなりがなくなり、厚みを増せばタテ糸に通しにくくなるなど、なかなか理想に近づくことができませんでした。ほぼ同時並行で複数の仕入れ先様に連絡を取り、様々な素材とサイズ感の組み合わせを試し、今の紙製の針に辿り着きました。廃棄する時は、本体、くし、針、すべて可燃ごみで廃棄可能。生産はすべて安定した技術力を誇る安心の日本製です。





また、「ポケおり」と同時発売の「あそび糸」に使われている糸はメーカーの残糸も含まれており、アップサイクルにも繋がっています。そのため、例えば「あそび糸 レッド」の中でも、違った糸の組み合わせのものが存在し、同じレッドでも選ぶ楽しさがうまれます。


更に、自宅にある使い道のなかった短い糸や余っている毛糸、布の端切れでも「ポケおり」であれば織物を楽しむことができます。廃棄物の量を減らすことに繋がり、さらにユーザーご自身のリサイクル意識にも繋がってくるでしょう。「ポケおり」を楽しむことでサステナブルな視点を養い、持続可能性について自然と考え、取り組むことができる機会になれば幸いです。



専用サイトを活用してユーザー同士の繋がりの場をつくる


「ポケおり」で織ったモチーフはアクセサリーやファッションのアクセント、インテリア小物などさまざまなものにアレンジできます。専用サイトでは、アイデア次第でたくさんの楽しみ方ができることをレシピや動画などをアップしながら紹介しています。また、今後はユーザーさまとの交流の場として運営していきたいと考えています。


ポケおり専用サイト

https://pokeori.jp/



私達メーカーが一方的に「ポケおり」の楽しみ方や作り方、アレンジ例を発信するのではなく、ユーザーの方と共にいろんな情報交換・交流をさせていただきたいです。最終的には「ポケおり」を通して、お子さまやご高齢の方まで幅広い年齢層の方に安心して楽しんでもらい、日々の小さな喜びや大きな挑戦まで共有していけるきっかけをつくっていきます。


インスタグラムやXなどのSNSではユーザーの方から、早速こんなお声をいただいています。「つい持ち歩きたくなるサイズ感で可愛い」「ちょっとした空き時間に暇つぶしできそう」「くしでとんとんする時がたのしい」「会社のデスクに置いておいたらついつい手が伸びてしまいました」「あまり糸がたくさんあるから活用できそう」「心地よく、気軽に集中できます!」

新しいことに果敢に挑戦「ポケおり」とみる未来

KAWAGUCHIでは現在、2012年9月から私たち自身を見つめ直す活動を始め、あるべき会社像として、全社員で創り上げた新しい「企業理念」「KAWAGUCHIイズム」のもとに事業活動を展開しています。


新たな企業理念「てづくりで、人と社会に「ニコッ」を届けるモノ・コト・バ創りカンパニー」をめざして、お客さまの期待を超えた新しい価値を生み出し、伝統と文化を大切に、常に「しなやか」にときに「非常識」な発想でチャレンジし続け、人と人とのつながりの中で、新しいことに果敢にチャレンジし続けてまいります。




てづくりで、人と社会に「ニコッ」を届けるモノ・コト・バ創りカンパニー

株式会社KAWAGUCHI

◆KAWAGUCHI公式サイト:https://www.kwgc.co.jp/

◆ポケおり専用サイト: https://pokeori.jp/


【東京本社】東京都中央区日本橋室町 4-3-7 Tel: 03-3241-2101 Fax: 03-3241-2201

【大阪支店】大阪市中央区材木町 1-17 Tel: 06-6943-5686 Fax: 06-6943-5687 

E-mail:info@kwgc.co.jp




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