人形専門博物館が「人形文化の発信地」の矜持を持って開催する、2つの創作人形展
横浜人形の家について
横浜みなとみらい地区にある「横浜人形の家」は100ヶ国以上、10,000点以上の世界各国の人形を収蔵する人形専門博物館ですが、開館のきっかけは日本初の女性通訳として活躍した故・大野英子氏が自身の2,000体近くあった人形コレクションを横浜市に寄贈したことです。大野氏は通訳として活躍した後、創業者・御木本幸吉の秘書兼通訳として御木本真珠(現・株式会社ミキモト)に入社、後年には自身でも横浜に真珠店を開店し「ハマの女真珠王」と呼ばれた人物。現地の文化や風俗を窺うことができる人形が好きで、販売ルート開拓で各国へ出張する度に買い集めていたそうです。その後の所蔵人形数増加に伴い、1986年に現在の場所に開館しました。
当館常設展示では日本の人形や世界各国の人形をその歴史とともに紹介しています。また年6本ほど開催している企画展では人気のフィギュアやキャラクターをテーマとすることが多いのですが、今秋は創作人形をテーマとした企画展2本を同時開催。このストーリーでは2つの企画展の詳細と想いをご紹介いたします。
「人形文化の発信地」の自負。世界に誇れる人形の歴史と文化を横浜から発信
日本は人形に関して、優れた美術工芸品から素朴な郷土人形まで、世界に誇れる豊かな歴史と文化を有しています。明治維新後は工芸として低い位置づけだった創作人形も、先人たちの努力で地位向上が図られ、欧米文化の影響を受けながら現在に至るまでユニークな変遷を辿っています。横浜人形の家は「人形文化の発信地」としての自負から、近年では当館収蔵品をオマージュした大規模な創作人形展や人形写真家にスポットを当てた人形作品展を実施してきました。
そして今秋、横浜人形の家では企画展「ALICE×DOLL ー不思議の国のアリスと人形ー」と、第二企画展「ヒロタサトミ 記録と記憶 創作人形ができるまで」を同時開催いたします。
『不思議の国のアリス』をテーマとした大規模な創作人形展
10月28日より会期がスタートする企画展「ALICE×DOLL ー不思議の国のアリスと人形ー」では、ルイス・キャロル原作の『不思議の国のアリス』の日本における受容とその歴史についてご紹介し、さらに現代で活躍する人形をモチーフとした作家16名の新作・旧作も展示いたします。16名の作家は、陶器 (ビスクドール)のほか紙 (張子)や布 (ぬいぐるみ)、石塑 (球体関節人形)など様々な素材で作品を制作しており、アリスを独自解釈して表現しています。
『不思議の国のアリス』はイギリスで生まれ親しまれてきた物語ですが、制作から150年以上経った今でも多くの人々に再解釈され、ファッション・人形・玩具・演劇・アニメーション・映画といった様々なコンテンツを通じて、そのビジュアルを変化させながら愛され続けています。このような自由さを持った物語は稀有な例といえるでしょう。
本展では『不思議の国のアリス』が日本でどのようにして人々に受け入れられ、そして広まっていったのかを歴史と共にご紹介します。さらには「現代のアリス」について今を生きる人々がどのように捉え、また作品化しそこに何が反映されているのかを皆さんと共に見つめたいと思います。人形というモチーフを通じて、新たな『不思議の国のアリス』が生まれ拡張される瞬間を目撃しましょう。皆さまどうぞお立寄り下さい。
総合芸術ともいえる「人形制作」を追体験できる企画展の開催
既に会期がスタートしている、同時開催の第二企画展「ヒロタサトミ 記録と記憶 創作人形ができるまで」。本展は人形作家が2021年8月より1年以上にわたって人形制作過程をSNSで発信し続けた記録を、完成した作品とともに時系列で追体験する展示となります。自身が納得できる人形作品をこの世に誕生させるべく、作家が日々奮闘し、時には停滞する様子を俯瞰そして時系列で追うことができるでしょう。
作家本人がやらなければいけない作業が膨大で且つ多岐にわたる人形制作。それはまさに総合芸術といえるものです。横浜人形の家では常々「人形文化の発信地」として、人形作品が完成するまでの制作過程を当館らしい形で皆様にご紹介したいと考えておりましたが、本展はヒロタサトミ氏の詳細な記録からその一端を窺い知ることが可能です。そして企画展「ALICE×DOLL ー不思議の国のアリスと人形ー」と同時にご鑑賞いただくことで、来場された方々に新たな創造の種をお渡しできれば幸いです。
展示概要
企画展「ALICE×DOLL ー不思議の国のアリスと人形ー」
会 期/ 2023年10月28日(土)~ 2024年1月28日(日)
時 間/ 9:30~17:00 *16:30最終受付
会 場/ 横浜人形の家 3階企画展示室
観覧料/ 大人1000円・中学生500円 *入館料(大人400円・小中学生200円)含む
休館日/ 毎週月曜日、年末年始
第二企画展「ヒロタサトミ 記録と記憶 創作人形ができるまで」
会 期/ 開催中 ~ 2023年11月19日(日)
時 間/ 9:30~17:00 *16:30最終受付
会 場/ 横浜人形の家 2階多目的室
観覧料/ 大人700円・小中学生350円 *入館料(大人400円・小中学生200円)含む、同時開催の企画展の鑑賞には追加料金が必要
休館日/ 毎週月曜日
協 力/ 公益財団法人 鎌田共済会、ビリケンギャラリー
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