人権啓発のための拠点施設「東京都人権プラザ」が新たに立ち上げた「インクルーシブシティ東京プロジェクト」 立ち上げの理由と「セサミストリート」とのコラボの経緯とは
「東京都人権プラザ」は、東京都が設置した人権啓発のための拠点施設です。
都民の人権意識の高揚を図ることを目的として設置された公益財団法人東京都人権啓発センターは、東京都人権プラザの指定管理者として、東京都と連携しながら、人権問題の解決に向けて様々な普及啓発事業を展開しています。
2023年10月、東京都人権プラザは、特別展示コーナーをリニューアルし、「セサミストリート」のキャラクターをガイド役に起用した展示を始めました。その名も「セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利」。新たな特別展示は、2023年度から3年間かけて東京都人権プラザが取り組む、「多様性」を軸とした「インクルーシブシティ東京プロジェクト」の一環として行うものです。
人権教育・啓発を総合的に推進していく東京都人権プラザにおいて、特別展示になぜ「子ども」をテーマに選び、「セサミストリート」のキャラクターをガイド役に起用したのか。
東京都人権プラザにおける「インクルーシブシティ東京プロジェクト」の概要とともに、新たな特別展示に込めた想いや学びのポイントなどを紹介します。
一人一人の人権が尊重される社会の実現を! 「東京都人権プラザ」設立の経緯とプロジェクトの展開
東京都人権プラザは、人権尊重の理念を普及させることにより、人権意識の高揚及び人権問題の解決を図り、もって都民一人一人の人権が尊重される社会の実現に寄与する「人権啓発の拠点」として、東京都が2002年1月に設置した施設です。設置当初は台東区橋場にありましたが、建物の老朽化が進行していたこと、また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に、これまで以上に人権尊重理念を広く社会に発信し、浸透させていくことが求められていたことから、同施設の更なる機能強化に向けて、2017年1月に港区芝に移転し、今に至ります。
移転後は、従来の一方通行的な情報提供ではなく、「体験」や「交流」という考え方を生かした展示・イベントを展開しております。
直近では、2020年度から2022年度までの3か年にかけて、多様な人が共に支え合う「インクルーシブシティ東京」の実現に向けた体験・交流型の新たな事業として、障害当事者を起点とする発明に主眼を置いた「発明プロジェクト」を展開してきました。
【人権教育・啓発×ユース世代】 「学ぶ」「つなげる」の新たな事業の展開に向けて
2022年4月、当該年度をもって「発明プロジェクト」が終了することから、東京都人権プラザにおける次期インクルーシブシティ東京プロジェクトの検討が始まりました。
次期プロジェクトは、東京都の基本計画である「『未来の東京』戦略」に掲げる「インクルーシブシティ東京」の実現に向け、東京都人権啓発センターと東京都人権プラザが貢献していくための中核となる重要な事業です。
社会を担う若者の健やかな成長は社会の発展の基礎をなすものであり、多様な人が共に支え合う「インクルーシブシティ東京」の実現には、ユース世代へのアプローチが必要不可欠です。
そこで、新たなプロジェクトでは、ターゲットを「ユース世代を中心とした若年層」に設定し、東京都人権啓発センターと東京都人権プラザのミッションである「人権教育・啓発」とターゲット層である「ユース世代を中心とした若年層」をつなぐ、今までにない「人権教育・啓発」の提供を目指すこととなりました。
以降、「学ぶ」「つなげる」を事業の両輪として、インクルーシブな社会へ導く・支える「人」を育成するというコンセプトのもと、その実現に向け、具体的に検討を進めることになりました。
ターゲット世代が親しみやすい展示への挑戦
2023年度にリニューアルを予定している特別展示は、プロジェクトを支える基盤となる重要なものです。新たな特別展示では、「学び」を補完するとともに、子どもや若者の人権への関心を引き出し、「人権」を学ぶための基礎となる取組として、「子どもの権利条約」をベースとした展示を展開することとしました。
一方で、台東区から港区に移転して、早5年、東京都人権プラザは「知る人ぞ知る」といった施設で、その認知度に課題がありました。また、来館者も比較的高い年齢層の方が多く、事業のターゲット層である子どもや若者に対して、十分にアプローチできていない状況でした。
そこで、東京都人権プラザを知っていただき、来館いただけるよう、ターゲット世代に親しみやすいキャラクターをナビゲーターに採用し、子どもたちにとって、分かりやすく、楽しみながら学べる展示を目指すことになりました。
「多様性」が決め手 ~ 多様な背景を持つ「セサミストリート」のキャラクターを起用
セサミストリートは1969年にアメリカで誕生した子ども向け教育番組で、150以上の国と地域に届けられています。豊富で多種多様なキャラクターは、人種差別や男女格差、貧困といった社会課題に子ども自身が向き合うことができるように、それぞれ異なった設定がなされ、現在でもさまざまな社会的背景が反映された新たなキャラクターが生み出されています。
例えば、世界自閉症啓発デー(※1)のメインキャラクターを務める“ジュリア”、7歳でホームレスになった“リリー”、先天的にHIVに感染している“カミ”等、それぞれ深刻な状況を抱えながらも「セサミストリート」というひとつの世界に共存しています。また、“ビッグバード”や“エルモ”、“クッキーモンスター”などはキャラクターとしての人気も高く、放送を見ていない世代にも愛されているとても有名なキャラクターです。
そうしたセサミストリートの仲間たちが子どもの権利についてガイド役を担うことはとても大きな意味があります。アメリカで多くの子どもたちをエンパワーメントしてきたセサミストリートは子どもたちの日々の生活に即して展開されています。そうしたことが「権利」や「人権」をより自分事として捉えることの助けになり、子どもたちに「自分たちが権利の主体である」と意識させます。さらにワークシート等を用いた「参加・体験型」の展示形態を展開することで、より主体的に学ぶことができるよう工夫しています。
これまで、人権プラザでは既存キャラクターとの協働・コラボレーションといった経験はありませんでした。全く新しい取組として始まったこの展示が、これまで行ってきた人権啓発や人権教育に新たな可能性を呼び込むことを期待しています。そして若い世代が自分自身、そして相手の人権について考えることで、「多様な人が共に支え合うインクルーシブシティ東京」の未来を築いていけると信じています。
※1 世界自閉症啓発デーとは?
2007年の国連総会において、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とすることが決議されました。
東京都人権プラザの「インクルーシブシティ東京プロジェクト」の今後の展望
東京都人権プラザの「インクルーシブシティ東京プロジェクト」では、このほか、新たに「ユース世代」と「ユース世代に関わる大人」を対象とした参加・体験・交流型の学習プログラムを展開し、「インクルーシブ」な社会に導く・支える「人」の育成を進めていきます。
東京都人権プラザでは、これらの取組を通じて、人権を守るという強い意志を持ち、自ら行動し平和的に人権を促進していく「人権ディフェンダー」(※2)を増やすことで、「インクルーシブシティ東京」の実現に寄与することを目指しています。
※2 人権ディフェンダーとは?
人権ディフェンダーとは、人権の守り方を知り、自ら行動していける人のことです。
◆ ◆ ◆
人権について、難しいと身構えたり、躊躇してしまう人も、もっと考えたい・学びたい人も、一歩進んで、人権を守るために自分なりに行動していきたいと考えている人も、東京都人権プラザでは、展示、講座、図書の閲覧など色々な方法で「人権」と接することができます。
東京都人権プラザでは、「セサミストリート」とのコラボレーションにより、カラフルに明るく、楽しく生まれかわった特別展示とともに、皆様のご来館をお待ちしております。
特別展示リニューアル後の東京都人権プラザ(正面入口)
正面入口から、カラフルな特別展示の様子を見ることができます。
● インクルーシブシティ東京プロジェクト
https://www.tokyo-hrp.jp/plaza-inclusive-index.html
● 特別展示「セサミストリートの仲間たちと学ぼう!子どもの権利」
https://www.tokyo-hrp.jp/inclusive-2023-01.html
● 参加・体験・交流型の学習プログラム
(1)人権ディフェンダーになるための4日間集中プログラム<ユース向け>
【令和5年度の募集は終了】
https://www.tokyo-hrp.jp/inclusive-2023-02.html
(2)人権ディフェンダーになるための2日間集中プログラム<指導者向け>(仮称)
https://www.tokyo-hrp.jp/inclusive-2023-03.html
TM and © 2023 Sesame Workshop
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