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創業150年の和菓子舗たねやのあゆみ

著者: 株式会社たねや

2022年和菓子舗「たねや」は創業150年

和菓⼦製造販売を行う株式会社たねやは、2022年に創業 150 年を迎えました。


四季折々のお菓子をお届けし、創業150年を迎えた和菓子舗「たねや」のこれまでのストーリーとこれからの展望をご紹介します。

▲和菓子「たねや」洋菓子「クラブハリエ」が展開するラ コリーナ近江八幡(滋賀)

材木商からはじまった和菓子屋

菓子舗たねやの創業は1872年(明治5年)。創業以前は穀物や根菜などの種を売る仕事を、さらにさかのぼれば江戸時代には材木商をしていたと伝えられます。


明治に入り、七代目当主 山本久吉が京都亀末にて菓子修業を終え「種家末廣(たねやすえひろ)」の屋号で旧八幡町池田町(滋賀県近江八幡市池田町)の地に、菓子業の初代として創業。 


▲京都亀末にて修業したのち、滋賀県蒲生郡近江八幡旧八幡町に菓子舗を創業


後に、屋号を「種家」と改名しましたが、近江八幡で昔から商いをしていた山本家は、お菓子を扱うようになっても地元の人々からはかわらず「種屋」という愛称で親しまれてきました。


名物は栗饅頭と最中

たねやが創業当時からつくりつづける名物は栗饅頭と最中。戦後の混乱、原材料が配給制のなか苦労して集めた素材でつくる栗饅頭が飛ぶように売れました。

▲原材料が配給制のなか、苦労して集めた素材でつくる栗饅頭が飛ぶように売れました

(昭和40年代のチラシより)

1951年、洋菓子部門を設立

滋賀県近江八幡で店舗を構えた向いにアメリカ出身で建築家でもあるウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏がお住まいでした。当時としてはめずらしく庭にテーブルを出してパーティーをする様子や、3時になるとクッキーやパイなど見たこともない菓子が並んでいる様子をみた先代は「これからの時代は洋菓子」と和菓子店舗一角で洋菓子の販売を始めます。本格的な製造を開始したのが1951年。のちに洋菓子部門は独立し、1995年に株式会社クラブハリエとなりました。 

クラブハリエ 70周年(2021年) 


株式会社たねや設立、分店のオープン

1972年株式会社たねやを設立いたしました。それまでは滋賀県近江八幡市で商いをしてきましたが同年、初めての分店として滋賀県守山市に「たねや守山店」をオープンいたしました。

▲1972年にオープンした守山店。のちに移転、現在の守山玻璃絵館へ

代表銘菓「ふくみ天平」の販売開始 

1983年、つくりたてのおいしさをお届けしたいと開発した「手づくり最中」。最中種と餡を食べる直前にあわせるスタイルは1985年に実用新案を取得しました。

▲和菓子職人が塩梅した適量の餡を別々に包装した 画期的な手づくり最中

【1985年(昭和60年)実用新案取得】

滋賀県外への出店

1984年、滋賀県外出店第一号店として「たねや日本橋三越店」がオープンしました。この出店は、滋賀・近江の一和菓子舗にとっては大変な挑戦でしたが、私たちが守り継ぎ、進化をしながらつくり続けてきた和菓子は、日本橋の地であたたかく迎えていただきました。 

▲たねや日本橋三越店オープンの様子


そして、この出店は全国にたねやの和菓子をお届けする大きな転機となり、現在では東京、横浜、名古屋、大阪など主要都市の百貨店へ出店しています。

歳時を伝えるお菓子

菓子舗として代をかさねるなかで新たに「歳時菓子」も誕生しました。一年に一度しかない歳時の日にはその日だけのお菓子をご用意。さまざまな節供や行事にちなむお菓子は時代にあわせ姿や味をかえながら、たねやらしさを籠めたお菓子として現在もお届けしています。 

 

 ▲厄除招福を願う節分にちなみ職人が手掛けるお多福さんのお面

30年以上続くたねやの風物詩です


滋賀県内店舗を拡大

1990年代後半から2000前半にかけ、それまで滋賀県内にあった店舗を和洋菓子販売の総合店舗へと大きくリニューアルしていきました。1998年、滋賀県彦根市では旧店舗からすぐ近くに「たねや彦根美濠(みほり)の舎(や)」をオープン。和洋菓子販売に加え、甘味や食事のできる飲食部門(現在は閉店)とケーキを召し上がれるカフェを併設。 

▲1998年彦根美濠の舎オープン


1999年には滋賀県近江八幡市八幡宮の境内に和菓子販売と甘味や食事のできる「日牟禮乃舍(ひむれのや)」をオープン。

▲1999年日牟禮乃舍オープン

人間には作れない水羊羹

店舗数を増やしていく中で従来の工場が手狭になり、2002年に滋賀県愛荘町に新工場を竣工しました。大きくなった新工場で力を入れたのが水羊羹です。


当時、世の中には高温で殺菌する缶詰の羊羹が主流でしたが、小豆は高温で熱すると風味が飛び、見た目も黒に近い茶色になってしまいます。小豆本来の紫に近い色を出すために試行錯誤し、多額の投資をして完全無菌状態のクリーンルームを作りました。


▲2004年のどごし一番本生水羊羹発売 


それまでたねやで販売していたのは低温殺菌の水羊羹。缶詰のような水羊羹ではないものの殺菌が弱いため日保ちがしませんでした。それに比べクリーンルームで作られる水羊羹は「殺菌のため」に熱を加える必要がなく、きれいな紫に近い小豆色へ仕上がり小豆本来の風味が味わえる水羊羹が2004年に完成しました。瑞々しくなめらかな口どけを味わえるため商品名を「のどごし一番本生水羊羹」と銘名。餡の色を見せるプラスチック容器も当時は珍しいもので、日保ちがするので進物として使え、熱を加えていないぶん飛躍的においしくなる、たねや夏菓子のヒット商品となりました。


手作業ではできない、機械があるからこそできる水羊羹のおいしさはクリーンルームをもつ「たねや」だからこそできる商品です。

オリーブ大福を販売

2011年には「オリーブ大福」を販売。社長である山本昌仁がイタリアで出会った1瓶9mlのオリブオイル。塩気の効いた大福にフレッシュなオリーブオイルをあわせて食べる珍しい組み合わせが多くのメディアで紹介されイタリアの素材と和菓子の新しい組み合わせが話題になりました。

2015年ラ コリーナ近江八幡がオープン

和菓子の「たねや」洋菓子の「クラブハリエ」を展開するたねやグループのフラッグシップ店。『自然を愛し、自然に学び、人々が集う繋がりの場』として滋賀県近江八幡市に2015年1月にオープンいたしました。 

▲ラ コリーナ近江八幡のメインショップは屋根一面の芝が特徴

別名「草屋根(くさやね)」とも呼ばれる

2017年SDGs宣言 

2016年よりSDGsの「誰1人取り残さない」という精神に共感し、社内でSDGs推進室を設けました。創業当時より大切にしていた近江商人の精神「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」がSDGs(持続可能な開発目標)に通づるとして2017年に「たねやグループSDGs宣言」を発表しました。 

コロナ禍が会社の意識を変えた

2017年にラ コリーナ近江八幡ギフトショップがオープンし、2019年には滋賀県観光客数が322万人と大変多くの方にご来店いただいております。2020年、緊急事態宣言下で影響で店舗を構える百貨店が次々に休業となりました。滋賀県内の直営店も休業となり「お菓子が売れない」日が続きました。そんな中、お客様から「お菓子を販売してほしい」という声をいただき、自社オンラインの強化や今まで出店してこなかった販路へも臨時出店し、お菓子を届ける方法を試行錯誤いたしました。


2020年5月には臨時休業をしている店のスタッフからの発案で「お菓子のドライブスルー販売」を工場の敷地内で試験的に実施。『お店が閉まっているけどお菓子が買えてよかった』とお客様からお声をいただき、改めて「お菓子のもつ力」を社員一同実感する取り組みとなりました。 

 ▲臨時休業した店舗のスタッフが発案したドライブスルー販売

創業150年、たねやの「本生羊羹」を発売

2022年に創業150年を迎え、その節目となる年に夏の涼菓としてご好評いただいている⽔⽺羹を装いも新たに「本⽣⽺羹(ほんなまようかん)」として新発売いたしました。

四季折々のお菓子をお届けする和菓子舗たねやの羊羹として、秋に楽しんでいただけるよう気温、湿度にあわせ熟練の職人が調製した「本生羊羹 秋味」。


従来のプラスチック容器からリサイクル可能なアルミ容器に変更し、環境にも配慮した羊羹として2022年秋より発売し、今後「冬味」「春味」と季節に合わせた本生羊羹を販売していきます。


一年を通して本生羊羹をお届けするのは「たねや」がこれまでも大切にしてきた『みなさまに愛される菓⼦屋であり続ける』という想いを胸に、新しい試みとしてスタートいたしました。


これから100年、150年先の未来にむけて

1872年、滋賀県近江八幡ではじめた和菓子づくりは、早くも150年。今日まで続くお菓子づくりは、お客様より賜りましたご縁のおかげです。

変わり続ける時代のなかでもめぐる季節と自然の美しさを大切に。

暮らしのひととき、ほっと一息つけるようなおいしさをこれからもお届けしてまいります。




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