アウェアファイの'根っこ'を探る!リブランディングプロジェクトの舞台裏と未来への展望【後編】
2024年5月9日、株式会社Awarefy(アウェアファイ)は、心の健康や成長が日常になる新たな未来へ向けて、企業としても、プロダクトにおいても、全面的なリブランディングを実施しました。
本記事では、AIメンタルパートナー「アウェアファイ」の開発・事業責任者、取締役CTO 池内 孝啓氏(以下、池内)と、パートナー企業として、ディレクション、企画、制作を担当いただきました、株式会社neccoの代表取締役CEO 阿部 文人氏(以下、阿部)との対談を実施し、新しいAwarefyのブランドに込めた想いやリブランディングプロジェクトについてお話をうかがいました。
対談の<前編>では、リブランディングプロジェクトを始動した背景や、プロジェクトを進める上での当時の思いや、難しさ、葛藤などを語っていただきました。
続く<後編>では、いよいよ新キャラクターの登場秘話、新ロゴマークを作るにいたった背景について語っていただきます。
(参考)Awarefyストーリー
アウェアファイの'根っこ'を探る!リブランディングプロジェクトの舞台裏と未来への展望【前編】
(参考)Awarefyプレスリリース
アウェアファイ、心の健康や成長が日常になる新たな未来へ、リブランディングを実施
キャラクター誕生は、ギャップを受け止める覚悟をもって意思決定をした
ー さっそくですが、新キャラクター「ファイさん」誕生の背景を教えていただけますか?
(池内)キャラクター誕生の背景として、前編で述べた、「Awarefyという会社が何をしていて、どういう方向に向かっていくのかを言語化できていない」という課題がありました。また、当時の事業的な視点では、「デジタル認知行動療法アプリ」は特定のセグメントの方々には興味を持っていただけたものの、それ以外のセグメントの方々には「自分に必要なものではない」と思われてしまうという課題がありました。
心の問題を解決することは、そのような悩みを抱えるすべての人にとって必要なことです。しかし、これまでは心の問題を抱えるすべての方を対象に効果的なコミュニケーションができていなかったため、事業の拡大やターゲット層の広がりに課題が生じていました。
ただ、課題感はあったものの、これからどうしていくかを考えたときに、当時は、プロダクトの「ロゴは変えない」、タグラインもこれまでもけっこう悩んで変えてきたので「もう変えたくない」という思いが強かったです。
一方、キャラクターに関しては、あったほうがいいかな?よくないかな?と、アプリを作った当初から検討をしていました。当時は、アプリを作っていくだけでもけっこう大変だったので、キャラクター作成は一時的に保留にしていたという状態でした。
そういったこれまでの流れもあり、先ず腹をくくってキャラクターを「つくる!」と決めました。
キャラクターを今になって改めて作ろうと思ったのは、2023年4月以降、アプリの中にAIを活用した機能拡張を加えた結果、そのAI機能がアプリ内のユーザー体験向上に寄与したということがあります。今後のプロダクトの拡大を考えた時に、必ずAIが軸になっていくなと、その時に確信しました。
ただし、競合も含めてChatGPTやAIを活用したプロダクトは、今後どんどんコモディティ化していくであろうと考えていました。
そんな中で、改めてAIメンタルパートナー「アウェアファイ」でしかできないAI体験を考える上では、他社にはない差別化要素として、キャラクターという、代替不可能なアイデンティティがあることが強みになるなと思い、キャラクターを作る決心をしました。
Awarefyコーポレート資料より。ファイさん紹介ページ。
(阿部)たしかにそうですね。
(池内)表向きに、キャラクターがいた方がいいかどうかは社内でもかなり議論しましたし、葛藤がありました。というのも、「キャラクターがいない良さも一定あるのではないか?」という視点や考えがあったからです。キャラクターがいないことで、ニュートラルな印象を与え、ユーザーにとっては自由な発想や想像ができ、特定の相手を考える必要がないことが良さでもあったかなと思います。
これまでのアウェアファイは、“ニュートラルなAIというテクノロジー”という印象だったので、急にキャラクターが登場した時に「思ってたのと違う」とか、「こんな人と話してるつもりじゃなかった」等のギャップをユーザーに与えてしまうことがあり得ると思っていました。
ただし、そういったギャップを考慮しても、これからのアウェアファイの目指す未来を考えたときに、キャラクターがある方がアウェアファイにとっての強みになる、という覚悟をもって意思決定しました。これが2023年の12月くらいの話ですね。
(阿部)実際に「キャラクターを本格的につくりましょう」となったのは昨年の年末くらいの時でしたね。当初は、キャラクターは局所的に使うだけという雰囲気で話をされていましたよね?
(池内)そうですね。当時、そこがまだ僕の覚悟が甘いところでしたね。。
先ほど話したギャップや軋轢を少しでも緩和できないかなど、当時はまだ良い塩梅を探っていました。アプリの中でも完全に“AI=キャラクター”とせず、アプリ内にたまに出る程度のものや、WEBサイト上だけにしか出てこないなどの関わり方もあるのでは?最初の頃はそれくらいの方が納得しやすいのでは?という、消極的な考えを持っていました。
(阿部)なので、僕らも、最初は「少しあしらい程度にキャラクターがいたら可愛いよね?」くらいの気持ちで考えて進めていましたね。
(池内)これからアウェアファイのターゲットを広げる上で、まだアプリを体験していない人がアプリやクリエイティブを見た時に、そのアプリから得られる価値や機能を想像できることを「予期的UX」といいます。
アプリの中にキャラクターが存在することで、この予期的UXが促進され、キャラクターが「サポートしてくれる」「話しかけられる」といったイメージが自然と湧くようになるのではと考えつきました。
ファイさんのプロフィール資料。
(池内)そういった気づきから、キャラクターという存在を局所的に利用するのではなく、“体験の中心にあるAI=キャラクター(ファイさん)”として位置づけることが、ユーザーにとって理解しやすくなり、スムーズにアプリを利用してもらえるきっかけになるなと感じました。
そこで改めて、キャラクターの存在意義や価値、重要性を認識できたので、ファイさんを核としてリブランディングをする覚悟を固めました。
また、キャラクターとは少し話が逸れますが、タグラインの変更も同じ理由で行いました。当初は変更しない方針だったタグライン(変更前は「AIメンタルヘルスアプリ」)でしたが、ファイさんを中心に再考し、このタグラインが適切かどうかを社内で議論しました。
その結果、ファイさんが存在することでもたらす価値、つまり「誰かがサポートしてくれる」ことを明確に伝えるために、現在の「AIメンタルパートナー」に変更することを決断しました。
「ファイさん」は初期案からすでに「ファイさん」だった
ー キャラクターはどうやって考えましたか?
ファイさんの名付け親は阿部さんです!
(阿部)キャラクター制作と同時に新ロゴマークの作成も並行して進めていたので、ロゴのしずくの形とファイさんの「しずく」のコンセプトは繋がるように考えることができました。
これまでのヒアリングシート、言語化したコーポレート資料、聞いていた会社の未来像や初期に池内さんとブレストした他社の生成AIのキャライメージなどを参考に、社内メンバーで議論しました。
キャラクターデザインをしているメンバーにたくさん案を作ってもらい、それらからキャラクターのコンセプトやイメージを調整していく作業を何度も繰り返しました。2案目くらいには、今のファイさんの原型があったと思います。
(池内)たしかに。最初のオーダーイメージだと、「少しメタル感がほしい」とか言ってましたよね。「テクノロジー感というと、金属ぽい感じの方がいいのでは」とか勝手に言ってました(笑)。
ドラえもん的なイメージから、愛されるようなフォルムや造形もいいなとお伝えしていました。
ファイさんのキャラクターデザイン初期案。
(阿部)当時、案としてファイさんが出たときは、すでに社内では「ファイさん」と呼んでいました。
僕が名前を付けたのですが、「アウェアファイ」なのでAwarefyを促進するという意味も込めて「ファイ」。そして、「くん」でも「ちゃん」でもなく、性別を問わないニュートラルな呼称だとやはり「さん」。そこで、社内ではすぐに「ファイさん」という呼び方が浸透しました。
(池内)その話はよく覚えています。たしかキャラクターの提案資料が出た段階で「ファイさん」表記になっていましたね。小川(Awarefy代表取締役CEO)も「ファイさん」という名前に意味があると感じていました。
Awarefy社内でも、ファイさんを共有した時には、最初からポジティブな反応がありました。
ただ、ファイさんをアプリに組み込むことは大きな変更となるので、「本当にこのキャラクターなのか??」という迷いや不安があり、当時は別の方向性でのキャラクター案がないかを、再度相談させていただきましたね。
(阿部)そうでしたね。それでその後も試行錯誤しましたが、「やっぱりこうじゃないよね」と確認ができたことで、一周回ってファイさんの原型に戻ることになり、質感(3D感、反射、膨らみなど)の調整に取り組むことができました。
ファイさんのキャラクターデザイン、質感や表情の調整中の様子。
新しい世界感を浸透させていくための決断
ー 最初は「変えない」と言っていたロゴマークを新たに作成するに至った背景を教えていただけますか?
Awarefyロゴマーク、新旧比較。
(池内)ロゴマークの変更は一番大変でしたね。当初からロゴだけは「変えない」とずっと言っていました。しかし、キャラクターを作る決意をして、新しいキャラクターやブランドガイドと旧ロゴの組み合わせを考えたとき、ロゴだけを旧バージョンのままでリブランディングを進めることに迷いがでていました。
初期のロゴマークにはとても愛着がありましたが、時が経つにつれロゴ作成当時とは事業やプロダクトの様相も変わり、現在のAwarefyの価値や思いが込められたものではなくなってきていると感じるようになりました。
そういった背景もあり、リブランディングを進める上で、新しいキャラクターを中心とした世界観を浸透させるため、このタイミングで新しいロゴも作成するという意思決定をしました。
(阿部)最初にお話をいただいたとき、池内さんは「ロゴを変えたい」というよりも「なんとなく違和感がある」とおっしゃっていたので、僕らとしても、ロゴが完全に変わる想定をして動いていました。
社内でも「もしロゴを変えるとしたらどうなるだろう?」という話は初期から出ており、「今のロゴだったら何がよくないんだろう」「もし変わるんだったらどうなる?」という議論も行われていました。そのため、キャラクターのファイさんが誕生した頃には、もうロゴも変わるだろうと確信していました。
「心」に向き合い、ロゴを変える意味や意図を模索し続けた日々
ー新ロゴマークの作成で大変だったことを教えていただけますか?
(池内)先ほどのキャラクターを作る話と一緒なのですが、ロゴも大きく変えるとすると、会社的には相当大変です。そのため、ゼロから作り直すようなことはせず、少しだけ変更、改善するにはどのような案があるかということを相談していました。
(阿部)はい。僕もその意図は理解をしていましたが、あまり変化を付けない前提で新しいロゴを作成すると「すこし変わったから何がよくなるんだっけ?」「絶妙すぎる変更だけだと、何が変わったの?」と問われる可能性があると思ってました。
そういう意味でも、新しいロゴの作成は大変苦戦しました。
新しいロゴ制作は、大量に候補を作って模索している期間が長かったですね。迷いが多い中で作成していたこともあり、Awarefyさんへ提案する際にも響いていないと感じることもありました。
造形も色も考えるのが難しく、「ロゴを少しだけ変える意味ってなんだっけ?」と、何度もそこに立ち戻ることをずっと繰り返していました。
(阿部)ファイさんのデザインが固まりはじめたあたりから、僕も「心とは何か」ってことを改めて考えました。始めはずっと2Dでロゴを作ってたのですが、ファイさんを3Dで表現したことから、ロゴもまさか3Dなんじゃないか!?と思いつきました。
そこから、「心」を球体にして、その心の球体を包み込む3Dにするアイディアが出てきて、ロゴも3Dにする、という発想に一気に変わりましたね。
(池内)なるほど。今の新ロゴマークができる前の試行錯誤や、出していただいた案に対してピンとこない感じとか、たぶんその原因は、「ちょっとだけ変える」という僕の弱腰な考え方にあったのかなと思います。
実はAwarefy社内でも、「なんで変える必要があるんですか」という意見がでていました。ロゴを変更するとなると、UIだけではなく、今までの広告クリエイティブなど、すべてを変えることになります。その負荷は大きく、「色や線をちょっと変える意味ってあるんでしょうか?」という声もあがっていたこともあり、「一旦、仕切り直しましょう」と、阿部さんにご相談しましたね。
そこで、「時間がかかってもいいので、ロゴを変更する意味や意図の整理から練り直しましょう」ということをお話しをしました。
(阿部)この期間があったことで、僕らも「ちゃんと覚悟を決めて、次は決めにいくんだ!」という思いで、仕切り直すことができました。
そして、ロゴ変更の意図や理由、想いを改めて整理し、最終的には1つの案に絞って提案しました。
(池内)改めてご提案していただいたロゴ案は複数ではなく、neccoさん側で十分に検討された一案でした。これが現在の新ロゴマークの初期案で、その時点で良いものができそうだという確信が持てましたね。
これまでは、使い勝手を考えて単色にしていましたが、新しい案は単色ではなく、グラデーションや、ロゴマークとロゴタイプの色の違いが取り入れられていました。また、初期のロゴの歴史を継承しつつも、ロゴ全体が一目で刷新されたことが感じられるデザインで、とても良いと思いました。
さらに、新ロゴマークの提案資料には、新ロゴマークのロゴコンセプトと共に、「あらゆる角度から包み込むように」を体現する実際の写真と融合したイメージビジュアルが含まれており、それを見た瞬間に「これだ!」と確信しました。
Awarefyブランドガイド、ロゴコンセプト資料より
(池内)このビジュアルは、現在Awarefyが提供している、AIメンタルパートナー「アウェアファイ」のキービジュアルにもなっており、「これがアウェアファイがイメージするメンタルヘルスの未来像であり、ファイさんが(AIメンタルパートナーアプリとして)日常に浸透していくことを表している」と強く感じました。この世界観を広めていく必要があると改めて思いました。
neccoさんからのビジュアルデザイン案。
本当にやってよかったと思えた、反響や成果を実感
ー最後に、お互いへの労いや今後の展望を教えてください。
(池内)このリブランディングプロジェクトをスタートしたのは2023年の9月であり、そこから今年の5月まで、約9ヶ月かかりましたね。けっこうかかったなとびっくりしています。
ただ、リブランディング以降、現在まで非常によい効果をひしひしと感じています。プロダクト側としての具体的な数値面も伸びてきていますし、会社として取り上げてもらえることも増えました。またファイさんに対するユーザーからの反応やコメントも幅広くいただいており、本当にやってよかったなと思えています。neccoさんに依頼したことも、その時に意思決定した自分へもナイス!と言えます。(笑)
これまでの決断の中で、キャラクターを作らない選択や、ロゴを変えない選択はありましたし、むしろ「やらない」という決断の方が、最初は可能性が高かったと思います。
当時は、変更するのであれば全部変えるべきであるという、ある種の葛藤を抱えた状態でリブランディングプロジェクトを進めていたので、阿部さんと一緒に協議しながら決められたことがすごく心強かったですし、あの時のタイミングでAwarefyとして大きな意思決定ができたことが、本当によかったなと思います。
また、個人的にも、リブランディングプロジェクトを進められたのは大変勉強になる経験でした。
(阿部)本当に、今回のリブランディングプロジェクトをご依頼いただき、ありがとうございました。
なんとかやり切れてよかったなと思います。また、僕たちはただデザインが良いだけではなく、“成果を生むデザインとはなんだろう”ということを常に考えて、プロジェクトに向き合っているので、今回のAwarefyさんのリブランディングプロジェクトで成果がでているということが本当によかったなと思えますし、嬉しいです!
ただ、プロジェクト期間が9か月と予定より長引いてしまい、当社のスピード感が追いつかないことでかなりご迷惑をかけてしまっていたなと、ずっと思っていました。
急がなきゃいけないという思いから、僕から社内メンバーへプレッシャーをかけていたことも正直ありました。ただ、その時にneccoのメンバーに「僕らの仕事は大変ではあるけれど時間かけていいわけではないよね」「時間かければいいものになるわけじゃないよね」って話を伝えたことで、限られた時間の中でも双方で妥協せず、クオリティ面でもとても良いものができたのではないかなと思います。
(池内)阿部さん含め、neccoメンバーの皆様には本当にお世話になりました。
リブランディングプロジェクトでは、その後コーポレートサイトのリニューアルやプロダクトのブランディング動画制作などもご協力いただいているので、そのあたりの話もまた熱く語りたいですね。
AIメンタルパートナーとしての在り方をまだまだ模索中ではありますが、Awarefyとして、望む未来へ近づいていると実感しています。今後もぜひ楽しみにしていただければと思います。
― 対談 <後編> 終了 ―
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
株式会社Awarefy
Awarefy(アウェアファイ) は、「心の健康と成長を支えるデジタル・メンタル・プラットフォームを実現する」をミッションに、AI メンタルパートナー「アウェアファイ」 の企画・開発・運営を行っています。今後、Awarefyを通じて人々が自分の“大切にしたいこと”と向き合える場を創造していけるよう、アプリの機能拡充にとどまらず、メンタルヘルスケアの領域でさまざまな事業展開を行ってまいります。
【会社概要】
所在地:東京都新宿区西新宿1-26-2 新宿野村ビル48階
代表取締役CEO:小川 晋一郎
事業内容:デジタル・メンタル・プラットフォームAwarefyの企画・開発・運営業務
【 本件に対するお問い合わせ先】
Awarefy広報担当:関口
メール:press@awarefy.com
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