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ストーリーの著者は、読者でもあります

いま話題の『未定年図鑑~定年までの生き方コレクション~』著者が語る、「私の未定年アクション」とは

著者: 株式会社博報堂

株式会社中央経済社は、『博報堂シニアビジネスフォース流・未定年図鑑~定年までの生き方コレクション』(以下、『未定年図鑑』)を、5月27日に刊行いたしました。


博報堂のコピーライター・CMプラナーで国家資格キャリアコンサルタントの資格を持つ三嶋(原)浩子さんが、定年に向けて動く・学ぶ人たちを取材し、27人のロールモデルとして紹介した一冊です。コピーライターのスキルを活かした読みやすい文章でまとめたうえで「図鑑」と銘打ち、博報堂のアートディレクター・中山沙織さんが、ロールモデルを独特で親しみやすいタッチのイラストで表現しました。 


このストーリーでは、『未定年図鑑』の著者・三嶋さんが出版の経緯とエピソードを振り返ります。




博報堂シニアビジネスフォースのプロジェクトから生まれた、「未定年」という言葉に惚れ込んだ

先日、ありがたいことに大阪・ABCラジオのPodcastで『未定年図鑑』をお話しする機会をいただいた。メインパーソナリティーの小縣裕介アナウンサーからの質問は、「執筆しようとした理由はなんですか?」。改めて聞かれると、しかもラジオ向きに端的に分かりやすく伝えようとすると、なかなか難しい。まずは「未定年という言葉に惚れ込んだから」と答えた。


博報堂シニアビジネスフォースは、リタイア後も20~30年生きるのが当たり前の「100年生活者」を深く掘り下げ、シニア層をビジネスターゲットとして新しい価値やビジネスソリューションを提供している。そのプロジェクトの中から生まれた「未定年」という言葉と概念に、筆者は「惚れ込んだ」のだ。定年後の生活を意識し始めるものの、自由な生活への期待と見えにくい未来への不安に心揺れている世代。まさに未成年のように不安定な心情で未来を探る世代。それが「未定年」というネーミングの由来である。不安定でありながら、「未」という文字は、「未だ(まだ)」と読める。「未だやれる」そんなメッセージを送りたい、と思った。


 

しかし、その執筆理由は極めて概念的で個人的、リスナーに共感されにくい話だった、と、発言に悔いを残す。ラジオでリスナーを意識して話す、なかなか難しい。そこで、具体的で公共的な執筆理由を、この場を借りてお伝えしたい。


令和の現在は年金不安と共に、「働き続ける」ことを国から求められている。にも関わらず、日本は昭和の頃から長年「年金をもらいながら悠々自適が、定年後の標準モデル」だったため、今の40~50代には定年後のために動く・学ぶロールモデルが身近にいない。


定年後をどう生きるかを考えて40・50代を過ごし、「人生をクリエイティブしようよ!」という提案は、社会的に絶対的価値がある! という不退転の意志と社会的使命を抱き、執筆を進めていった。これが皆さんと共有したい執筆理由である。

執筆を後押ししたもうひとつの理由と、著者の「未定年アクション」とは

不退転の決意は良かったが、ロールモデルの取材はコツコツと地道な作業。何度もくじけそうになった。本名公開を許可してくださった「未定年」もおられたが、ほとんどが仮名の紹介となった。原稿完成後に、本名公開OK・年齢公開NGと言い出す人も現れ、掲載を見合わせたこともあった。


さらに「図鑑」と銘打っているのは、27名をイラストで表現したかったから。すでに市場にある定年対策本とは一線を画したい。新規性と読みやすさ。この2つをクリアせねば。だって広告クリエイターだから。イラスト表現のアイデアを練り、アートディレクターでイラストレーターの中山沙織と議論する。中山のイラストにも惚れ込んでいたから、その議論は楽しい時間だった。とは言え、本業のCM企画・制作の傍ら行うわけで、週末と長期休暇はこの作業に費やした。議論と執筆の日々こそが、後から思えば筆者の「未定年アクション」となった。書籍を起点に、Podcast出演や講演など、次のキャリアに繋がるかもしれない経験が出来ている。


この日々を支え、執筆の背中を押し続けたのは、父親の存在である。筆者と父は、子どもの頃から折り合いが悪かった。父に殴られたことも数えきれない。しかし、父が老後を迎え、癌を患い、認知症を発症すると、ささくれだった親子関係に変化が訪れた。癌と認知症により、父は暴力的ではない「別の人間」に生まれ変わったのだ。


執筆の合間を縫って、父と川沿いの遊歩道を散歩した。日光を浴び、脳に刺激を与えることで認知症の進行を遅くできればという狙いである。それは老いて弱った父と娘にとって、実に柔らかな時間だった。川面に浮かぶ鳥や、泳ぐ魚を指さし眺めるひととき。「あれはアオサギや」何度も出る同じ言葉を、初めて聞くように感心してみせる。筆者は「お父さん、私いま本を書いてるよ」と語りかける。もう何度も話しているのに、父はいつも初めて聞いたように「ほう、それはすごいな」と答えてくれる。


認知症ゆえの反応が、執筆で苦しむ最中、実にありがたかった。子どもの頃、褒めてもらった記憶は皆無だが、いま父は褒めてくれている。高らかな喜び。「楽しみはお前の本が出来上がることだけや」とも言ってくれた。この父に読ませたい。父が生きている間に、初めての単著を読んでもらいたい。その個人的な執念が執筆を後押しし、『未定年図鑑』を晴れて世に出すことが出来た。

著者のおすすめ習慣は、「人生の見落とし点検」と「ライフ・パトロール」

『未定年図鑑』の102ページに、「人生の見落とし点検」表がある。筆者が考案した「未定年」時代に行いたい行動の棚卸し、それが「人生の見落とし点検」だ。自分のことは自分が一番分からなかったり、忘れていることも多い。しかし過去から現在で「セカンドキャリア」の種になる貴重な何かを見落としている可能性もある。


そこで「人生の出来事を棚卸し」して、表に書き込んでいく。定年後も長く働きたい人のセカンドキャリアにつながる貴重な種を「後から思えば」ではなく、未定年期に拾い上げ、定年後に向けて育てるという「未定年アクション」を提案したページである。



「人生の見落とし点検」表は、縦軸は「仕事時代」と「子供・学生時代」、横軸は「①成果」「②失敗」「③出会い」「④気持ち」という4つのジャンルに分けた。この分類に沿って、良いことと悪いことを書いてみる。すると、意外にも失敗や嫌な出来事が、セカンドキャリアの種になりそうなことに気づく。そして、「自分はどう生きたいか」という願望やビジョンにうっすらであっても気づくと思う。 


139ページの「ライフ・パトロール」もお勧めしたい「未定年アクション」である。日々に忙殺されるだけではなく、自分の日常を点検・パトロールするもう一人の自分(人生ポリス)を、人生に並走させるのだ。チャンスの種はないか、何気ない出会いが、セカンドキャリアの種にならないかを意識する。それだけでも立派な「未定年アクション」になる。


リスキリングしなきゃ、ライフシフトしなきゃと焦って未定年を過ごすのは、精神衛生上よろしくない。それよりは、「人生の見落とし点検」と「ライフ・パトロール」で、気楽なに過ごして何かを掴んでほしい。 


未だ、やれる。それが定年を前にした「未定年」。先はまだまだ長いから。


ちなみに、筆者の父は『未定年図鑑』出版の3日前に亡くなった。しかし見本誌を亡くなる5日前に手渡すことは叶った。腕に『未定年図鑑』を抱えるだけで、もう読み込むことはできなかったけれど。いとおしく本を抱く、その姿は「未だ、生きる」に見えたけれど。


【書誌情報】

『博報堂シニアビジネスフォース流未定年図鑑

~定年までの生き方コレクション』

著者:三嶋(原)浩子

イラスト:中山沙織

仕様:単行本(ソフトカバー) 200 ページ

定価:1,980 円(本体 1,800 円+税)

発行:中央経済社

発売日:2023 年 5 月 27 日

Amazon リンク:https://www.amazon.co.jp/dp/4502464813/




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