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あなたの物語を教えてください

不動産企業がカフェをオープン!地域の「もったいない」を美味しく分け合い、フードロス問題に対して「頑張りすぎない」向き合い方。自分たちの事業が、多くの人に真似されることが1つのゴール

著者: 株式会社UNIQUE HOMES


地域の「もったいないモノ」を活用するコンセプトショップ「Mottene(モッテーネー)」が、2022年5月に逗子駅前にオープンしました。主に地域の規格外で廃棄されてしまう野菜・果物をジュースやスープ、お惣菜に加工して販売しています。


昨今関心度の高い「フードロス」「SDGs」に取り組む企業として取材に行くと、そこにはこれらの問題に、肩の力を抜いてに関わるオーナーさん達がいました。


今回は、オーナーの阿部さんやシェフの桑原さんから伺った、Motteneの事業内容や開始背景、今後の展望、さらには9月中旬発売の新メニューについてご紹介します。


湘南で始まったMottene事業とは?「生産時点でのフードロス」解決に向けて

――Motteneとはどんな事業なのでしょうか。


阿部:およそ3年前に始まった、Mottene事業は三浦半島、鎌倉・逗子・葉山など湘南エリアの「もったいない」野菜や果物を扱っています。この「もったいない」野菜や果物とは、味は美味しいのに形が悪い、サイズが小さい大きい、生産過剰などにより市場で扱ってもらえない、いわゆる”規格外”のこと。


これらは販売方法がないまま、農家さん自らの手で、そしてご自身の畑で、廃棄してしまうという「生産時点でのフードロス」が発生しています。


Motteneでは、そういった野菜・果物を生産者から直接買い付け、加工することで新しい付加価値を生み出しています。



Motteneのはじまりは、夏みかん。逗子・葉山エリアならではのフードロスがきっかけ。

――Mottene事業はどのように始まったのでしょうか。


阿部:逗子・葉山では1959(昭和34)年に天皇皇后両陛下のご成婚を記念し、住民に夏みかんの苗木を配布したことから、夏みかんは町の風物詩となっています。一方で住民の高齢化が進み、夏みかんを収穫できない家庭も多く、そのまま朽ちていく様子を見て「もったいないな…」と思っていました。


そこで「収穫作業を代行するかわりに、少しおすそ分けしてもらう」という活動を始めてみると、個人宅はもちろん、農家でも間引き作業による大量廃棄があることを知りました。


この捨てられてしまう夏みかんを「レスキュー」できないか?ということで、始まったのがMottene事業です。


そして商品開発第一弾として、「青みかんROCKビタースカッシュ」というジュースを作りました。無農薬の夏みかんを皮ごと絞り、濃厚で大人な味わい。ジンやウォッカなどお酒と合わせることもおすすめです。



阿部さんが不動産業からMotteneを始めた背景

――不動産業を営む阿部さんが、Mottene事業を始められた背景を教えてください。


阿部:2年前まではまさか自分がカフェを経営しているなんて夢にも思いませんでした。

もともとは、空き家を宿泊施設やコワーキングスペースに再活用する事業をしていましたが、コロナウイルスにより、観光客が激減し宿泊事業が大打撃。また、在宅ワークの推進によりコワーキングスペース事業も下火になってしまいました。


不動産業とこのMottene事業は、一見畑違いのように見えるかもしれませんが、私としては一貫した想いがあります。


例えば、空き家やスペースの再活用という点で、「もったいない」と思われてきたものに付加価値をつけることにより、物件のオーナーさんも、利用する人も、私たちも、そして街も豊かになる。


Motteneにおいても、「もったいない」ものに新しい価値を足し算する点や、関わる人々、街全体が豊かになるという点で通ずるものがあると考えています。


例えば、最近ではキャベツが大量に余ってしまっているということで、農家さんからそれらを仕入れ、キャベツとたまねぎだけの「無水カレー」や、日替わり弁当用のお惣菜にしたり、さらに下処理をした状態で急速冷凍したものも販売しています。


「もったいない」野菜や果物を、ひと手間を加えることで新しいものを生み出し、消費者に「美味しい」を届けることこそが、この事業のベースとなっています。



野菜ソムリエの資格を持ち、多くの商品開発を担うシェフ・桑原さん。Motteneに参画した背景、料理人として大切にしていること


――シェフ・桑原さんがMotteneに参画した背景や、料理人としてのこだわりを教えてください。


桑原:12年前に湘南エリアに引っ越してきてから、特に三浦野菜に感動したことが、そもそものルーツとしてあります。「この野菜の魅力を届けたい!」という想いの反面、野菜や果物が畑で放置されていたり、農家さん自身がトラクターで潰している現状を知り、胸を痛めていました。


そこで約5年前、農家さんと提携したレストランをオープン。農家さんから、規格外の野菜を仕入れ、それらを使った料理を提供していました。


毎回違う野菜が詰め合わされていて、開けてみるまで中身がわからないサプライズボックス。「この野菜たちを使ってどんな料理にしよう?」と考えることが楽しく、その経験はMotteneでも活きています。


野菜ソムリエとしての知識も活かしながら、その食材の魅力が引き立つ料理を作ることを大切にしています。


新商品は青りんごを使ったジャム。スパイスとのハーモニーを楽しんで

――新商品「もったいない林檎のカルテット(四重奏)」の、開発エピソードやこだわりを教えてください。


桑原:さっぱりした味わいの青りんごは、シャクシャクした食感も特徴。それを残すために、あまり火入れせずに果実感を残しました。一方、青りんごは酸化のしやすさもあり、すぐに茶色くなってしまう点がネック。そのリカバー策として、今回は「きび糖」を使用し、茶色さをあえて前面に押し出すような製品にしました。また、この「きび糖」が青りんごの旨味をさらに引き出し、優しい大人な甘さに仕上がっています。


そして味付けとして使ったのは、カルダモンとシナモンの2種類のスパイスのみ。カルダモンはショウガ科の多年草で、青りんごの清涼感や、ほんのりとした苦みで青りんごの甘味を引き立てています。さらにシナモンにより、「アップルパイ」のような味わいも感じられ、どこか懐かしい気持ちになるのも魅力に感じて頂けたら嬉しいです。

※本製品は短時間であるものの15分ほど火入れしている為、常温保存ができます。

※農家さんからの仕入れ状況により、販売期間が変動してしまうのでご了承ください。



Motteneとしての今後の展望。「私たちの事業がどんどん真似されて、特別でなくなることが目標」

――今後の展望を教えてください。


阿部:「もっと農家さんへ営業をかけて、仕入れ先を増やしたい」という思いは、正直ありません。


私たちのゴールは、この事業で売り上げを伸ばすことにないからです。

極論を言ってしまえば、大型スーパーで当たり前に規格外の野菜・果物が購入できる世の中になれば、私たちの事業はお役御免!それでいいんです。


今後私たちが行っていくことは、新しい商品を作り続けること。「規格外野菜であってもこんなに美味しい料理に生まれ変わるんだ」という成功事例をたくさん作ることで、他の飲食店さんが真似するようになってくれたら嬉しいです。


Motteneの事業内容も、レシピもどんどん真似して頂いて問題ありません!もったいない野菜・果物の流通経路が増えていけば、このフードロス問題の解決に繋がっていくと考えています。そういう意味で、この事業が特別でなくなることも目標と言えます。


Motteneにとって大切にしているのは、「頑張りすぎない」こと。環境問題に対して過敏になりすぎてはいけない。

――最後に、フードロス問題、SDGsに関心の高い人々へメッセージはありますか。


阿部:フードロス問題やSDGsに対して、頑張りすぎたり、ましてや周りに強要する必要はありません。「今自分ができるからやる」「できるだけ心掛ける」くらい肩の力を抜くことが、こうした活動を長く続ける上で大切だと感じています。


Motteneにおいても、「こんなに野菜が廃棄されてます!フードロス問題解決のためにみんな食べてください!買ってください!」という押しつけはしたくありません。


私たちを通じて少しでも「もったいないな」という気持ちを持って頂いたり、「あそこのカレーが美味しいから食べる」だけでも良い。結果的にフードロス問題に関わる…これくらいの心持ちでいいと思っています。


だからこそ、私たちは規格外野菜や果物を使って、「美味しい」商品を作ることを大前提としています。「美味しかったからまた食べたい」と思ってもらえたら、Motteneのお店に来て頂くも良し、ご自身で農家直売所で購入するのももちろん良し。


Motteneを通じて、農家で起きているフードロス問題に関心を持って頂けるような活動をこれからも続けていきます。




<お問い合わせ>

運営会社:株式会社UNIQUE HOMES (ユニーク ホームズ)

神奈川県逗子市逗子1-6-27–402

046-874-7009 (担当:阿部)

info@unique-homes.co.jp

ホームページ: https://www.unique-homes.co.jp/




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