花屋がてがける空間デザインブランド 「parkERs」 自然を感じさせる“with Nature”な拠点づくり
パリ・ロンドンを含め、国内外120店舗以上を展開する青山フラワーマーケット。一号店である南青山本店は、開業以来、表参道の交差点で営業してきましたが、再開発プロジェクトのため、2021年に28年の歴史に幕を閉じました。そして、半年後の2022年4月、あらたに青山・骨董通り付近に場所を移し、生まれ変わりました。
カフェ、フラワースクール、さらにはフラワーベースギャラリーを併設したこの旗艦店は、パーク・コーポレーションの全ブランドが一丸となって花や緑の魅力を最大限に伝える「世界一の花屋」を目指します。企画・デザイン、施工までを担ったparkERs(パーカーズ)に、空間づくりにかけた熱い想いを語ってもらいました。
デザインコンセプトは“with Nature”
新しい拠点は、中庭の大きなクスノキが爽やかな風と心地よい木陰を生み出す、都会の喧騒を忘れさせてくれる場所。クスノキの目の前にある店舗は“外”と“中”がつながっているかのようなエントランスで、境界線を感じさせず、森の中に花屋があるように誘うデザインになっています。
入り口の両隣には、杉(右)とケヤキ(左)の切り株をディスプレイ台として配置。ガラスを挟むように内側と外側にあることで、空間の仕切りを感じさせない空間に。中庭のクスノキも映し出されることでまるで森の入口のよう。
デザイン・施工したのは、植物を使って五感を刺激する、空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」
店舗デザインを手掛けたのは、青山フラワーマーケットの姉妹ブランド「parkERs」の空間デザイナー二反田 彩さん。これまでも青山フラワーマーケットの店舗や、日本の原風景を再現した壁面緑化が印象的な成田空港のロビーラウンジなどを担当。
二反田:コンセプトである“with Nature”の通り、店内は自然を感じさせる素材がふんだんに使われています。中でも存在感を放つのは、1階中央にある4mの大きな樺桜(カバザクラ)のディスプレイ台。富山県の製材所で、弊社の代表が自ら見つけた代物です。年月を感じさせる大きな丸太は、まるで森の中に横たわる倒木のよう。ゴツゴツした木肌をそのまま生かしました。その荒々しさが、季節を彩る可憐な花々を引き立たせます。
ほかにも店内にはケヤキ、スギ、オリーブ、クスノキなど、いくつもの木材を使っています。
季節の花を並べる、樺桜のディスプレイ台
二反田:土っぽい色味の床材を採用し、全体的にベージュの色合いが強いところも特徴です。グリーン、木、石、水といった、本物の自然の素材を用いて、大自然の中に花屋があるようなイメージを目指しました。
日本の花が世界的にみても品質が高く、魅力的であることを訴求するために新設した「The Flower」のコーナー。
国内外のコンテストで受賞歴のある花にフォーカスし、流れる水と玉砂利から生まれる水音で崇高な様を演出。
樹齢約500年のオリーブをリユースし、新たな価値をデザイン
2階は国内外からセレクトされた約1,000種の花瓶が並ぶ 「フラワーベースギャラリー」
二反田:一階はダイナミックな自然を感じられる一方、二階では人の手が加わった洗練された空間を体感いただけると思います。あくまでも主役はフラワーベースなので、空間の色味は抑えてシンプルに。
中央のディスプレイ台は、樹齢約500年のオリーブをリユース。建材としては実用性が低いオリーブの木の根っこの部分を輪切りにして少しずつずらして重ねることで、新たな価値をデザインしました。奥の棚に使っている木材は、日本家屋を解体するときに出てきた古材で、製材で余った木や使われなくなったものをふんだんに取り入れ、サスティナブルな店づくりを行いました。
代表の井上と現場確認。オリーブの根っこの写真を原寸大で印刷してイメージチェック
【青山フラワーマーケット 南青山本店紹介動画】
フラワースクールを併設したカフェのテーマは「花農家」
昨年9月より休業していた青山フラワーマーケット ティーハウス 南青山本店も同時にリニューアルオープンしました。
青山フラワーマーケット ティーハウスができたきっかけは、弊社代表の井上がイタリアのパンジー農家を訪問した時に遡ります。
イタリア貴族でもある農夫からおもてなしを受け、パンジーが咲き誇る温室の中で飲んだ紅茶に感動し、日本でも、お客様に花に囲まれて過ごす贅沢な時間と空間を味わって欲しい、という思いから2011年に開業しました。温室をイメージした店内には、畝に見立てたテーブルが並び、そこから自然と花が咲いているように旬の花が飾られています。
新しいティーハウスのデザインテーマは「花農家」。花農家の暮らしの中に垣間見られるシーンや風景を表現しています。
デザインを手掛けたのは、「parkERs」の空間デザイナー赤塚 好さん。青山フラワーマーケットの店舗デザインの他、五感を刺激する仕掛けをデザインすることで人の心に作用する空間を提案するデザイナーです。
赤塚:新しいティーハウスは、店内奥にフラワースクール ハナキチを併設しています。2ブランドが融合する空間を花農家に見立て、キッチン=母屋、飲食スペース=グリーンハウス、ハナキチのレッスンスペース=花小屋、バックヤード=納屋に見立てて演出しています。
赤塚:花農家の主人が摘み取ったばかりの花をバケツにラフに生けたようなエントランスの什器や、奥さんが使い終わったジャムの瓶を再利用したようなペンダントライトなど、どこか花農家の暮らしのワンシーンを想像させる演出が施されています。
旧ティーハウスで使われていた入り口の引き戸やレンガ、ビニールハウスの弓形のパーツもできるだけリユースし、昔の思い出も一緒にお引越し。ハナキチの方にも、以前使われていた棚やロングテーブルを持ってきました。新店だけどどこか懐かしい、素朴な素材感にも注目です。
雪の中から見つけた端材たちを乾燥させてクリーニングし、水什器の一部に採用
心地よい風を感じながら過ごせるテラス席にも花の演出が。
ふと目に留まる場所に花があり、穏やかなひと時に気持ちが癒やされます。
カフェ奥に併設されているフラワースクール。花小屋のような空間
日本の花文化を発信するフラワーマーケットとして、青山から「体感」できる花の拠点づくり
実は世界第三位の取引量を誇る花市場がある、世界屈指の花大国である日本。残念ながら、そのことはあまり多くの人に知られていません。
また、青山フラワーマーケットがパリ・ロンドンに出店して気づいたことは、日本の花のクオリティーの高さ、そして素晴らしい花文化が存在することでした。
そこで、3ブランドが併設し新たな拠点となった南青山本店では、旬を迎える一つの花にフォーカスし、花が店内に溢れる様子をお客様に感じていただきながら、花の魅力を楽しめるイベントを季節毎に開催することにいたしました。
「見て」「食べて」「触って」花を楽しむ!が叶う場所、南青山本店。春のバラ、夏のヒマワリに続く第三弾である秋は、年々人気が高まっている花、ダリアにフィーチャー。
大きな花も多く、艶やかな色をまとうダリアは花の中でも主役級の存在感を放ちます。
ダリアの名産地である秋田県を中心に、山形県、福島県などから100種揃え、店内いっぱいに彩られた様子は圧巻です。
日本が誇る四季折々の旬の花、そして、花や植物に関する日本の花文化を、これからも南青山の本店を通じて発信していきます。
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