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ファッションを楽しみながら、サステナブル。一過性のブームで終わらせないための取り組みとは

著者: 株式会社コメ兵ホールディングス


フェアトレード専門ブランドのピープルツリーとブランドリユースのコメ兵。両社は方法こそ違えど、サステナブルを大切に想う企業です。このストーリーでは、両社の「エシカル」「サステナブル」への想いと取り組みの内容を中心にお届けします。登場人物は、コメ兵のオウンドメディア・KÓMERU編集長 坊所と、ピープルツリー広報啓発担当の鈴木さん。インタビューは、エシカルコーディネーターのエバンズ亜莉沙が担当します。

両社が取り組むサステナブルとは

「リレーユース」で、価値あるものを伝承していくコメ兵


エバンズ亜莉沙:コメ兵さんがどのようなアプローチでサステナブルに取り組んでいるか、教えてください。




KÓMERU編集長 坊所(以下、坊所):弊社は、お客様から不要なアイテムを買い取り、それを必要とするお客様に販売しています。弊社ではこの事業モデルを「価値あるものを次の人に伝承していく」という意味を込めて、「リレーユース」と呼んでいます。

新しいものをどんどん買い続けることは環境への負担になる可能性もありますから、既に存在する良質なアイテムを流通させることが、結果としてはサステナブルなアクションにつながっていると感じています。


フェアトレードに取り組むピープルツリー



エバンズ亜莉沙:フェアトレードファッションのパイオニアとして有名なピープルツリー。読者の中にはご存じの方も多いかもしれませんが、改めてどのようなブランドか教えてください。


ピープルツリー広報啓発担当鈴木(以下、鈴木):ピープルツリーは今年30周年を迎える、フェアトレード専門ブランドです。フェアトレードを簡単に説明すると、貧困と環境問題をビジネスの仕組みで解決しようとする活動のこと。ビジネスの際に利益だけを追求するのではなく、生産者は対等な立場のビジネスパートナーで、だからこそ公正な対価を支払う、安全な環境で働けるようにするなどの配慮をするのがフェアトレードです。

貧困や環境問題は根深いものですから、さまざまな解決方法があって良いと思うんですよね。ボランティアや寄付、国際機関の働きかけなど多様な選択肢がある中で、私達は経済の仕組みの中で、仕事を通じて貧困や環境問題を解決できたらと思いフェアトレードに取り組んでいます。


サステナブルにファッションを楽しむ方法


エバンズ亜莉沙:生産者が受け取る賃金や、労働環境に配慮しながらもの作りをするピープルツリーさん。そして不要になったものを買い取り、次の人へ渡していくコメ兵さん。両社はビジネスモデルこそ違いますが、人や環境に優しいサステナブルな企業であることは共通ですね。

最近ではファッションを楽しむ際に、洋服が環境に与える影響を気にする人が増えています。環境に配慮して、サステナブルにファッションを楽しむにはどうしたら良いのでしょうか。


人にも環境にも配慮したフェアトレードを利用する



鈴木:少し前の事例ですが、ハッシュタグの「#boycottfashion(ボイコットファッション)」というのがあります。新しい服を1年買わずにファッションを楽しもう、というロンドンの学生発の活動です。洋服を1枚作るためには大量のエネルギーが必要なので、地球上にすでにあるものを活用しようという発想で、それはとても大事なこと。

一方で、もの作りで収入を得ている人達もいるので、その人達の生活が成り立つようにするのも必要ですよね。


フェアトレードは生産者の労働条件だけでなく、地球環境にも配慮しながら持続可能なものづくりをしています。例えばピープルツリーでは、コットン製品のうち8割以上のアイテムがオーガニックコットン製だったり、ほかにも現地で入手しやすい天然素材を使って生産しています。


既に持っているアイテムは大切に使いつつ、新しいアイテムを買う際はフェアトレードで作られたものを選ぶ。すると地球環境と生産者の生活、どちらにも優しい選択になると思います。


リユースアイテムを売り買いする



坊所:いつも弊社をご利用いただいているお客様の中には、リユースアイテムを買って着なくなったらまた店舗で売る、という流れをルーティンにしていらっしゃる方もいます。そのサイクルって本当に無駄なく買い物ができて、捨てるものもないから環境に優しいですよね。


特に、ブランドアイテムは、30代の頃には似合っていた物や欲しいと思っていたものが、40代になったら別のブランドが似合うようになったり、憧れるブランドが変わったりします。そのような時に、弊社で似合わなくなったアイテムを売り、その資金を元に、今の自分に似合うアイテムにアップデートして楽しむことは、まさにサステナブルな行動だなぁと思います。

鈴木:そのサイクルは面白いですね。坊所さんが仰ったリレーユースの「リレー」の言葉通り、自分には不要になったけれど、まだ価値があるものを誰かが使ってくれる。リユースショップを通して、自分も嬉しい、買ってくれた人も嬉しい、そしてものが大事に受け継がれていくのは、とても良い循環だと思います。


サステナブルを身近に感じてもらうために


エバンズ亜莉沙:ファッションを楽しむ人達の間でサステナブルな意識が高まる一方で、そういった言葉が自分と関係のないものだ、と感じてしまう人もいるかもしれません。サステナブルを身近に感じてもらうために、両社が行っていることや気を付けていることはありますか。

積極的に生産者のストーリーを発信する

鈴木:フェアトレードは「生産者の顔が見えるもの作り」でもあります。ピープルツリーでは、このアイテムをどこの国でどんな活動をしているグループがどんなふうに作ったよ、という情報がお客様に伝わるようにしています。大量生産だと国をまたいでの調達・製造の過程が分業制のため複雑で、誰がどう作ったのか把握しきれないことも多いようです。


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ものって当たり前なんですけど、誰かが作ってくれたから存在している。買う側が偉いとかではなく、「誰かが作ってくれたから私も買えるんだ」という対等な関係性。フェアトレードは価格だけでなく気持ちの面でも、買う側と生産者が対等であって欲しいと願い、積極的に生産者のストーリーをお客様へ発信しています。

今っぽいデザインを意識してリメイクする

坊所:コメ兵では現状、「うちはサステナブルな企業です」と前面に出してはいません。ですが、商品の売り方において、自然とサステナブルなアイテムを手に取ってもらえるように意識していることがあります。

コメ兵で取り扱うアイテムのうち、ジュエリーはデザインが古いと売れなくなってしまう。そこで最近は、「ReKKA(リッカ)」と「mi luna(ミ ルーナ)」というブランドを立ち上げ、天然のダイヤやカラーストーンの商品から石だけを取り出し、今風のデザインにリメイクして販売する取り組みを行っています。


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私達にとって商品作りで一番重要なのは、お客様がパッと見て「いいな」と感じてもらうこと。なので今の時代に合うようにリメイクして、サステナブル自体に興味がなくてもデザインで購入してもらえるよう努力しています。


後々、そのアイテムを買ったお客様が「私が気に入って買ったアイテムだったけど、実はサステナブルな行動にも繋がっていたんだな、欲しいモノを買っただけでも、サステナブルな取り組みに貢献できていたんだな」と、ふとした時に思ってもらえればと。



鈴木:その感覚と順番って凄く大事ですよね。例えばピープルツリーのチョコレートでも、パッケージが可愛いから買う。それで食べたら美味しくて、包み紙を見たら「あ、これフェアトレードのチョコレートなんだ」って感覚。


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サステナブルは「このままじゃ地球がマズイ」という危機感だけでやると我慢になってしまって疲れてしまう。危機感はもちろん大事だけれど、それにプラス自分の日常生活がちょっと楽しくなるとか、素敵な洋服が着られて幸せとか、「自分の喜びと一緒に良いことができる」のが大切だと思います。

エバンズ亜莉沙:サステナブルな行動を、無理にしても続かないですよね。自分が本当に好きなものは何か、見つめ直してから行動するのが、楽しくサステナブルを続けるヒントかもしれません。


サステナブルの未来


エバンズ亜莉沙:ピープルツリーさんは今年で30周年、コメ兵さんに至っては創業から74年目を迎えると聞いています。ここ1~2年で、今まで何十年もやってきたことが世の中のトレンドとして急浮上していると思うのですが、サステナブルをトレンドで終わらせてはいけないと両企業なら思っているはず。これからもサステナブルへ関心が続くように、注力していきたいことはありますか。

トレンドで終わらせないために


鈴木:今急速に、フェアトレードの意味を知っている人が増えつつあると思います。その理由の1つが、教科書に取り上げられたので若い世代の認知度が高いこと。さらに教科書で学んだ子どもを通じて親の世代が知ったり、SDGsのための具体的なアクションとしてフェアトレードがあると知ったりする感じですね。

ただ一方で、教科書に載ると「何か堅苦しいもの」というイメージになってしまう。でもフェアトレードのお買い物はそんなに気張らなくてもできることなので、難しく考えすぎずに取り組んでもらえるように、InstagramのようなSNSなども有効活用しながら、サステナブルに楽しく向き合ってもらえるような情報発信に注力していきたいですね。



坊所:今後は、リユースアイテムならではの魅力を伝える期間限定ストアにも力を入れていきたいと思っています。


例えば、最近、「メゾン マルジェラ」の創設者であるマルタン・マルジェラ氏がエルメスでデザイナーをしていた時代のリユースアイテムを弊社の期間限定ストアで販売する取り組みを行いました。かなり前のお洋服なのですが、素敵なお洋服に心惹かれ、リユースアイテムでも積極的に手に取るお客様がたくさんいらっしゃいました。これからは、リユースアイテムと触れ合う機会を増やしていくようなことにチャレンジしていきたいですね。


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読者へのメッセージ

エバンズ亜莉沙:最後に、読者の方へ向けてメッセージをお願いします。



鈴木:社会的課題を前にすると、私1人に何ができるんだろうとか、難しいことを考えがちなんですけれど、まずは楽しんで欲しいなと。サステナブルな活動を続けるには、自分がその活動自体を楽しむのが大事です。

例えば環境のために、マイボトルを持とうと決めた時に「ペットボトルは絶対に買っちゃいけない」と考えると苦しい。でも、「マイボトルに美味しいお茶を淹れて1日を楽しもう!今日は何にしようかな~」と考えれば楽しめる。柔軟に、リラックスしてサステナブルな活動を楽しむ工夫が大事かなと思います。



坊所:私もあまりサステナブル自体を難しく考えないで、楽しんでやることが大切だと思います。例えばデザイナーズブランドの服って、普段手が届かない価格のものもありますよね。でもユーズドで買うとかなりお得で、お財布に優しくてハッピーで、それが結果としてサステナブルにファッションを楽しんでいることにも繋がる。

今後もKÓMERUではサステナブルな企業と対談をしていく予定なので、それを通して楽しみながらサステナブルな取り組みを続ける方法を伝えていければと思います。



エバンズ亜莉沙:お2人の話を聞いて、ピープルツリーさんの商品作りや、コメ兵さんのような販売の仕組みが当たり前の世の中になっていったら良いなと心から思いました。本日はありがとうございました!



この記事のライター:エバンズ亜莉沙(えばんず・ありさ)

学生時代 米国オレゴン州で環境科学の授業に出会ったことをきっかけに、自分と世界の繋がりに気づく。2015年日本に帰国後、国際NGOでインターンをしながら、エシカル協会主催 フェアトレードコンシェルジュ認証 21歳で取得。同年世界一周を経験し、様々な人や文化に触れたことでさらに世界の抱える問題や解決策に興味関心を抱く。現在はフリーランスで『サステナブル』や『世界に自分に優しいライフスタイル』をキーワードに、SNSを中心とした発信、イベントへの登壇や、様々なプロジェクトのディレクター / コーディネーターを務める。







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