「世界を変えるチームでありたい」。”リブ・コンサルティングのCHRO”に総合商社、外資戦略コンサル、ファーストリテイリング最年少人事部長経験者が就任
2022年11月に、株式会社リブ・コンサルティングのCHROに武山 慎吾が就任しました。三菱商事社、ボストンコンサルティンググループ社(以下BCG)、ファーストリテイリング社など多数の企業を渡り歩いてきた武山。ファーストリテイリング時代には、最年少人事部長という立場で、グローバル企業の人事を支えました。
戦略系コンサルティングファーム最大手の一社であるBCGを経験した武山は、リブ・コンサルティングで何をしようと考えているのか。現在に至るまでのキャリアと、今後の展望を聞きました。
一大決心の転職で得た新たな働き方
――武山さんの、これまでのキャリアについて教えてください。
武山:
私は2008年に、新卒で三菱商事に入社しました。私は5歳までアメリカ在住で、「グローバル」というのが大きなキーワードでした。世界をまたにかける営業マンになれたらかっこいいなと、当時はそんな軽い気持ちでこの会社に飛び込みました。
入社後は国内取引先の与信管理を行う、リスクマネジメント部に配属されました。思っていた道とは違いましたが、それはそれで楽しく働けていましたね。
そんな中、私はとある個人的な事情で精神的に大きなダメージを負ってしまったのですが、しばらく時間が経っても気持ちを切り替えられずにいました。このままではまずい。そう思った私は、環境をガラリと変えて何かに没頭しようと考え、転職を決めました。
グローバルな環境を舞台に働きたいという想いは依然として持っていたので、グローバルな環境で寝食を忘れて仕事に没頭できる場所はないか。そこで思い至ったのが、外資系のコンサルティングファームのBCGでした。
――かなり思い切った決断をしたのですね。
武山:
この転職は、私の人生で3本の指に入るくらい、いい意思決定だったと思います。なぜなら、私はBCGで働き方への考え方を、大きく転換できたからです。
三菱商事が素晴らしい会社というのは衆目が一致するところだと思いますが、やはり日本の伝統的な大企業ですので、まずは先輩や上司の指示を正確にこなすことが何よりも求められました。トラブル発生時は過去の資料を漁ったり、先輩社員に意見を聞いたりしながら、解決策を模索します。答えがどこかに必ずあり、それをいち早く発見して着実に遂行するという働き方が若手にとっては一般的でした。
BCG社の仕事は、その真逆でした。明白な答えがない世界で、自分で考え答えを創り出さなくてはいけません。入社してしばらくは、何をすればいいか分からず全く歯が立ちませんでした。
今でも忘れられない出来事があります。私が入社間もない頃にジョインしたプロジェクトで、新卒2年目のコンサルタントと一緒に仕事をする機会がありました。
社会人歴は私の方が長いものの、コンサルタント歴は彼の方が上です。私はその時、上司から与えられたお題に四苦八苦しており、軽い気持ちで彼に「どうすればいいかちょっと相談させて頂けますか?」と質問したのです。すると、「武山さん、それくらい自分で考えてくださいよ」と冷たく返されてしまいました。
正直、今でも「あの言い方はないだろう」と思います(笑)。それでも、彼の一言で私はハッとしました。それ以来、悪戦苦闘しつつも大企業でしみついた働き方から脱却しようと頑張りました。この時の経験が、その後のキャリアのベースになっていると思います。
ファーストリテイリング「最年少人事部長」の誕生
――その後、BCG社からファーストリテイリング社へと転職するわけですね。
武山:
プライベートの話になりますが、私はBCG時代に結婚して、在籍中に妻が妊娠しました。私は5歳で父親を亡くしているのですが、仕事が忙しくあまり家にいなかった父のことを、私はほとんど覚えていません。
もし私が早逝して、子どもが父親としての自分との記憶がなかったら…。そう考えてゾッとしました。BCGでの仕事は大変面白くやりがいもありましたが、非常に多忙で育児との両立は難しい。そう考えて、2度目の転職をしようと決めました。
私はこの時、わがままな転職希望先をエージェントに伝えました。報酬水準を極力維持できること、ワークライフバランスを改善できること、かつ魅力的な経営者のそばで仕事ができることです。曲がりなりにもコンサルタントをしていた私は、所属する会社に大きなインパクトを与えられる仕事をしたいと思っていました。
エージェントからの答えは「それを叶えてくれるのは、ファーストリテイリングしかないですね」というものでした。小売やアパレルは未経験の領域ですが、ユニクロはもちろん知っていましたし、柳井 正社長と働くことにも興味がわいた私は、すぐに話を進めてもらうようお願いしました。
一次選考は、人事役員との面接でしたが、そこで「人事をやってみないか」と声をかけられました。
人事は全くの未経験であった私は正直戸惑いましたが、ファーストリテイリングが組織も事業も常に進化させ続けている中で、既存の発想を持つ人事の専門家ではなく、経営的な発想ができる人材に人事を経験してもらい、人事改革を進めてほしいという考えを聞いて興味を持ちました。
私は、コンサルティングワークでのチームビルディングにおいて、限られた期間でいかにコンサルタントに成長してもらうか、誰にどんな仕事をしてもらうことでクライアントへの成果を最大化できるかを常に考えていました。人事は未知の領域だと思っていましたが、その選考後、人事について自分なりに勉強を進める中で、それが「人事」という存在と結びついていなかっただけで、本質は一緒だと気づいたのです。そんな人事を、グローバル企業の規模のなかで取り組めるということで、ますます私は面白いと感じるようになりました。
無事に選考が進み、最終面接で柳井社長と話す際、恥ずかしながら私は付け焼き刃の人事の知識を披露しました。「経営にとって、人事はとても大事だと思います」と話す私に、彼は激昂したのです。
「君ね。経営にとって人事が大事とか、そういう問題じゃないんですよ! 経営の半分以上は人事ですから! 僕はね、自分の人生の半分以上を人のことを考えてやってきましたよ」
面食らったというのが正直なところですが、一方で初対面の30そこそこの若造に、こうやって怒れるほど、この人は一瞬一瞬を本気で生きてるのだなということが、ハッキリと伝わってきました。そんな人が、人生の半分を捧げて取り組んでいる人事という仕事は面白いに違いないと、期待感が大いに膨らみました。
その後、さまざまな経験を重ねながら、ファーストリテイリングで5年間働きました。
「まさに私のためのポジションだと思いました」
――そこから、IT系ベンチャー企業へ転職したいきさつを教えてください。
武山:
柳井社長は類まれなるリーダーシップの持ち主で、彼の求めるものを実現するために、多くの苦労を重ねました。そのおかげで、「経営マインドを持つ人事プロフェッショナル」という存在に、大きく近づけたと思います。
だからこそ、そこで磨いた技や自分の力を、ファーストリテイリングという枠の外で試したいと思ったのです。そう思っていたタイミングで、急成長中の「IT系」ベンチャー企業から声がかかりました。
同社の経営陣や人事担当者の方々とお話をする過程で、うちに来ないかと誘われました。勢いのある会社で、信頼できる方々が沢山いるこの環境は、自分を試すのにぴったりではないかと思いました。
ただ、時を同じくして、リブ・コンサルティングからCHROのオファーが来ました。
コンサルティングファームのCHROというポジションは、まさに私の為にあるポジションではないかと思ったのです。コンサルティング業界を経て、事業会社に行く方はたくさんいらっしゃいます。しかし、人事をフィールドに選ぶ人は、意外に少ないのです。
コンサルティングファームのCHROは、当然人事の専門家である必要があります。それと同時に、コンサルティングファームのビジネスモデル、コンサルタントの働き方や求められる資質といったものを熟知していなければなりません。
――聞けば聞くほど、武山さんのための役職だと感じます。そのなかで、なぜ武山さんはIT系ベンチャー企業への参入を選んだのでしょうか?
武山:
一言で表現するなら、覚悟が決まりませんでした。。
リブ・コンサルティングからのオファーは非常に魅力的でした。しかし、コンサルティングファームにおいて、ベースにあるのは「成長は自己責任」、「Up or Out」という考えです。ビジネスパーソンとして高い成果を上げてきたコンサルタント一人一人がプロフェッショナルとして更に自己研鑽に努めている中で、CHROとしてバリューを発揮できるだろうか?と思ってしまいました。
しかし、IT系ベンチャー企業に移った後も、本当にこの選択で正しかったのかと悩みました。
「ファーストリテイリング時代に経験した、厳しい要求水準に応えることこそ、自分がやろうとしたかったことじゃないのか」
そう思い至った私は、代表の関に相談し、2022年11月リブ・コンサルティングのCHROとして参画することになりました。
成果にこだわる姿勢、自然淘汰をよしとしない環境
――リブ・コンサルティングは、武山さんが経験した戦略ファームとどのような違いがありますか?
武山:
仕事の観点と人事の観点で、大きな違いがあります。
仕事の観点でいうと、リブ・コンサルティングは目に見える具体的な成果を実現することに、徹底的にこだわっています。いわゆる「絵を描いて終わり」ではなく、実行そして成果を出しきるところまでコミットしているなと。
最近は「実行支援型のプロジェクト」という言葉を目にする機会が増えましたが、リブ・コンサルティングの場合、もはや実行“代行”の領域にまで踏み込んでいます。自らクライアントの看板を背負って営業・採用活動まで行うことがあるくらいです。リブ・コンサルティングは、マネジメントからエグゼキューションまで、一気通貫でやっているというのが私の印象です。
また、リブ・コンサルティングはクライアントに中堅企業やスタートアップベンチャーが多いこともあり、必然的に創業経営者や経営トップと仕事をする機会が多いです。
カウンターパートの多くが経営者なので、コンサルティングの内容も、特定の事業や機能といった課題に留まりません。会社全体を見渡した判断や実行に、若手でも関わるチャンスがあるという点で、とても特殊な環境だなと感じます。
また、多くのコンサルティングファームでは、コンサルタントやPLクラスであれば、パートナーが獲得したプロジェクトにアサインされて、そのプロジェクトに取り組むというのが一般的です。
しかしリブ・コンサルティングの場合、若手であってもプロジェクト獲得のための営業活動や、営業活動を効果的に進めるための商品開発やマーケティングに取り組むことも求められます。あるいは、コンサルティングに関わるあらゆる活動に従事する裁量が与えられているとも言えるかもしれません。
プロジェクトワークに取り組むというよりも、会社や自分という商品を使った“コンサルティング事業”を運営しているという感覚が近いかもしれません。
――人事的な観点ではいかがでしょうか?
我々はプロフェッショナルファームなので、「成長やキャリア形成は自己責任」という考えが根底にあると思います。しかし、外資系企業のような「Up or Out」といった自然淘汰の仕組みは、リブ・コンサルティングにはありません。
採用面接を経て仲間になった以上、全員がコンサルタントとして一人前になり、成功するためのサポートは惜しまないというスタンスを、とても大切にしています。
- 実際のプロジェクトからの学びを共有したり、ビジネス・マネジメント関連スキルを学んだりする機会の他、充実したeラーニングの学習コンテンツを用意し、「このタイミングではこれを学ぼう」というガイドラインも提示する。
- 新卒・中途問わず、入社後3年間は担当トレーナーがついて、一人一人の人生のゴール、キャリアアスピレーション、職業人としての強み・弱みを踏まえて、次のアクションを提案する。
このように、今でいうタレントマネジメント的な発想で、人材育成やプロジェクトアサインに丁寧に取り組んでいます。他のコンサルティングファームでも同様の仕組みは持っていると思いますが、そこにかける労力と熱量は群を抜いていると感じています。
ーーーこのような違いが生まれる理由は何でしょうか?
武山:
我々は「”100年後の世界を良くする会社”を増やす」というミッションを掲げていますが、まさに世界を良くしたい、世界を変えたいという想いでメンバー一人一人が仕事にコミットしているからだと思います。
実際に目に見える成果、現場での変化を起こさなければ世界は変わっていきませんし、世界を変えるためには一朝一夕ではいきません。現場で成果にこだわる活動を、地道に継続して実行していく。そこには多くの苦労と時間が必要となりますが、そのためには一人一人が夢を持ち成長し続けること、チームとして支え合うことが不可欠です。
我々が大事にしている考え方に「集合天才」というものがありますが、クライアントや社会に大きなインパクトを起こすためには一人でできることは限られています。一人一人が自律したプロフェッショナルであると同時に、会社として世界を変えるチームでありたいと思っています。
事業家集団の可能性をさらに広げる
――リブ・コンサルティングは、どのような人材にフィットすると思いますか?
武山:
自分に自信があり、やるからには世界のトップ企業で働いてみたい。そう思う方は、BCGなど戦略ファームに挑戦してみるのもいいでしょう。私も、そうして挑戦した一人です。
しかし、コンサルタントになりたいけれど、そこまで自信があるわけではない方もいると思います。一度、自分のコンサルタントとしての実力を試してみたいという方に対して、リブ・コンサルティングはその挑戦を受け入れる懐の広さがあります。
また、他のコンサルティングファームで思うような成果を残せなかった方や考え方や働き方が合わなかった方も、リブ・コンサルティングであればコンサルタントとしての違う道が見つかるかもしれません。
――コンサルタント経験者も未経験者も、チャレンジし成長する体制が整っていると。武山さんは、そんなリブ・コンサルティングの体制にどう貢献していきたいと考えていますか?
武山:
当社の魅力である「一人一人が裁量を持って活動できる自由度」は、裏を返すと「個人や小さなチームで完結してしまいがち」という弱点につながると考えています。もちろん、社内で活発にナレッジのシェアは行われていますし、ミッションを通じた組織の一体感は強いです。しかし一歩引いて見てみると、まだまだ「小さなコンサルティングチームの集まり」という印象をぬぐえません。
HRとしては、本人やトレーナーも気づいていない本人の可能性や適性を見出すことで、チームや事業部をまたいだ人事異動・人材交流を活発化させ、これまではなかったような組み合わせでの相互学習や知識創造のチャンスを増やしていきたいです。そういう刺激を与えれば、我々の持つ可能性をもっと広げられると信じています。
実際にこうしたことに取り組むのなら、評価制度や業績管理のあり方を考え直していくなど、やるべきことは多いです。今後は、そうした仕組み作りに取り組んでいきたいですね。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ