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プロデューサーとUXデザイナーを両立している今だからこそ、提供できる価値がある

著者: ネットイヤーグループ株式会社


今よりもっと豊かで暮らしやすい社会づくりを目指しているネットイヤーグループは、あらゆる職種の社員がユーザー視点をもち、価値あるモノ・コトづくりに必要不可欠なUXデザインスキルが習得できる取り組みを進めています。そのひとつが、UXデザイナー以外の職種を対象に、一定のUXスキルを持つ社員を認定する「UXデザインスキル認定制度(※)」です。

第1号認定者はプロデューサーの山本貴子です。彼女は、なぜUXスキルを習得しようと思ったのか。実践から見えてきたものとは?学びのきっかけから現在の仕事まで、プロデューサーが「UXデザインを学ぶ意義」を語ります。

より自信をもって、UXデザインを提案するために

Web制作会社のディレクターでキャリアをスタートし、プロジェクトマネージャーを経て、2015年にプロデューサーとしてネットイヤーグループに入社しました。当時からUXデザインの草分けとして広く知られた会社だったので、「ここに入社したからにはUXデザインを学ばなければ意味がない」と考え、入社当初から積極的に勉強会やセミナーなどの社内研修に参加するよう意識しました。


社内には、経験豊富なベテランのUXデザイナーが何人もいます。プロデューサーとして、彼らと一緒に進めていくプロジェクトのひとつひとつが貴重な学びとなりました。彼らがどのような考え方をして、どのような説明をするのか、一連の流れを間近で見ながら、座学だけでは得られないUXデザインを、実践を通じて知ることができたのです。


それでも日頃のもどかしさは拭えませんでした。プロデューサーとしてお客さまにUXデザインの説明や提案をしながら「自分の理解や考え方に不足はないだろうか」との思いが常に頭にあったからです。UXデザインの知識やスキルを客観的に評価してもらい、“太鼓判“を押してもらえたら、きっとこのもどかしさは解消できる。自信をつける絶好の機会だと捉え、認定制度の創設と同時に即応募を決めたのです。


自ら実践して再認識した、UXデザインの奥深さ

認定までの主な流れは、まず認定候補メンバーとなります。面談やセグメンテーション、ユーザー定義、UX要求など個別テーマの演習を重ね、条件を満たした時点で認定判断を受けます。私の場合、これまでの実務経験の中でやってきたことを、より専門的に深めていけたのが大変勉強になりました。


演習では、経験豊富な大先輩に「こう考えると話が広がるよね」「これはゴールに向かっていないから行き詰まっちゃうね」などアドバイスを受けました。それにより、「ここまで配慮しなければいけないんだ」と考える範囲や深さをつかむことができ、 UXデザインの考え方やプロセスについても、「これで大丈夫なんだ、ここを勉強すればいいんだ」ということが明確になりました。

UXデザインに正解はなく、奥深いものです。スキルを認定されたからといって完璧になるわけではないし、短期間集中で習得するものでも、経験だけ積めばよいというものでもありません。演習で痛感したのは「先入観なく、いろいろな角度から人を見ること」の大切さです。


例えば、何度実践しても難しいと感じるのがユーザー定義です。本来、UXの対象はすべての人ですが、プロジェクトにはビジネスゴールがあり、ターゲットとなるユーザーがいます。そのペルソナ(具体的な人物像)を設定するには、どの要素を深掘りするかを的確に見極めなければなりません。ユーザーの設定が甘かったり、間違えたりすると、導き出す体験も変わってくる。UXデザインにはセンスも必要だと感じています。


UXスキルを備えたプロデューサーの強み

現在は、プロデューサーとUXデザイナーの仕事を両立しています。認定を受けたことで、胸を張って「UXデザイナー」だと名乗れるようになりました。スタートラインに立たせてもらったからには、より一層、スキルを磨きたい。今後も、認定ワークショップデザイナーなど、UXデザインに役立つ資格を取得するつもりです。


一方で、プロデューサーとしてもUXスキルが非常に役立っています。「ユーザー視点で考える」ことは、いまや誰にとっても当たり前のことであり、否定する人はいないでしょう。しかし、実際のプロジェクトでは、予算やスケジュールなど、お客さまの状況に左右され、UXデザインの優先順位が低くなるケースがしばしばあるのです。そして、対象外としたタスクの中で「あの時、目先の事情を優先しなければよかった」と後悔することが多いのもUXデザインです。


そう後悔しないよう、お客さまに対してUXデザインを正しく説明し、良い体験や素敵なことをエンドユーザーに届けるという究極の目的に向かって提案・調整するのがプロデューサーの役割です。いまの私は、自分でUXをデザインし、奥深さや価値を実感したからこそ、これまで以上に説得力をもってUXデザインの重要性を伝えることができます。それこそがプロデューサーであり、UXデザイナーでもある一番の強みだと感じます。

UXを的確にデザインできれば、多くの人を幸せにできる

最終的には、世の中に存在するあらゆるサービスやソリューションが「UX=良いユーザー体験」を提供するものであってほしいと思います。ただし、UXの提供はビジネスゴールそのものではなく、ゴールを達成するために欠かせない通過点です。

この通過点は、絶対に外してはならないものであると同時に、ゴールに向かう道筋がなければ意味が失われるものでもあります。そのバランスと道筋を意識しながらUXデザインを考えるのがプロデューサー兼UXデザイナーの役割であり、使命ではないかと強く感じます。

UXは、古くて新しい考え方です。つい見落とされがちですが、大事にしなければいけないこと。誰にとっても「当たり前」の、モラルや倫理に近いものだと私は考えています。時代や状況によって変化し、理想論的かもしれないけれど、きちんと考え、きちんと実行できたら、多くの人を幸せにできるものだと信じて成長していきます。




※「UXデザインスキル認定制度」については、ネットイヤーグループの

UXデザイナー育成の取り組み

~社会を変えるアイデアを生み出す「デザイン思考」の人材育成~

をご覧ください。




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