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子育て中に見つけた「自分のワークライフバランス」を実現するキャリアの作り方- 心、おどる、この人に会いたい!(4)

著者: アドビ株式会社


仕事やプライベートに対する向き合い方は十人十色。そんな自分の価値観を大切にしながら才能を発揮しているアドビ社員を迎えてキャリアの話を聞く「Adobe Japan Talent Discovery Talk Show 心、おどる、この人に会いたい!」。今回のゲストは2人のお子さんを持つ母親で、デジタルメディア事業統括本部(DMe)のカスタマーサービス&サポートのマネージャーを務める奥山 亜紗佳さんです。ご自身の軸を持ち、自分にできることを広げていくためにさまざまな職場を経験し、アドビは7社目とのこと。そんなキャリアのなかで「お子さんとの時間を大切にしたい」という思いに気付き、仕事の仕方やキャリアの築き方を見直すことがあったそうです。そんな奥山さんに話を伺いました。

(聞き手:人事部HRシニアビジネスパートナー 赤木 亜希子)

「好きを仕事に」から「子どもと向き合う働き方」へ

赤木:本日のTalent Discovery Talk Showは、カスタマーサービスのサポートより奥山 亜紗佳さんをお迎えしています。奥山さんはAdobe PhotoshopやAdobe Illustratorなどデジタルメディア事業統括本部(DMe)の製品を担当するテクニカルサポートチームでマネージャーを務めています。


そんな奥山さんは新卒で勤務した会社を皮切りに6社で仕事をした後、7社目になるアドビに2018年に入社されました。まずはその職歴から伺いたいのですが、そもそもキャリアのスタートがテクニカルサポートで、その後は「好きを仕事にしたい」ということでまったく別の業界に飛び込んだそうですね。


デジタルメディア事業統括本部(DMe) カスタマーサービス&サポート マネージャーの奥山 亜紗佳さん


奥山:精密化学メーカーの関連会社のサポートセンターで、エンドユーザー向けのソフトウェアを中心にサポートの仕事をしていました。その後カーグッズで有名な会社の本社にある「カスタムカー開発本部」に入社したんです。実は私は車が大好きで、「好きを仕事にするしかない」と思い立って転職したんですね。店舗の一角にオフィスがあり、販促や接客を行いつつ、バックエンド業務も担当しました。ここでPOPを作ったり、お客様向けDMを作ったりするためにPhotoshopとかIllustratorを使っていました。


赤木:そこがアドビとの最初の出会いなんですね。その後、どのような職種をご経験されたのでしょうか。


奥山:社会人3年目に長男を出産したのですが、産後に体調の変化に悩まされ、フリーランスでWeb制作の仕事を請け負うようになりました。長男は待機児童で1年半ほど保育園にも入れなかったので、友人の伝手でお仕事をいただいたり、そこからさらにお仕事を紹介されたりということをずっと続けていたんです。そのうち第2子も生まれ、無認可ですがようやく2人とも保育園に入れることができました。そこでようやく次の仕事探しが始まったんです。


赤木:出産後初の職場は大学のITサポートセンターのヘルプデスクだったそうですね。


奥山:はい。学生と教職員を対象に、ITに関する困りごとや使い方をサポートする職場でした。採用面接で実際に現場を訪問した際、働いているメンバーが全員女性で「母親の方も多い」と聞いたんです。当日はお子さんの卒園式でお休みされている方もいて、安心して働けると思ってこの職種を選びました。


居心地は良かったのですが、3年ぐらい働くうちに「自分はまだ成長できるのでは」ということを考え始めるようになったんです。やれることがあって、その範囲を広げていくことで自分がもっとハッピーになれるのではないかと考え、挑戦しようと思いました。


赤木:4社目は外資系ソフトウェア、そして5社目は大手IT企業にテクニカルサポートエンジニアとして入社されたと聞いています。この会社で人生の師に出会い、今日の礎を築かれたそうで、どのような体験だったのか教えてください。


奥山:5社目の職場はプロフェッショナルと呼ばれる人たちで構成されていて、自分のナレッジやスキルに誇りを持っている方がたくさんいらっしゃいました。そのなかで「神」と呼ばれる方がいらっしゃって、その方が私のメンターだったんです。せっかちなところがある私に対してどんどん成長できるきっかけを与えていただきました。いまの自分の仕事に対する考え方ややり方は、その環境から生まれたと思います。


赤木:なぜ転職することになったのでしょう?


奥山:ハイペースで仕事ができるので、私も仕事にのめり込んでのですが、当時は通勤時間が少々かかる場所に住んでいたので、ほぼ1日家にいない状態だったんです。子どもたちより朝早く出て夜遅くに帰るので、触れ合う時間がほとんど取れませんでした。


そんなある日、夜遅くに帰宅したら玄関に「お仕事おつかれさま。いつもありがとう」という手紙が置いてあって、それを見た瞬間に涙があふれて止まらなくなったんです。そこで「生活スタイルを変えよう」と思ったんです。

仕事が楽しいのは事実、だけどやっぱり子どもとの時間も大事にしたい。そこで「これを機に転職しよう」と思ったんです。


赤木:身につまされますね。そしてIT系の企業に転職した後、2018年7月にアドビのテクニカルサポートエンジニアとしてスタートされたそうですね。いろいろな職場を経験し、アドビに入社していかがでしたか。


奥山:楽しく仕事できる環境が整っていますし、人と人との関係が近く、壁がないので、気後れせずに声をかけられます。こういう環境は、ほかになかなかないと思います。

一般社員からマネージャーへキャリアアップ、その心境の変化

赤木:奥山さんのアドビでのキャリアのスタートはエンジニア職の一般社員だったそうですが、2020年2月にオペレーションリーダー、そして同年の10月にマネージャーに昇進されました。これはどのような経緯だったのでしょうか。


奥山:最初は直属のマネージャーが退社するとのことで、当時の上司から「オペレーションリーダーをやってみないか」とお声がけをいただいたんです。当時、その上司と1on1を毎週行っていて、これまでの経験やアドビに入社してからの実績を深掘りしていただいていたんですね。


私はマネジメント職よりもエンジニアとして極めたいという思いがあったので、最初にオペレーションリーダーの話をいただいた時に少し驚いたんです。すると上司は「自分では認識していないかもしれないけれど、人のマネジメントに向いていると思う」と話し、「まずはチームのオペレーションを実際に見てみないか」という形で提案していただきました。そこで徐々にマネジメントに意識が向いていったんです。


赤木:当時の上司の方は、奥山さんにその才能があることを感じていたんですね。実際にオペレーションリーダーになっていかがでしたか?


奥山:ローカルマネージャーがいなかったこと、そしてオペレーションリーダーを勧めた上司も退職してしまって、一時的にUSチームの方にレポートすることにしました。その時のUSのマネージャーとは毎朝ミーティングして、問題点を確認し、どうするか相談したところ、「いいと思う、やってみなよ」と全面的に任せてくれたんですね。それで自分で問題を切り開いていくことができて、とても面白みを感じました。


その方からはその後も私に足りないところや工夫した方が良いところを上手に指摘していただきました。とてもいい経験をさせていただいたと思います。


赤木:振り返るとシンプルですが、当時は大変だったと思います。その後マネージャーに就かれて何かギャップはありましたか?


奥山:一般社員からマネージャー職に変わったことで、周囲の方々の安心感や信頼につながったと思います。また、業務の全体像が見えるようになりました。これまではテクニカルサポートエンジニアとしてサポートチームのことしか見えていなかった部分がありましたが、外の業務が見えるようになったことが大きな違いですね。


赤木:マネージャーになり、お子さんとの触れ合いはいかがでしょう?


奥山:逆に自分でコントロールできる時間が増えましたし、またコロナ禍ということもあってかなりワークライフバランスは取れるようになりました。コロナ禍という特殊な条件がありながらも、マネージャー職になって時間のコントロールはしやすくなったと思います。

マネージャーとして大切にしている「聞く力」

赤木:そんな形でマネージャー業をスタートされた奥山さんですが、実は過去の経験からマネージャーとして「これだけはしない」と決めていることがあるそうですね。


奥山:はい。サポートチームはお客様から「顧客満足度サーベイ」で数字をいただくことがあります。この数字を上げていくために振り返りが必要なんですが、メンバーそれぞれを公開処刑するようなやり方は絶対しないと決めているんです。私自身、過去にオープンな場で「あなたの何が悪かったんですか、どこを改善できるんですか」と言われて、あまりいい気持ちはしなかったので、振り返りはクローズドな環境で行い、その結果を全体にフィードバックするようにしています。


もう1つ決めていることがあります。それは「話を聞くこと」。1on1やチームミーティングでも、まずみんなの意見を聞き、何を考えているのかを話してもらったうえで自分の希望を伝え、ギャップをどう埋めていくかを考えていくように意識しています。

奥山さんの次のチャレンジは?

赤木:次はどんなチャレンジをされたいですか。


奥山:特にこのポジションと決めているわけではなくて、常に自分の中にある「楽しくお仕事をしたい」という部分を大切にすることと、自分ができることを広げていきたいので、アンテナは常に高く張り巡らせています。


赤木:では最後の質問です。奥山さんにとって「キャリアを作る」とはどういうことだとお考えになりますか。


「キャリアとは自分の可能性を広げるツール」と語る奥山さん


奥山:私にとってキャリアを積むことは、自分の限界を広げること、可能性を広げるためのツールだと思っています。自分が次に何をしようかと考えるには、自分のことをもっと掘り下げなければいけませんし、自分は今何ができていて何が足りないのか、次何をしたいのかっていうところを考えなくてはなりません。動く・動かないという判断も自分を見つめないとできないでしょう。


そんな自分の可能性を広げるためには、自分が今何をやっているのか、どこに手を広げなければならないか思い至らないといけないですし、言うなれば「広げる」ためのツールがキャリアなのかなと考えています。


赤木:ありがとうございました。

-----------

聞き手:赤木 亜希子

人事部シニアHRビジネスパートナー 。2001年日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。労務管理、給与制度設計、ダイバーシティ&インクルージョンなど一貫して人事業務に携わる。米国本社赴任後、2010年からはHRビジネスパートナーを担当。リーダーに寄り添い、ビジネスに貢献する人事を目指す。2020年5月よりアドビ株式会社にて現職。シニアHRビジネスパートナーとして、日本の経営陣をサポートしている。




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