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設備業に特化したDXサービス「こうじやさんⓇシリーズ」。社会インフラを担う、設備業界を支えるための挑戦。

著者: 石田データサービス株式会社

私たちの暮らしを支える社会インフラは、電気設備工事、空調・衛生設備工事、消防・防災設備工事などの設備業者の働きで維持されています。エッセンシャルワークである設備業者にも、担い手不足や物価高騰が多大な影響を及ぼしつつあります。石田データサービスは40年にわたって、設備業の業務効率化や生産性向上を支援してきました。その集大成である「こうじやさんⓇシリーズ」の歩みをご紹介します。

設備業に特化した業務システム「こうじやさんⓇシリーズ」誕生の経緯

始まりは電気工事業の積算ソフト。提案を続ける中で、お客様の積算業務の悩みに直面する。

「こうじやさんⓇシリーズ」の始まりは40年ほど前。石田データサービスは、電気工事業者様向けに他社製品の積算ソフトを販売していました。すると、積算ソフトのご提案を通して積算業務に関するお悩みや積算ソフトへのご要望などを伺う機会が増え、設備業の積算業務に関する課題が見えてきました。


そのひとつが見積作成業務の属人化。中小規模の電気工事業者は、見積り作成を見積担当者の知識や経験に依存しているケースが多いです。そのため、見積もりの基準や内容にばらつきがある、見積作成ができる人に業務負荷が集中するなどの問題を抱えていました。実はこれが収益や経営に深刻な影響を与えていました。たとえば、工事原価がブラックボックス化して赤字工事の温床になる、顧客対応が遅くなって受注機会を逃すなど、見えないところで損失につながるといった点があげられます。


こうした課題に対応すべく、「誰でも簡単に同じ内容で見積が作成できる」をコンセプトとする自社製品の開発に踏み出しました。そして、工事積算見積システム「本丸」が誕生しました。



「本丸」は、システム内によく使う材料を「資材マスタ」としてデータベース化・共有できます。これによって積算のベースとなる「材料」の入力が標準化され、さらに材料の付属品や労務費などを自動入力する機能を実装しています。多くのお客様から積算作業がとても楽になったと言うお声を頂けるようになりました。

積算ソフトを導入したユーザから、拾い出しの悩みを相談される

ところが、喜びの言葉と同時に、見積り作成の前工程の材料拾い出しで困っているというお悩みが集まってきました。集計した材料のデータを「本丸」に入力する際、入力漏れや材料の選択ミスが多いということです。電気工事業の材料は種類が多いため、手作業で入力すればミスが起きるのは当然と言えます。いくら便利な積算見積システムを使っていても、図面から拾い出した材料と一致していなくては意味がありません。


そこで着目したのが、普及し始めていたCADです。CADの知見をもつ協力会社との共同開発で、「本丸」の資材マスタをベースにCAD画面から材料名や配線の長さ、個数物などをデータとして抽出する、材料拾い集計システム「拾い」を開発しました。「拾い」の誕生により、材料拾い出しと見積作成のプロセスを連携させるシステムが完成したのです。


弊社にとって現場で使ってくださるお客様の声は、何よりも貴重な商品開発の原点であり、「こうじやさんⓇシリーズ」はお客様あってこそ誕生した製品なのです。

設備業のお悩みに応える製品開発の歩み

見積作成から工事原価管理へ―「拾い」「本丸」「二の丸」

見積作成のお悩みが解決されると、次に浮上した課題は工事原価管理でした。それを受けて生まれたのが、工事原価管理システム「二の丸」です。「二の丸」は「本丸」で作成した見積データを元に工事台帳を作成し、工事ごとに原価管理を行います。


建設業の原価管理は複雑で、現場が終わってみないと収益がわからないという会社もありました。「二の丸」を導入すると現場ごとの利益が可視化され、進行中の現場でも収益を把握できるようになります。その結果、適切な収益管理ができればキャッシュフローの改善につながります。また、現場に携わる社員に現場ごとの利益が見えるようになると、原価意識を定着させる効果も期待できます。その他に品番などを登録できるので、機器の交換時期に営業をかける、リコール対応に役立ったなど、思いがけない形でも活用されています。


本丸 見積作成から受注の流れ


二の丸 工事原価管理から請求・入金処理の流れ


「本丸」「二の丸」によって、案件発生から完工までの流れを一元的に管理できるようになります。すると、建設業界特有の入札や見積金額の調整の難しさ、煩雑さがわかってきました。そうした部分を効率化する「二の丸」の実行予算のオプション機能や公共工事経費計算ツール「Smart」をリリースしました。

電気工事業以外にも広がるユーザーのニーズに応えてー「Planner EX」

電気工事業のユーザを想定して開発された「本丸」「二の丸」ですが、消防設備業でも導入されるようになりました。消防設備業では、消防用設備の定期点検とそれに付随する報告書作成・提出が日々行われます。消防法で義務づけられている消防点検の報告書を作成するツールは豊富にありますが、点検作業に必要な建物の管理台帳やスケジュール作成まで対応するツールは少なかったのです。そこで、管理者への負荷が大きいスケジュール作成と報告書の管理を効率化する建物管理・スケジュール管理ソフト「Planner EX」を開発しました。消防点検後の修繕工事などを、本丸、二の丸に連携して管理することができます。



消防点検のスケジュール作成は、建物オーナーもしくは管理会社の他に入居者との調整も必要で、関係者間の情報共有や連絡にとにかく手間がかかります。一般的に管理会社が窓口になりますが、その対応もまちまちなので業務管理者の負荷は大変なものです。


そこで「Planner EX」で管理する情報の一部をクラウド上で開示し、点検・メンテナンス業者とお客様をつなぐ「設備あんしんクラウド」をスタートしました。このサービスによって、建物オーナーや管理会社とリアルタイムに情報共有できるようになり、コミュニケーションの質と管理業務の効率化を同時に実現できます。デジタル化によって新たな価値を提供する、DXのファーストステップになるサービスと考えています。

建設業の2024年問題、働き方改革への対応ー「Writeレス

設備業には、夜間作業などのイレギュラーな勤務形態があります。働き方改革関連法で求められる客観的な勤怠記録となる勤怠システムを導入しようとしてもミスマッチが多く、運用が難しくなるケースも多いようです。これまでに培った設備業の業務への知見を活かし、予定登録・作業日報・勤怠管理システム「Writeレス」を開発しました。現場作業と労務管理をつなぎ、給与計算ソフトへのデータ連携も可能です。

お客様の要望を実現する開発部門

お客様の要望をシステムに反映する開発部門では、どんな製品にもなかった機能を、壁をよじ登るような思いで開発したこともありました。


例えば、二の丸の物件一覧や内訳明細の画面では、登録日や物件番号などの項目が表示されます。登録した項目を表示・非表示にする機能はよくあります。しかし、お客様の要望は「Excelのように並べ替えがしたい」というものでした。


Excelではごくあたりまえにできることですが、二の丸はもちろん、他社製品でも並べ替え機能は見たことがありません。画面上は一行のレコードに見えますが、各項目にマスタ情報や連携したデータが紐づいているからです。特定の項目をキーにして並べ替えようとしたとき、各項目に紐づいているデータの移行方法が大きな課題となります。


参考になる機能がなかったため、プログラムを組んではやり直し、数えきれないくらい試行錯誤しました。並べ替え機能は、およそ2年がかりで日の目を見ました。これほど時間がかかった理由のひとつに、当時は社内に品質管理の部署がなく、開発担当者が開発と検証の両方を担っていたことがあります。今でしたら、もっと短期間で完成させられるでしょう。


今回とりあげたケースでは、並べ替え機能がなくても工事原価管理という導入の目的は果たされます。しかし、弊社製品のユーザはExcelでの作業を弊社製品に置き換えることが多いので、Excelでできていたことができなくなれば、やはり不便に感じられるでしょう。


お客様が満足するシステムを追求しようとすると終わりはありません。並べ替え以外にもいくつもの要望にお応えしてきましたので、壁の登り方も以前に比べるとかなり上手になっています。この先、とてつもない壁に出会うことがあっても、開発部門一丸となって克服してゆきたいと思います。

社会インフラを支える設備業界をITで支えたい!設備業DXへの想い


建設業・設備業向けの積算ソフトや原価管理ソフトは出回っていますが、各プロセスに特化した製品が主流で、案件発生から完工まで一元管理できるのは大手企業が自社用に開発したシステムに限られます。

「こうじやさんⓇシリーズ」は、設備業の業務プロセスを幅広くカバーし、ユーザの利便性と生産性向上を最大化するため、会計ソフトなどの他社製品とも積極的に連携しています。各製品を導入・連携すれば、中小企業でも、大手企業のようなワンストップのデジタル化を実現できます。

設備業の担い手不足は深刻であり、経営を維持するためにはデジタル化による生産性向上が最適解と言えます。しかし、設備業に限らないことですが、中小企業ではIT人材不足が指摘されています。莫大なIT投資を行う体力もありません。


業務プロセスごとに独立したシステムが連携する「こうじやさんⓇシリーズ」は、段階的なデジタル化を可能にします。ボトルネックとなる業務に優先順位をつけ、順番にシステムを導入するスモールスタートで、コストや導入作業の負荷を最小限に抑えたDXを実現します。

社会インフラを支える設備業界をITで支えたい。「こうじやさんⓇシリーズ」はこの想いで生まれ、設備業のDXを後押ししています。





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