1637年創業。300年以上の酒造りをしてきた月桂冠の次なる挑戦。お客様と一緒に日本酒を進化させる実験「Gekkeikan Studio」誕生の裏側。
月桂冠株式会社は1637(寛永14)年、京都伏見で創業、380年以上に渡って日本酒を造り続けています。1909(明治42)年、日本酒メーカーでは初の酒造研究所「大倉酒造研究所」(現・月桂冠総合研究所)を設立、これまで職人の経験や勘に頼っていた酒造りに科学技術を導入し、今日に至るまで日本酒製造プロセスの変革、多彩な商品づくりやその品質向上に一貫して取り組んできました。
その中で、月桂冠総合研究所で生み出された画期的な日本酒を、いち早く世に出したいという強い思いから、2021年、「日本酒を進化させる実験」をコンセプトに、「Gekkeikan Studio」をスタートしました。「Gekkeikan Studio」は、まだ誰も味わったことのない最先端の日本酒を試作段階で商品化し、そのお酒を味わい体感されたお客様の声を商品開発に反映してお客様と一緒に日本酒を進化させることを目指すプロジェクトです。
月桂冠がこのプロジェクトを開始した理由や背景、開発秘話を紹介します。
画期的なアイデアをすぐに商品化してお客様に届けることができず涙を呑んできた
月桂冠の商品は、全国の販売店に広く流通させることを前提とし開発を進めていいます。そのため、販売店の店頭によって、商品の陳列の環境がまちまちな中で販売されることを想定すると、一定の品質を保つためにクリアしなければならないハードルがより高くなり、商品化するまでに相当の年数を必要とします。そのため、画期的なアイデアを取り入れたものであっても商品化を断念せざるを得なかったり、ようやく商品化したとしても、既に世の中の変化からは遅れてしまっているという点に課題がありました。このようにして、お蔵入りになってしまうことが多々ある状況に、研究者は悔しい思いをしていました。
最先端の日本酒をいち早く世へ出すために。実験的な取り組み「Gekkeikan Studio」をスタート
従来の制約にとらわれることなく、研究のシーズから生まれた日本酒を試作段階で商品化することはできないか。さらに、いち早くお客様と共有して、そのニーズを素早く取り入れ、時代にマッチした商品へと更新し続けていくことはできないかと考え、月桂冠総合研究所のメンバーが中心となって、「Gekkeikan Studio」を立ち上げました。つまり、研究開発により実験的に生み出される日本酒を試作の段階でお客様と共有し、日本酒の新たな可能性を味わっていただくとともに、その声を商品開発に反映させることで、日本酒を愛するお客様と共に日本酒の未来を発見し進化させることを目指すプロジェクトです。
「Studio」には「研究」や「工房」という意味があり、お客様と双方向でのやり取りの中で、親しみのあるものづくりを表現したいという思いから、このプロジェクト名を採用しました。
お客様の声を聞き、お客様と一緒に日本酒を進化させる
「Gekkeikan Studio」では、実際に飲んでいただいたお客様の声を集め、商品開発に生かすことに取り組みます。お客様からどのような日本酒を求められているかをお聞かせいただくことで、世の中の流れの一歩先をゆく商品の開発につなげます。そのため、商品に添えたリーフレットに記載された二次元バーコードからアンケートに回答してもらう仕組みをつくりました。このようにして、日本酒を進化させる実験にお客様も一緒に参加していただくことを目指しています。
日本酒業界をリードしてきた月桂冠 日本酒の多様性を広げ、面白さを伝えたい
「Gekkeikan Studio」によって、最先端の日本酒を試作段階で世に出し、次々と更新していく仕組みができました。月桂冠が目指しているのは、日本酒の多様性や面白さをもっと世の中に伝えたいということです。月桂冠の歴史を振り返ると、業界に先駆けて、防腐剤なしの日本酒(1911年)、常温流通可能な生酒の発売(1984年)、糖質ゼロ清酒の発売(2008年)、ノンアルコール日本酒テイスト飲料の発売(2014年)など、常に革新を推進していくことで新しい試みに挑戦し日本酒業界をリードしてきました。品質や技術の面で日本酒業界をリードしていくだけでなく、これからは日本酒の多様性を広げ、日本酒は面白いと思ってもらえることにも取り組んでいきます。
日本酒の世界では、手作り感のあるものや、吟醸酒や純米酒などの特定名称酒が優れているとの見方もありますが、そういった価値観だけにとらわれず、新しい技術でおいしい日本酒をつくることを目指しています。
待望の第一弾商品を2021年以発売。1週間足らずで完売する等、想像を超える大きな反響が生まれる
2021年12月、第一弾の「Gekkeikan Studio no.1」を発売しました。月桂冠が独自に開発した酵母によって生まれた、圧倒的なメロンの香りを持つ日本酒です。まろやかな口あたりのにごり酒をアッサンブラージュ(複数の酒質を組み合わせる手法)することで、メロンの果肉を思わせる舌ざわりを再現しました。販売チャネルは月桂冠オンラインショップ、月桂冠大倉記念館の売店に限定し、応援購入サービス「Makuake」で先行予約販売を行いました。「Makuake」では、開始から2時間で目標金額を達成、1週間足らずで準備していた商品が完売するほどの反響がありました。
その後、2022年6月には、「とろみ」においしさを濃縮し、とろりとした舌ざわりに加え、桃やプラムのコンポートのような香りと複雑で深い味わいを楽しめる「Gekkeikan Studio no.2」を、2022年9月には、常温ではパイナップル、冷やすとララズベリー、温めるとオレンジピールと、飲む温度によって味や香りの変化を楽しめる「Gekkeikan Studio no.3」を発売しました。
いずれの商品のラベルもモノクロで抽象的なデザインとしています。シリーズ全体を通して、ラベルの正面を1枚のキャンバスに見立て、お酒の味わいをイメージした意匠により表現しています。
「Gekkeikan Studio no.2」2022年6月発売
「Gekkeikan Studio no.3」2022年9月発売
プロジェクトに沿って、お客様の声をもとに進化。「Gekkeikan Studio no.1.1」が登場
「Gekkeikan Studio no.1」発売時のお客様へのアンケートで、「日本酒とは思えない味に驚いた」「日本酒感が少なく飲みやすい」などのコメントと共に9割近い方が「おいしい」と評価されました。一方で、「甘みが強い」「もっとメロン感がほしい」といったご意見もいただき、それを反映して、酒質のバージョンアップに取り組んだ最新作の「Gekkeikan Studio no.1.1」を、2023年7月に発売しました。
「no.1」を進化させたことを表すため商品名は「no.1.1」としました。「Gekkeikan Studio no.1」の特徴であるメロンのような香り成分を33%アップ、さらにアッサンブラージュの比率を見直し、にごり成分を倍増させ、メロンの果肉感を高めました。お客様と一緒に日本酒を進化させることを具現化した結果となりました。
プロジェクトを始めることで、社内にも変化が。もっとおいしい日本酒を届けるための議論が活発に
月桂冠総合研究所では、「Gekkeikan Studio」によって、商品化への障害となっていた高いハードルが下がり、研究開発に一層熱が入るようになりました。また、これまでは、お客様の声をダイレクトに商品開発に反映できる機会はそう多くありませんでしたが、アンケートやイベントで直接商品を販売しお客様の声を聞く経験を重ねていることも大きな進歩です。
お客様がどんな日本酒を望まれているのか、日本酒を通じてどんな体験を期待されているのかなどを、研究員自ら直接聞けたことで、ゴールをより明確に描いて研究をすることができるようになっています。「Gekkeikan Studio」でお客様と実験を共有できる場ができたことで、「こんな面白い商品も出せないか」と議論が活発になり、「もっとおいしい日本酒をお客様に届けたい!」とモチベーションが上がっています。
380年以上の歴史を持つ月桂冠が挑む、日本酒の世界を広げる新しい挑戦
月桂冠がこれまで培ってきた研究開発力と技術によって生み出された、誰も味わったことのない最先端の日本酒をお客様にお届けし、お客様と共に日本酒を進化させる取り組みは、科学技術の導入によって日本酒造りを革新してきた月桂冠だからこそ実現したものです。これからも、従来からの枠にとらわれない自由な発想で、お客様と一緒に日本酒の世界を広げる挑戦は続きます。今秋以降にも、これまでとはまた異なる、新たな切り口で開発した商品を発売する予定です。楽しみにお待ちください。
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