経営危機からの再始動。居酒屋の来店意義が薄れた「アフターコロナ」で求められる価値を探し続けた、イタリアン『亀八』開発を振り返る
株式会社チェリーは1974年創業。「ステークホルダーに喜びと笑顔を創り、街を豊かに」を企業理念として飲食店のブランドを展開しています。「焼肉酒場肉カジ」「韓国酒場チェゴダ」「海鮮イタリアン亀八」をはじめ、5つのブランドで美味しくて楽しい時間をお届けしています。
このストーリーでは、経営危機に見舞われたコロナ禍からの再始動について、新業態「海鮮イタリアン亀八」誕生の裏側を元に代表が振り返ります。
コロナ禍の経営危機。エリアによる集客のコントラストに注目し、調査を開始
2023年6月、「韓国酒場チェゴダ」に続く新業態が誕生しました。柏出身の盆栽アーティスト濵本祐介氏とコラボレーションしたアートも楽しめる海鮮イタリアン「亀八」です。
アフターコロナといわれる今、なぜアーティストとコラボレーションしたイタリアンを出店したのでしょうか。
2020年3月に始まったコロナ禍により、一時は経営危機に陥った当社はコロナ真っ只中の2021年11月に「韓国酒場チェゴダ」を開業しました。「韓国酒場チェゴダ」の店舗開発をしていた2021年当時、新規店舗開発のため視察に訪れた新大久保では、コロナ禍もどこ吹く風。若者を中心に多くの飲食店が賑わいを見せていました。
一方で当社の地元である千葉県柏市の繁華街は、まるでゴーストタウンの様相を呈しており時短営業や休業を余儀なくされ苦境に立たされていました。
賑わいを見せていた新大久保エリアでも、ウェイティングがかかるほどの人気店と空席が目立つ店舗のコントラストは明確で、その違いに着目して調査を行ってきました。
コロナ禍の巣ごもり生活の中で、いわゆる「家飲み」が習慣化されコロナ後の居酒屋市場は大きく変化することが予想されました。コロナ禍であっても若者の人気を集め、「家飲み」では足りない何かを満たしてくれる場所が「韓国酒場チェゴダ」のコンセプトとなりました。
新大久保の繁盛店「韓国酒場チェゴダ」は、非日常性の価値を提供していた
新大久保の繁盛店についての調査で分かった事は、家飲みでは実現しない店舗の非日常性とその空間で過ごす体験価値でした。韓国酒場チェゴダでは20代半ばから30代後半の女性客をターゲットに、ナイトクラブのような暗めの照明にK-POPが大音量で流れるお店
という柏には無いスタイルの韓国居酒屋に仕上げました。
料理もサムギョプサルを中心に、本場韓国より日本人の口に合うアレンジを施しながら試作を重ね、見た目にも鮮やかで楽しいラインナップとしています。
コロナ禍でのオープン当初は時短営業も行いつつ100万円強のスタートでしたが右肩上がりに売上を伸ばし、30坪弱の店内で2022年12月より月商500万円を超える
売上を作り、現在も売上を伸ばしています。
居酒屋の来店意義が薄れた「アフターコロナ」で求められる価値を模索した
家飲みが習慣化され、居酒屋の来店動機が薄れた現在にあって、求められる外食とは何か。「韓国酒場チェゴダ」の要素をさらに深化させたチャレンジを行うことになりました。「チェゴダ」では、K-POPが流れる中で会話に集中できる「暗めの店内にスポットの照明」、韓国居酒屋ならではのサムギョプサルやUFOチキンなどの楽しくて美味しい料理でお客様の支持を得ました。
新業態では、「チェゴダ」とは違ったアプローチで外食の楽しさを味わっていただきたいと考えました。
業態のコンセプトはどうせやるなら、新しいもの、周りがやっていないようなことをこの千葉県の柏という地でやってみたいという想いがあり、なるべく固定概念に縛られないようにしながら業態のイメージを膨らませていきました。
まずは何店舗も店舗を検索しながら、良さそうなお店があれば実際にお店に足を運び、お店のお客様からをご支持を受けている理由を探すところから始めました。
コンセプトが決まらない。お客様にとって「新しい」ものは何か、手応えを探し続けた
始めは、流行りのお店ばかりに目が移り、コンセプト自体が決まらない日々が続きました。いろいろな店舗を回っているうちに老舗も流行っておりましたが、新たに流行っているお店に共通する点が味やサービスだけではなく、何かしらの目新しさやそのお店独自の面白さがあることに気が付きました。当社においては新しいものを積極的に取り入れていこうという風土があります。コンセプトを決めるにあたっての大きなハードルはありませんでしたが、何がお客様にとって新しいと感じてもらえるか、他では感じることができないオリジナルの価値を提供できるか非常に苦労しました。
新業態を考えていく中で、取り入れたい要素としては、デザイナーとのコラボレーションによる新たな価値提供、千葉県で水揚げされる美味しい魚を使った飲食店を作りたいという想いが徐々に明確になり現在の形に近づいていきました。
当初、新しい業態を作るのあたり、都内のいろいろなお店を回っている際には最終的に『これだ』という手ごたえを得られるものはありませんでした。
ある日の会議でも、煮詰まらない状態が続いたのですが、たまたま柏出身で全身タトゥーだらけで盆栽のアーティストがいる話が出てきて、そのアーティストが実は私の昔からの知り合いだと分かり、これだとピーンと来ました。
ただし、まだその時は、魚を使いたいという点では、魚を捌ける社員の空きがなく、料理長の採用も含め、決まっていないことだらけでした。それでも人とのつながりで何とか道が開けるような気がしておりました。
今回の新店舗オープンにあたっては、飲食だけでなく、EC事業も一緒に立ち上げたいと思っておりました。飲食店はコロナ渦の影響を強く受け、非常に苦しい思いもしましたので、当社の課題でもある、飲食店以外の収入も増やしていけるものにしていこうと思いました。この際も小学校からの友人がIT関係の会社で非常に活躍しており、ECサイトを構築を手助けしてもらい、人のつながりに助けられました。
ちなみに、料理長も弊社代表の小学校からの友人でもあり、元社員が都内の有名店で修行を積み、タイミングよく戻ってきてくれたため、この問題も解決できました。
イタリアン業態への初挑戦。社内の意見の相違を乗り越え、「固定概念にとらわれない」方向で意思を統一
やりたいことは明確になってきたのですが、イタリアンは当社としては初めての業態、タトゥーだらけの盆栽アーティストとコラボレーションした店内や料理の設計など、常に新しいことだらけであったため、意見の相違も多くあり、話が進まないなどはしょっちゅうありました。特に創業者の会長としては、不安が多くあったと思います。イタリアンだけど、店内はイタリアンを提供するような店内ではない、店名も『亀八』で看板からもイタリアンを微塵も感じない(笑)。
最後の最後まで店内のレイアウトなどは決まらず、笑い話ですが、オープン日にまだカウンターの椅子が届いていないという状況も起きてしまいました。最終的には固定概念にとらわれずに、新しいものを生み出そうという意志を尊重して決めていこうということで意思統一できたと思います。
柏という町は昔は千葉の渋谷と言われるくらい若者が多く元気があった町でした。
今回のトータルイメージは、渋谷をイメージして看板や店内のレイアウトや音楽を決めました。お客様は若い方だけではなく、若い時に渋谷によく遊びに行ったけど、年とともにあまり行かなくなった方にも楽しんでいただけるよう、内装や料理にもこだわったお店になったと思います。
オープン後、ご来店頂いた方からは店内の雰囲気や料理の味について高く評価いただいております。また、当初想定していなかった年齢層が高めのお客様からも支持していただき結果的に幅広い層に評価いただく事ができました。
このお店を立ち上げることができたのも人のつながりがあったからこそです。
この店舗は、何よりも人とのご縁を大事にし、いろいろな人とつながっていけるような店舗になるようにしていければと思います。
亀八Instagram
https://www.instagram.com/kamehachi_k/?igshid=NTc4MTIwNjQ2YQ%3D%3D
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