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120年を超えるソースの老舗が、韓国の味を本場レベルで実現するために。「ヤンニョムソース280」の誕生秘話。

著者: イカリソース株式会社

創業120年を越えるイカリソース株式会社は、2023年2月に豊富な使い道の韓国風あまから万能調味料「ヤンニョムソース280」を発売いたしました。コチュジャンの旨味と唐辛子のほどよい辛さと、にんにくを効かせたやみつきになるあまから味が特長です。



本商品の開発は、ライフスタイルの変化や原材料費の高騰といった今までにない難しい状況に向き合いながら、1人の担当者が主導して進めてきました。新しい道を模索する中で、流行していたヤンニョムチキンに着目。目指す味を実現、調整するまでに多くの奮闘があったものの、8ヵ月という期間を経て実現しました。


本ストーリーでは、そのような「ヤンニョムソース280」の開発秘話を企画担当者である平よりお伝えします。


平由紀

1996年イカリソース株式会社に入社。研究所に配属後、商品企画の部門に配属。

商品の企画・開発に携わり、これまでに2度の産休・育休と他部門への異動を経て、

今、再び、商品の企画を担当している。

老舗として、本格ソースを提供してきたイカリソース。創業126年目に直面した難しさ

イカリソースはソースやノンオイルドレッシング、たれ、トマトケチャップ等を自社工場で、協力会社ではオイル入りのドレッシングや味付けごま等を製造し、それらの商品を販売しています。1896年(明治29年)に大阪で誕生し、その創業者がウスターソースの製造に成功してから127年が経ちました。


「お客様に幸福感を味わっていただける商品を提供し、お客様とそのご家族が幸せなダイニングを囲んでいただくこと。」を使命として掲げており、家庭用の商品開発においても同じ姿勢で取り組んでいます。商品をお使いいただくシーンを想定し、料理を作る人、それを食べる人はどんな人か、どんな思いで料理をするかを考えながら商品を作り上げてきました。



ソースの老舗メーカーとして商品を企画・製造・販売してきましたが、私たちには向き合わなければならない状況がありました。当社は、関西で特に50歳代以上の方からは認知度が高いものの、近年は本拠地である大阪でも20~30代の認知度が低いことが課題となっています。


そのため、2023年2月に発売した「ヤンニョムソース」はもちろん、近年の商品開発でも若い世代の意見に耳を傾けるよう心がけてきました。現在、社内では20代が男女同じぐらいの比率で在籍していますので、 味やパッケージデザインについてなど幅広く意見を聞きながら進めていきます。


少しずつ挑戦を続けてきましたが、2022年は食品価格の高騰とコロナ禍によるライフスタイルの変化という厳しい状況が重なりました。まず初めに、価格高騰幅の少ない米を使う丼ものを手軽に家で作れる調味料を模索していましたが、行き詰まってしまいます。商品企画を行わなければならない私(平)は頭を抱えました。その頃、韓国ドラマの影響でヤンニョムチキンが流行っており、ヤンニョムチキン専門店や輸入のヤンニョムチキン,

そのソースもネットで評判となっていることを耳にします。


外食も徐々にできるようになっていた時期でもあり、ヒントを求めて試食調査をすることにしました。

流行していたヤンニョムチキンに着目。試食を通じて見えてきた魅力

まず初めに、ヤンニョムチキンの専門店へ出向き、試食調査を行いました。ヤンニョムチキンは鶏ももの1枚肉を揚げてタレを絡めているので、1件目は美味しくて感動するものでしたが、試食を続けるにつれて、美味しさを感じつつも胸やけを感じるようになります。3件目を食べ終わった頃には、暑い時期だったということもあってか、メンバー全員が「もう1年位は食べたくない」という気分になってしまいました。



試食調査を終えてすぐ、感じたことをメンバーと話し合いました。その結果として、「ヤンニョムチキン自体は美味しくて病みつきになる味だが、そのソースはシナモンの風味が強く甘みが強い。ご飯に合わせることを考えると、ヤンニョムチキンのための調味料では売れる商品へ繋がらない」という意見でまとまり、調査は振り出しに戻ります。


ですが、数日たつと不思議なことに、1年は食べたくないと思ったヤンニョムチキンがまた食べたくなってきました。旨味のある辛さが暑さの記憶とともによみがえってきて、「あれがまた食べたい」、「さらにビールがあれば最高」と思ってしまうのです。


ヤンニョムチキンにはまる韓国人、日本人の気持ちがよくわかった瞬間でした。ヤンニョムチキンのソースの開発はあきらめたつもりだったのですが、なぜかあの味が頭から離れません。


むしろ、「韓国料理にある特有の、甘み、辛さ、旨みからくるやみつき感を叶えるソースがあれば、売れるはずだ。」という確信にも近いものを感じました。


そもそもヤンニョムとは、韓国では辛くて赤いたれだけでなく、薬味や調味料を混ぜてつくる合わせ調味料のことを指します。キムチ作りに使われるものもヤンニョムです。そのため、一口にヤンニョムといっても言葉が示す味わいには幅がありました。どの方向性へ持っていくか検討するため、次はヤンニョムチキン以外に辛くて赤いヤンニョムを使った料理を食べ歩くことにしました。



日本でメジャーなタッカルビやチゲ、トッポギはもちろん、韓国料理店でランチで出される料理や、韓国人留学生の通う家庭料理の店で出される炒め物なども食べます。しばらく続ける中で、本場の形に近い韓国料理店で提供される、豚ポックム丼や名のない炒めものを食べた頃から、この方向性ならご飯にあうし、様々な料理に使えると確信し、開発を再開しました。


また当時、ヤンニョムチキン用の市販のタレは他社でありましたが、万能調味料は輸入品しかありません。そのため、本場韓国の味をベースにしつつ、日本人の味覚にあった味を同時に模索し始めます。

難航した試作と製造。「万能調味料」を実現するために、試作液に向き合い続ける

無事に方向性が決まり、開発を再開しますが、思い通りにいかない日々が続きました。韓国料理の本場感を感じる日本人の味覚に合う味を目指し、試作を依頼するものの、なかなか思った味にはならない。その後、さらに迷いが出てしまい、完成品に近づかず時間ばかりが過ぎていきました。


開発の中で、決まったはずの方向性に対して、迷いが出てしまったことが自らを苦しめることとなったのです。辛さの感じ方は千差万別。そのため、どのような商品でも多くのケースで「もっと辛いほうがいい」「辛すぎる」の両極端の意見がでてきます。


単純に辛さを求めすぎると、調理した時に、「辛さはあるものの、何を作っても辛くて単調な味」になってしまい、毎日食べたくなるようなやみつきになる味とはかけ離れてしまうと感じました。


日本では、韓国料理というと、辛いものというイメージが強いかもしれません。しかし、韓国料理の良さは、辛みの強さよりも、何度でも食べたくなるやみつきになる味わいであると感じたところから、日本の家庭で楽しめる韓国料理の味わいを目指していました。そのため、「家族みんなで食べられる辛さ」で、「くせになるあまからい味」にこだわっていたのです。


何度も試作をしてもらい、社内で味見をして、実際の家庭でも様々な料理を試し、要望を追加する、といったことを繰り返しました。すると、目指していたイメージに即した味へと次第に近づき、涼しくなってきた頃にやっと納得のいく味ができたのです。



しかし、思うような味ができて生産部門に相談すると、大反対にあいました。匂いが強くて繊維を多く含むにんにくや唐辛子を、発酵した韓国調味料のコチュジャンと混ぜて大量に含む赤い液体はつくれない。製造機械が壊れて、製造ができなくなる恐れがあると伝えられたのです。


企画・開発から、製造まで落とし込むことの難しさを改めて確認させられました。ここまで考えた商品ですから、なんとか商品化したい。機械適正は機械メーカーにサンプルを送って確認してもらい、他の商品の製造時に色や匂いがうつらないように機械の洗浄方法はどうするか等、製造の仕様を生産部門と相談しながらひとつひとつ解決してもらって、テスト生産を行い、ようやく発売できることになりました。


×

ついに完成した、「ヤンニョムソース280」。発売後は社内外からコメントが

コロナ禍を経て自炊が増加したこともあり、発売のタイミングもよかったようです。他社からも類似品が多く発売されるなど、競争もありますが好評をいただいております。


社内でもファンの多い商品ですが、お客様からは「辛いものが苦手な娘にもピッタリな甘辛加減」「コチュジャンの旨みと唐辛子の程よい辛さに、にんにくを効かせた病みつきになる男子黙らせる味」など、商品に込めたものが実際の声となって帰ってきたことに感激しました。


Instagramより


商品は子どもと同じように産みの苦しみも大きいですが、育てることはもっと大変だと感じています。まだまだ、販売されている店が少なく、どこで売っているのかとの問い合わせもいただきますがより多くの方のお手元に届き、ご家庭の定番の味となって欲しいと思っております。



ホームページにはレシピも多数掲載しております。炒めもの、煮物、焼き物、和え物、鍋物、とできるメニューも幅広く、これだけで味が決まるヤンニョムソース、夏真っ盛りのいま、ぜひお試しいただければと思います。


ヤンニョムソースブランドページ




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