開業1年で28万人以上が来場。世代と地域を超えてつくる信州の郷土食「おやき」の発信拠点「OYAKI FARM」が誕生するまで。
長野県で親しまれる郷土食「おやき」。近年はお土産や通販としても人気が出てきました。長野市内をはじめ6店舗展開し、おやきの製造・販売を行う老舗「いろは堂」。大正14年創業、約百年の歴史を持つ伝統あるおやき屋です。
そんないろは堂が、2022年夏、長野インターチェンジ近くに工場併設店舗を立ち上げました。その名もOYAKI FARM(おやきファーム)です。
郷土食として暮らしに溶け込んだものだったおやき。しかし、いつの間にかそんな光景を見ることが少なくなりました。だからこそ、もう一度、”今”の文脈に合わせて、おやきのある暮らしを提案したい。そんな想いで、おやき文化のこれからに向けた発信拠点としてOYAKI FARMは誕生しました。
開業から1年。地域内外の様々な年代の方が訪れ、来場者数は28万人を突破し、おやきも58万個ほど販売しました。
注目を集めるOYAKI FARMの誕生までのストーリーを聞くべく、有限会社いろは堂・専務の伊藤拓宗さんに話を聞きます。
総工費10億円超。「1つの賭けだった」OYAKI FARMの開業
OYAKI FARMは、長野県の郷土食である「おやき」文化の発信拠点として誕生しました。1日1万個製造できる工場に、カフェやショップを併設し、連日多くのお客さんにお越しいただいています。
昨年秋には、おやきづくり体験もスタートしました。約1700人(2023年7月31日現在)の方におやきをつくることの魅力も味わってもらい、当初の目的に近づきつつあります。
OYAKI FARMの取り組みは、私たち自身にとって非常に大きなチャレンジでした。もともとは、生産能力の向上のみを目的としてスタートしています。
私たちの構える中山間地域の工場のみの稼働では、製造量に限界があったのです。今後もお土産だけでなく、通販等の需要にも耐えられるよう、アクセスのいい場所に製造工場を新設したい思いから始まりました。
しかし工場を新設するのであれば、工場見学はもちろん、おやき作り体験やカフェなども併設することで、これまで郷土食として愛されてきた「おやき」の、次の100年に向けた魅力を発信できるチャンスかもしれない。
長野IC近くのアクセスのいい場所が建設予定地となったこともあり、新工場ではなく、「おやきの発信拠点」として開業することを決めました。
長野県の郷土食を日本の「日常食」へ
新型コロナの影響でおうち時間を楽しむ方が増えました。その結果、ありがたいことに、直近3年間での通販の売上は約2.4倍にまで膨らみました。一時期は、注文が殺到して出荷まで1ヶ月半待ちになる時期もあったのです。お客様にはご迷惑をおかけした一方で、長野県外の方が通販で購入する需要があることも知りました。
信州の農家の家庭料理から、信州のお土産となった「おやき」。改めて家庭に戻り、たこ焼きや肉まんのようなかたちで、もっと日常で手軽に食べてもらうことができるかもしれない。そんな思いが湧いてきたのです。
施設のPRの際のメインビジュアルも田舎の囲炉裏を囲むイメージから一新。おやきの新たな可能性に気づいてもらう場にできたらと思い、様々なクリエイターを巻き込みながら、プロジェクトを進行させました。
工場の建物についても、地元の木や土にこだわる建築を設計する遠野未来さんと一緒に、おやきや循環をイメージできる建物を目指しました。
結果として、「これは本当におやき屋なの?」という声も沢山もらうと共に、林野庁長官賞や長野県ふるさとの森林づくり賞など、様々な建築賞を受賞し、大きな話題を呼ぶことになりました。
開業直後は3時間待ち。これまでのおやきのイメージを覆す施設に。
開業するまでは、「本当にお客さんが来てくれるのか」など、不安なことも沢山ありました。「おやき屋」としては今までにない規模・取り組みであったと思います。ただ特にこだわりたかったのは、観光客の方が来るだけでなく、地元の人にも沢山来てもらいたいという点です。おやきの文化は長野の人たちが受け継いできたもの。その文脈を大事にしたかったのです。
しかし、そんな不安をよそに開業日から長蛇の列。開業に合わせて、様々なメディアにも取材いただき、オープンから地元の方を中心に非常に多くのお客さまにお越しいただきました。開業から数ヶ月は、新型コロナ対策で整理券も配布。夏休みの時期などは、最大で3時間待ちになることもありました。
また当社の他の店舗と比較すると、若い層のお客さんも多く来店頂き、既存店舗とは違う層が集まりました。おやきに合わせてブレンドしたコーヒーとの食べ合わせなど、今まで体験したことのないおやきの体験を楽しんで頂いています。
まだまだおやきの可能性は芽吹いたばかり
お土産として、おやきのステッカーや手ぬぐいなど、地元のクリエイターとコラボレーションしたグッズも製作。好評を頂いています。
開業から1年経ち、製造・販売含めて余裕が出てきました。ここからが本番です。1年で最大で300万個のおやきを製造できる設備があります。特に、ECでの販売を軸に、長野の郷土食から「日本の日常食」にしていきます。
おやきの新たな魅力の発信、また日常食にするためのチャレンジをしていく施設として「OYAKI FARM」を育ていく予定です。
今後の展開にご期待ください。
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