関東大震災から100年。有事にお客様の資産を守る最長35年、建物の建て替えや補修を保証する「地震あんしん保証」はなぜ実現できたのか。「創業60周年。感謝と挑戦を胸に」災害に強い家づくり①
今からちょうど100年前の1923年9月1日に発生した関東大震災は南関東を中心に死者・行方不明者が10万人を超える未曽有の大災害となりました。生命や財産を守るためには、災害による被害を防ぐための「防災」、そして万一起きてからでも被害を最小限に抑える「減災」の両面から取り組みが求められます。なかでも重要なのが、ふだん私たちが暮らす住まいの備えです。「災害に強い家づくり」3回シリーズの1回目は、万一の時の建て替えや改修にかかる費用を35 年間保証するパナソニック ホームズの「地震あんしん保証」について紹介します。
パナソニック ホームズでは地震の揺れで万が一、建物が全壊・半壊した場合も、責任をもって建て替え・補修を保証する「地震あんしん保証」を開発し、2020 年4月から当社の低層戸建・集合住宅(制震鉄骨軸組構造〔HS構法〕・大型パネル構造〔F構法〕)に標準採用※しました。さらに、2023年4月以降契約の低層戸建・賃貸住宅については保証期間を35年に延長しました。累計で約15,000棟の受注をいただいた同保証サービスはどのようにして生まれ、なぜこれだけの保証が可能になったのでしょうか。開発に当たった、商品企画室 戸建事業商品企画課 課長の北郷 進也(ほんごう しんや)に話を聞きました。
※保証の適用には条件があります。https://homes.panasonic.com/sumai/support/jishin-hosho/
「安全」に対する信念を裏付ける技術で「倒壊ゼロ」の実績
「地震あんしん保証」の特長は、「最大5,000万円までの建て替えを保証」「全壊はもちろん、半壊(20%超の損壊)まで保証」「過去の大地震を超える揺れまで保証」の3つです。住宅会社の品質保証として思い切った保証内容を実現させた背景にあるのが、当社のこれまでの防災に対する取り組みと、それを裏付ける実績です。
当社は、創業者松下 幸之助が提唱した「良家」の住まいづくりの理念に基づき、自然災害から家族を守り、安心して暮らせる住宅づくりを進めてきました。実際の住宅を用いた数々の実証実験(1962年の台風の通り道として知られる和歌山県串本町 潮岬での風害・塩害実験、1969年の工場敷地内での大規模な火災実験、2005年の振動実験、2011年の実験施設の限界まで行った振動実験)に加え、あらゆる気象条件を人工的に再現する「住宅試験センター」での性能試験により、性能向上や品質改善を積み重ねています。こうした取り組みは、毎日の暮らしだけでなく、万一の場合にも安心が続く“災害に強い家”をご提供したいという企業の責務の現れと言えます。
昭和42年(1967年)当時の当社広告
そして、耐震性の裏付けとしては、パナソニック ホームズの住宅は、1995年以降に3度起きた最大震度7の大地震(阪神・淡路大震災、東日本大震災、熊本地震)で被災した計17万7,177棟のうち、倒壊した住宅は0棟(当社調べ)という実績を挙げることができます。2016年の熊本地震の場合にはわずか28時間の間に最大震度7が2度起きています。今や1度の大地震に備えるだけでは不十分であり、本震や余震など繰り返す地震まで想定する必要があります。当社の住宅には、歪みさえも抑えるために超高層ビルで使用される「座屈拘束技術」を採用するなど、地震に強い家づくりを行っています。
※当社制震鉄骨軸組構造(HS構法)で採用
「どうすれば安心が得られるのか」を考え、「保証」に行き着く
では、一般生活者は住宅購入に際して何を重視しているのでしょうか。当社では、2010年からハウスメーカー選定時に重視するポイントについて毎年、購入を考えておられるお客様へのアンケートを実施しています。それによると「耐震性に優れる」「長年安心して住める」が、毎年上位にランクインしています。また、2023年3月、住宅購入検討層に対して「住宅性能のうちあなたが最も重視すること」を尋ねた調査では、46.3%のお客様が「耐震性」と回答し、「断熱性」(13.0%)、「省エネ」(8.7%)などを引き離して、地震に対する強さに最も関心を寄せていることがわかりました。
※当社調べ 住宅購入意向者700名 2010年より毎年実施
※当社調べ 住宅購入検討層855名。2023年3月実施
このようにパナソニック ホームズでは、「地震が起きたとしても安心して住める」 という変わらぬニーズに対して、高い耐震性能を裏付ける技術力、そして実績について根気よく伝え続けてきました。ただ、ハウスメーカー各社も同様にそれぞれの切り口から「耐震性」をお客様に訴求しており、お客様の正直な思いとしては「どこで建ててもそう大差はない」と考えている実態が浮かび上がってきました。2018年にパナソニックからパナソニック ホームズに出向してきた北郷自身も「着任するまでは、多くのお客様が感じていたのと同じように、私自身も他社との違いを理解できていませんでした」と言います。
北郷をはじめとする戸建事業商品企画課のメンバーは、強さそのものや実績だけでは伝わらない、「安心」をどうすればお客様に感じていただけるのか、お客様視点をふまえた議論を重ねてきました。そしてあるとき「地震に強いということを分かりやすく伝えるなら、いっそのこと保証してしまえばよいのではないか」というアイデアが出されます。
「地震保険」ではカバーしきれない建て替え費用
そのヒントになったのが、お客様が「地震保険」に対して感じている不安でした。度重なる大地震の発生に加え、近い将来高い確率で大地震が発生すると予測されていることもあり、地震保険の付帯率(地震保険は、火災保険の加入者が付帯で付ける保険)は2002年の30%強から、2021年には70%弱にまで増えています。「地震保険の付帯率が年々増加しているなら、大半の消費者は安心されているのではないか」という仮説のもと、パナソニック ホームズでは調査を実施しました。そこで浮かび上がったのは意外な事実でした。
地震保険に関する調査(当社調べ N=117)
地震保険は、万一の地震で建物が倒壊したとしても建て替え費用の50%までしか補償されません。倒壊した住宅を建て直すための資金というよりは、被害にあったときの生活保障の性質を持っているのが地震保険です。調査では「地震で建物が倒壊しても建て替え費用の50%しか保証されない」ことについて実に92%の方が「不安」に感じていることが分かりました。「お客様は“住まいの再建”を望んでおられるのだという実態をつかむことができました。もちろん、当社の建物が倒壊しないという自信は持っているわけですが、お客様にしてみればどうなるか分からないという不安を持たれており、保証があればその不安を埋められるのではないかと考えました」。
東日本大震災を上回る計測震度※までカバー
保証の設計に当たってまず大きなテーマとなったのは、保証の範囲をどこまでにするかということでした。「お客様に本当に安心していただくためには、過去に起きた大地震よりもさらに大きな地震を想定に入れないといけないのではないかと考えました」と北郷は語ります。当社は実際の住宅を用い、過去の大地震を超えるエネルギー量の耐震実験を実施した結果、構造体の交換が必要となるような大きな損傷はなく、パナソニック ホームズの住まいの大地震への強さを実証しています。この耐震実験の計測震度「6.8」までを保証することとしました。これは、阪神・淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)の計測震度(6.6)、熊本地震(2016年)の計測震度(6.7)をも上回る地震まで保証することを意味しています。「0.1はわずかな差のように思えますが、地震の揺れのエネルギーは6.7の1.26倍になります」。建物の強さに自信があるからこそ設定することができたと北郷は言います。
※震度は「計測震度」によって測定されており、計測震度6.5以上はすべて震度7になります。
また、「全壊はもちろん、半壊(20%超の損壊)まで保証」している点も大きな特長です。「半壊というと建物の50%が壊れる被害と思われがちですが、20%の損害でも半壊という判定になります。そこまで保証できるというのは、建物に歪みが少なく、揺れを抑えられる技術があるからこそであり、限界加振の実証実験でも外壁タイルが一つも落ちることがなかったので自信を持っています」と、わずかな損害も生じさせることはないという気概がそこに表れています。
信頼できる品質保証として展開
自然災害に対する補償は保険会社が「保険」として取り扱っています。加えて地震は災害規模が大きいため、国と保険会社が一体になって整備した地震保険があります。当社は地震保険との関係性や保証内容に問題がないかを行政へ確認した上で、保険ではなく品質保証として展開しました。耐震等級3を条件に類似の保証を展開している住宅会社もありますが、耐震等級3は震度6強~7程度の1.5倍の地震力(阪神・淡路大震災や熊本地震クラスの揺れ)に対して、倒壊しないことを目的とした基準であり、過去の大地震を超える計測震度6.8まで保証できる根拠にはなりません。当社はオーナー様へ災害時も、災害後も、安心して暮らせる住まいの提供を目的として根拠のある保証条件を設定しています。そして、様々なリスクを十分に考慮し、万一の際にもお客様が期待されている保証が提供可能であるかが重要だと考えています。
保証条件の設定と検証、行政への確認を経て、2020年4月、「地震あんしん保証」は開始されました。「お客様から非常に多くの反響をいただきました。当社の商品を選ばれた理由をお客様にお聞きしているのですが、従来は、営業担当者の人柄を重視される方が多かったのですが、地震あんしん保証を出して以降は、耐震性が最上位にあがってくるようになりました。また、営業担当者からも、地震あんしん保証が強みとなって受注に結びついているという声をもらい、うれしかったですね」と笑顔を見せる北郷。それを裏付けるように、2020年4月~2023年7月の地震あんしん保証付き住宅の累計受注棟数は約15,000棟にのぼっています。
保証期間を10年から35年に延長
そして2023年4月には、保証期間を10年から35年に延長しました。「当社では住宅の初期保証期間を35年としていることから、地震あんしん保証を導入して以降、お客様から初期保証期間と同じ35年保証してほしいというお声を多くいただいてきました。地震あんしん保証を出してからも各地で大きな地震がありましたが実際に保証が適用されるケースは一度も発生していないこともあり、よりお客様に安心をお届けしたいという思いから35年への延長を決めました」。
関東大震災から今年でちょうど100年。首都直下型地震や南海トラフ地震などの大地震の発生が想定される中で私たちは、地震への備えをさらに強くしていかなければなりません。「まずは、地震あんしん保証をより多くの人に知っていただき、保証がついた住宅を1棟でも増やしていくことが、防災、減災につながると考えています。強さ、安心を届けるための取り組みに終わりはないので、取り組みをさらに進化させていきたいと考えています」と北郷はさらに先を見据えています。
▶地震あんしん保証についてはこちら
▶当社防災特集ページはこちら
次号は、地域の方々とともに進める不燃化プロジェクトについてご紹介します。(2023年9月1日公開予定)
◎パナソニック ホームズ株式会社について
パナソニック ホームズ 創業60周年特設サイト:https://homes.panasonic.com/60th/
商品ページ:https://homes.panasonic.com/
企業情報ページ:https://homes.panasonic.com/company/
公式Twitter:https://twitter.com/panasonic_homes
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ