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今日が、残りの人生の最初の1日。

ウォールポケットがリュックとポンチョに変身。日常使いと防災用を兼ねる「魔法のポケット」の開発ストーリー。我が子への思いから生まれた新商品のアイデアとは。

著者: 株式会社くればぁ

株式会社くればぁは、日常使いと防災用を兼ねる新商品「魔法のポケット」を開発しました。日常時はウォールポケットとして生活に必要な物を入れて使うことができ、災害時にはリュックにして持ち運んだり、防水防寒のポンチョとして使用することができる、3in1の防災便利グッズです。




「魔法のポケット」は、一般社団法人フェーズフリー協会主催の「フェーズフリーアワード2023」のアイデア部門に入選し、8月23日からクラウドファンディング「Makuake」にて先行販売のプロジェクトを開始しました。


●プレスリリース:

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●Makuakeプロジェクトページ:https://www.makuake.com/project/japanclever/



「非日常を、日常に」というフェーズフリー(※)をコンセプトとした「魔法のポケット」。新商品に込めた防災への思いや開発秘話を、社長の石橋に聞きました。

※フェーズフリーとは……身のまわりにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てることができるという考え方。くればぁは、一般社団法人フェーズフリー協会のフェーズフリーアクションパートナー。



2019年より防水シート開発や地域防災など、「守るプロジェクト」を開始

ここ数年、本当に災害が多いですよね。特に集中豪雨やそれによる浸水被害など、水害が多いというのは常々感じていました。


今年6月始めにも台風2号の影響で線状降水帯が発生し、当社のある愛知県東部の豊橋市と豊川市に警戒レベル5の「緊急安全確保」が出されました。とても残念なことに、車の水没によって1人が亡くなりました。


この地域の主要河川である豊川(とよがわ)は度々増水していて、浸水被害も多い地域です。私が子どもの頃にも近くの川が氾濫し、床上浸水は何度も経験していました。今はだいぶ治水は進んでいますが、近年の豪雨災害の頻度や規模を考えると、全国的に水害対策はとても重要です。日本の社会課題の一つとも言えるでしょう。


「魔法のポケット」の以前から、くればぁでは「守るプロジェクト」という取り組みを行っていて、建物や車を守る防水シートの開発・販売や、地域の防災活動などを行っています。プロジェクトを始めたのは、2019年に私が社長になってからですね。


なぜそういう取り組みをしようと思ったかというと、私自身が家族を持ったということが大きなきっかけです。今、3歳と0歳の子どもがいるので、私が守らなきゃいけない存在ができたというのは、気持ちの変化としてはすごく大きかった。

日常使いするものが、災害時にも同じように使えるように

そして、「魔法のポケット」を開発しようと思ったきっかけは、テレビで目にした豪雨被害のニュースでした。被害者の方が出たというニュースを見るとすごく悲しくなります。もっと早く避難所に避難できたら、もしかしたら救えたかもしれない命があったんじゃないかなと思いました。でも、避難所に避難するのって、災害のときには難しいとも思うんです。


例えば、私には小さい子どもがいますが、小さい子を連れて避難所に行くことを考えてみると、全然現実的じゃない。避難所の生活は不便だろうし不安だろうし、ギリギリまで家にいようと考えてしまうだろうなって。


じゃあどうしたらいいのか。避難所でもできる限り普段通りの生活ができるという安心感を得られたら、避難する決断のハードルも少しは下がるかもしれない。また、災害時にさっと判断して行動できるように、日頃から準備ができていることが必要です。


日常の中に非常時を溶け込ませて、災害が起きた時に普段通りの生活ができるようにする。日常使いするものが、災害時にも同じように使える。そんなフェーズフリーの考え方を取り入れて、「魔法のポケット」の開発をしました。


100円ショップのアイテムを集めて試作を始めた

一番最初は、100円ショップでウォールポケットとレインポンチョを買ってきて、製造部のメンバーのところに持って行ったんです。「これとこれをくっつけて、1つにしてほしいんだ。日用品をそのまま持ち出せるし、防雨防寒になるでしょ」って。


「えっ、どういうことですか?」って反応で、みんなポカーンとしていました(笑)


そこから、先ほど話したように、フェーズフリーの考え方を取り入れた防災用品を作りたいという説明をしました。


災害時に持ち出したいものを聞いてみると、お金とか通帳って答えが返ってきました。「でも、それって本当に避難先で使える?」、「メガネとかコンタクトがないと動けないじゃない?」って話していく中で、開発メンバーの方からも、「私なら何いれようかな」「いつも飲んでる薬がないと困る」とかって話が広がっていきました。


「メガネ入れるんなら、メガネケースが入る大きさのポケットがいるよね」、「じゃあ、ウォールポケットのサイズも大中小あった方が使いやすいね」、「レインポンチョにしたときに、ポケットがどこに付いていたら使いやすいかな」という感じにどんどん話が膨らんでいくのを聞いて、私は内心で「よしよし、あとはもう任せよう」って、にやりとしていました(笑)


商品開発って、最初が肝心だと思うんです。誰かに言われたことを、言われた通りに作っていても面白くないですよね。それに、試作品ができる度に、何度も何度も「これでいいですか?」って確認しに来ることになります。


でも、商品のアイデアや使い道が「自分ごと化」すると、自分たちで試行錯誤して開発に取り組みます。アイデアの種は私にありましたが、それをしっかり形にして、生活者のみなさんに受け入れられるものにするのは、製造部メンバーのプロの仕事です。


ひとしきり話が広がったところで、「いつまでに必要ですか?」って私に聞くんです。納期を確認するということは、もう作ることは覚悟したわけですね(笑) 商品のイメージもつかんだようでした。


一度「自分ごと化」したら、メンバーは頭の中でずっと考えが渦巻いている感じです。ものづくりのプロ達なので、蒔かれたアイデアの種は、商品として形にしなくてはいられないんでしょうね。そこから先は勝手に自走していくので、試作第1号が上がってくるのはすごい早いです。



「2 in 1」だったアイデアが「3 in 1」に進化

手にとって使ってみられる試作品ができあがると、実際の利用シーンがもっと具体的にイメージできるようになります。部屋にあるウォールポケットを持ち出すときを考えてみると、ポンチョを着て避難しないといけないのって不便だよなと気づきました。


豪雨の多い地域なので、水害時のことしか考えていなかったことに、この時始めて気づくんです。地震や火事もあるわけです。雨が降っていないのにポンチョを着なきゃいけないのは、全然フェーズフリーじゃないよなって。


そこから、リュックやカバンとして使えるのがいいんじゃないかというアイデアに発展して、「2 in 1」だったアイデアが「3 in 1」に進化しました。うちの子どもはリュックで保育園に登園しているので、リュックタイプなら子どもでも持ち運べるかもしれないとも思いました。子ども連れでの避難時に使いやすいというのも大事です。

そこから先は、製造メンバーが試行錯誤。リュックだけじゃなくて、ボディバッグや肩掛けカバンにしてみてもいいよねという感じで、いろいろなバリエーションを試作しました。「どのタイプが使いやすいのか」「どう改良したらいいのか」という議論の末に最終形にたどり着きました。やはり試作して実物を見ないと、問題点やいい部分は見えてこないですね。


印象的だったことでは、リュックタイプの試作を仕上げた開発メンバーが、「これ、すっごくカワイイです!」って見せにきてくれたんです。そのときはすごく嬉しかったですね。


一番最初にアイデアを話したときは「えーっ」という反応でも、自分達で試行錯誤して作り上げた時に「カワイイ!」っていう言葉が出たのを聞いて、「これは、いけるな」って思いました。誰かに言われて仕方なく作ったとか、自分は気に入ってないものができたっていうのではなくて、作った本人がかわいいって思えるのはすごく大事なことだと思っています。


一般向けの商品の場合は、機能要件をすべて満たしたからといって、世に受け入れられるというわけではありません。生活に馴染むような、愛着を感じられるような雰囲気があった方がよくて、それはクリアしたんだなって感じました。


商品開発をするときに大事なことは、アイデアを自分ごと化するということと、「かわいい」「かっこいい」といった感覚的な良さを感じられることだなと思っています。逆に、アイデアの段階ですごく良いと思っても、試作品ができたときに「あれ、なんか微妙…」ということもあります。


「魔法のポケット」の開発メンバーは求められた要件に応えるだけでなく、プラスアルファを考えて作って、さらに「かわいい」という言葉が出てきました。それを聞いて、今後は私の中に、「みんなのためにも、これは絶対商品化しなきゃ!」っていう使命感が生まれました。



地域での災害対策に貢献できる防災用品の開発を進めたい

日常の中でも災害時を意識した商品というのは、これからも作っていく予定です。また、ずっと取り組んでいる「守るプロジェクト」としては、各家庭での使用だけでなく、自治体や地域での災害対策にも貢献できるような防災用品の拡充に力を入れていきたいと考えています。


例えば、急な災害時にひとりでも多くの人、大切な街を「守る」という視点から、高機能メッシュを素材とする防水シートを開発、販売。全国34都道府県にて、多くの自治体、企業・団体、商店街など、さまざまな業種の皆さまに採用いただいており、8月23日から、リニューアルした「魔法の防水シート」として販売開始しました。他にも最近では、災害用ヘリコプター専用の保管用防水シートを開発、納入し実際の災害時に活躍したとお客様から連絡をいただきました。



新商品を開発するためには、世の中にどのような「困った」があるかに注意を向けて、アイデアの種を見つけていく必要があります。ニュースを見たり、人と会話したり、子育てしたり、日常生活のいろいろな場面にヒントはあると思います。


今は、私が新商品のアイデアを考えることが多いですが、社員全員がそういう発想を持っていけるようにしたいですね。私だけでは限界がありますし、多くの社員からもアイデアや意見が出てくるようなカルチャーをつくっていくことが重要だと思っています。


最初からホームランを打てるわけもないですし、ヒットだって10回に1回とかかもしれません。でも、打席に立たなければ何も起こらないわけです。私自身、ほとんど空振りですが、まずはチャレンジしてみることが大事ですね。


「そこが、くればぁ。」と言ってもらえるような”くればぁ”らしい視点で、社員の力を結集して、いま必要な商品を提案していきたいと思います。



P.S.

「魔法のポケット」の開発メンバー座談会をくればぁ公式noteで公開しています。こちらもぜひご覧ください。

●「できない」とは言わず、まずは作ってみる――くればぁ開発メンバー座談会(https://note.com/cleverjapan/n/n230314bfe096



■愛する家やクルマを水害から守る「魔法の防水シート」


災害から建物や車などを守る防水シートをリニューアルし、新たに「魔法の防水シート」として8月23日より販売開始。建物用と自動車用の2種類のラインナップでデザインが刷新され、ご自宅のドア・窓の大きさや自動車のサイズに合わせてオーダーメイドでご注文可能。


●商品特設サイト:https://japanclever.jp/project/tarpaulin.html

●プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000008834.html




■石橋衣理

大学卒業後に地元の企業に就職して数年勤務し、父(現会長)が代表を務める株式会社くればぁに入社。働きながら通信制の大学で経営とマーケティングを学ぶ。

その後オーストラリア留学を経て、タイで4年ほど海外生活。帰国後、くればぁに戻る。

結婚して子どもを授かった妊娠5か月の時に社長に就任。

現在は、4歳と0歳の二児の母であり社長として、社長業と子育てに全力奮闘中。

経営のモットーであり、育児家事のスタンスは、「パートナーシップ」と「頼り合うこと」。海外生活で感じた「ジェンダー平等」「マイノリティ尊重」の文化や、それを成り立たせる家事育児のアウトソーシングが当然の社会に触れたことで、仕事観・家庭観にも大きく影響を受けた。

地方の中小企業という制約をはねのけ、社内で手が回らないことにも複数の副業人材を活用し、積極的な商品開発やプロモーション活動を実現。

女性が活躍できる職場づくりや経営改革を実践し、「あいち女性輝きカンパニー(愛知県)」「子育て応援企業認定(豊橋市)」「愛知ブランド企業認定(愛知県)」「地域未来率先企業(経済産業省)」「はばたく中小企業(中小企業庁)」などにも認定・選定されている。


■石橋衣理X(旧Twitter)アカウント

くればぁ女社長の仕事。時々プライベート

https://twitter.com/filtermask11

■くればぁ公式note

https://note.com/cleverjapan



■会社概要

・会社名:株式会社くればぁ

・所在地:愛知県豊橋市下地町神田38番地

・代表者:代表取締役社長 石橋衣理

・設立:1989年8月

・事業内容:メッシュフィルターの企画開発、メッシュ加工品の企画・製造・販売、高性能マスクの製造・販売。愛知ブランド企業(2016年)、地域未来牽引企業(2017年)、あいち女性輝きカンパニー(2019年)、はばたく中小企業・小規模事業者300社(2019年)に選定。

・URL:https://www.japanclever.jp/




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