誕生から72年の永谷園「お茶づけ海苔」が新しいカタチへと進化。過去から未来へ繋ぐ永谷園の想いと、お茶づけの新たな価値とは
左から)研究開発担当:石川 / 商品開発担当:栗原
永谷園は、2024年9月9日に「お茶づけ海苔」「さけ茶づけ」のラインナップとして、お湯を注ぐだけで食べられるフリーズドライごはん入りのカップ商品を発売いたします。「あれ?今までもそんな商品あったのでは?」と思われる方も多いはず。それくらい、ありそうでなかった、今の生活に違和感なく溶け込める商品を開発しました。
昨今、食品業界ではロングセラー商品が“新しいカタチ”になって登場するケースが多く見られます。たとえば、缶だったスパイス類が小分けパッケージになったり、ポテトチップスの袋にチャックがついたりなど、“新しいカタチ”にアップデートされた商品が増えてきました。
これらは、ライフスタイルの変化により生活者ニーズが多様化したことや、これまで気づかなかった新しい価値を、新しいものさしではかることができるようになったことが背景にあると考えています。まさに食品業界で、「温故知新」がひそかなブームになっていると言えます。
今回は、カップ入り「お茶づけ海苔」「さけ茶づけ」の開発秘話を、ブランド開発を手掛けたマーケティング本部の商品開発担当栗原と、開発部の研究開発担当石川が語ります。
今回のテーマは、永谷園の「原点回帰」です。
昨今食品業界でもトレンドとなっているロングセラー商品の新しいカタチは、革新と伝統の表裏一体である
<栗原>
永谷園は、ここ数年でレンジだけで生鮮食品を加熱調理して定番のおかずをつくることができる「レンジのススメ」や、その調理法を応用してパスタソースの温めとパスタの茹でが一度にできる、1人前パスタ調理の新しいスタイルを提案した「パキット」など、新しい技術で新しい調理法と味わいに挑戦してきました。
一方で、ロングセラー商品も大切にし続けています。それはこれまでのお客さまと永谷園の絆でもあり、歴史そのものでもあるからです。
時代が移ろうとも、変わらない良さというものはたしかにあり、たとえば「お茶づけ海苔」や「松茸の味お吸いもの」「あさげ」シリーズなどはまさにその代表的な商品です。
そうしたロングセラー商品においても、その核となる「お客様に届けたい真の価値」を大切に残しつつ、新しいカタチを積極的に取り入れる革新的な挑戦が、次世代に繋がる伝統を作ることができると考えています。
今回永谷園の伝統の根源である「お茶づけ海苔」ブランドで新商品を開発するにあたり、まずはお茶づけを通して「お客様に届けたい本来の価値」を改めて見つめなおし、現代のライフスタイルに寄り添う商品とはどうあるべきか、というところから考え始めました。
皆様にとっての「お茶づけ海苔」とは?
<栗原>
お茶づけ海苔は、70年以上に渡りご愛顧いただいており、お陰様で多くの方にその味を知っていただいております。手軽でさらっと食べられる利点から、多くはお酒の後の〆や朝食などで召し上がられています。実際に弊社が2023年12月に実施した調査結果でも、お茶づけのイメージは「手軽」「簡単」が上位となります。
一方でこの調査の中で、我々がはっとさせられたのは、「手軽」「簡便」につづいて、第3位に「ホッとする」というキーワードがあがっていることです。商品スペックとしての手軽さ、簡便さ以外に、食べた際に感じる気持ちに価値を見出していただく方が、私たちが思っているよりも多いことがわかりました。
この結果から、「お茶づけ」は朝昼夜といった時間帯での切り口ではなく、元気になりたい時、ご褒美に、栄養補給したい時、身体を気遣いたい時といった、シーンに紐づいた食動機になっているのではと気づきました。現代の生活者が「ホッとしたい時」の食事として、「お茶づけ」が役に立てるのではないか、という仮説が商品開発のスタートとなりました。
「ホッとする」という感情の正体
<栗原>
では、なぜお茶づけが「ホッとする」のでしょうか。それは、お茶づけを構成する素材にあると考えます。海苔、あられ、抹茶、だし、そしてごはん。これらは日本人の食に古くから使われている食材です。このような、慣れ親しんだ食材の組み合わせだからこそ、どことなく安心感があり、ホッとできるのではないでしょうか。
この食材の組み合わせがあってこそ「ホッとできる」価値が生まれる、と考えています。
次に、「ホッとしたい」時というのはどんな時でしょう。いろいろなシチュエーションがあると思いますが、条件としてはほっとする前に ある程度緊張状態にあると言うことができます。例えば、お客様との商談や、上司になにかを報告するシーンなど、緊張の大小はあれど、現代人には緊張する瞬間は日常的にあると思います。
そうした普段の生活の中にある緊張感から解放されたい時に、お茶づけをもっと選びやすいようにすることが、新商品のコンセプトを考える軸となりました。
そこで一つ課題となるのが、「ごはん」です。普段の生活で緊張する場面は、家で過ごしている時よりも、仕事や学校、スポーツ、発表会等、外で活動している時のほうが多いのではないでしょうか。つまり、外でお茶づけを食べていただくには、ごはんを外に持ち出す必要があります。そこで、弊社で長年研究を続けていたフリーズドライごはんの技術を応用し、カップで食べる持ち運び可能なお茶づけ商品を開発することに至りました。
商品開発のキーワードは「原点回帰」
<栗原>
お茶づけの新商品を開発するにあたりまず最初にしたことは、その歴史を知ることでした。永谷園の社員であれば、もちろんお茶づけのルーツは知っているものの、改めてその軌跡を自分の足で辿ることにしました。
向かった先は京都・宇治田原町にある茶宗明神社。実はここは永谷園の創始者の祖先である永谷宗円が生まれた地。
この永谷宗円は、江戸時代に今の緑茶にあたる煎茶の製法を確立した人物です。当時の庶民が口にしていたお茶はその名の通り茶色で風味も味も良くありませんでした。おいしいお茶をみんなに飲んでもらいたいという想いから、永谷宗円は煎茶を開発しました。この偉業をたたえて、今でも「茶宗明神」として祀られています。
「おいしいものを、多くの人へ。」 そして「そのおいしさで、人々を豊かにしたい。」
一見当たり前のことですが、「食」に携わる者として一番大切しなければならない想いを再確認しました。今回の「新しいお茶づけ」を通して、生活者の方々に寄り添い、おいしさと豊かさを提供したいと決意を固めました。
京都・宇治田原町にある茶宗明神社
<石川>
2つ目の原点回帰としては開発技術の部分です。
最初はすでに商品化をしているフリーズドライのお米と、「お茶づけ海苔」を合体させればいいのでは、と少し楽観視していた部分があったのですが、それだけでは「いつものお茶づけ」を再現することはできませんでした。
そもそも今回の「お茶づけ海苔」の新商品開発で一番難しいポイントは、「すでに味の正解がある」ということ。「今までにないお茶づけ」を新しく開発するのではなく、「あの永谷園のお茶づけ」を再現することが求められます。食べた時に、いつものお茶づけとは違う、と期待を裏切らない品質を作ることは、実はとても高いハードルなのだと改めて気づかされました。
おいしいごはんをフリーズドライで再現するために…実は長い永谷園のフリーズドライの歴史
<石川>
今回、外でお茶づけを食べる商品を開発するにあたり、フリーズドライのお米を使うことは初期段階から決めていました。永谷園では、約30年前からフリーズドライごはんの研究開発を行っており、現在は長期保存可能な防災米等を提供しています。
その先人たちが残してくれた多くの研究成果を頼りに、お茶づけに最適なフリーズドライごはんを試作していきました。しかし、試作を始めてすぐに、その研究成果をそのまま使うことは難しいことに気づきました。なぜなら、これまでのフリーズドライごはんは、早く湯戻りするごはんに重点を置いていましたが、今回のフリーズドライごはんに必要なことは、お茶づけの状態で、ごはんがしっかり粒立っていておいしい、ということなのです。
お茶づけはもちろん、ごはんをおいしく食べられるようなおかずを展開してきた私たちにとって、原点ともいえる「そもそも“おいしいごはん”とはなにか」 に立ち返り、お茶づけ専用のフリーズドライごはんの在り方を模索してまいりました。
フリーズドライごはんの開発において重要なポイントは、お米の品種と炊飯方法の掛け合わせ。
お米の選定は、産地・銘柄別に20種類以上を集め、米の旨味・甘味・食感・形状をチェックし、最終的に国産コシヒカリを選定しました。
しかし、お米が決まっても従来の炊飯方法ではなかなか目指すような食感を実現できず、先人たちの研究ノートも何度も見直しました。
そうした中で、当時はなかった技術かつ、昨今 炊飯器のトレンドでもある「加圧高温炊き製法」を取り入れることに。
これまでの研究開発で、当時ある技術をくまなく試験してくれていたおかげで、大きな回り道をせずにこの製法にたどり着くことができました。
「お茶づけ海苔」誕生から72年、未来へ繋がる新しいお茶づけのカタチ
「お茶づけ」を通して「お客様に届けたい本来の価値」とは?
その価値を提供するための、新しい「お茶づけ」のカタチとは?
永谷園が「食」を通して、人々になにを届けたかったのか?
お茶づけのおいしさを支えている要素とは?
そもそも、「おいしいごはん」とはなにか?
永谷園が未来に繋げたい、「お茶づけ」の在り方とは?
という、数多くの「原点回帰」を経て、「お茶づけ海苔」「さけ茶づけ」の新商品が完成しました。
新しい商品ですが、生活者の皆様に「ああ、これこれ。これが永谷園のお茶づけだよね」と思ってもらえる、これまで味わいに仕上がっております。さらに、フリーズドライごはん入りのカップタイプとなったことで、これまでお茶づけを食べることが難しかった新たなシーンでも召し上がっていただくことができるようになりました。
お仕事の合間など、なにかに熱中して頑張ったあとに、コーヒーブレイクならぬお茶づけブレイクでホッとするひとときをお過ごしいただけると、とてもうれしいです。
永谷園のルーツであり、70年以上大切にしてきた「お茶づけ」を、現代の生活者に寄り添うような“新しいカタチ”に進化させることで、「お茶づけ」そのものだけでなく、永谷園が大切にしてきた想いも、未来に繋ぐことができればと思っています。
行動者ストーリー詳細へ
PR TIMES STORYトップへ