「スキンケア」をテーマに肌の改善事例も。プールを始めとした日本のあらゆる「水」に付加価値つくる、「プールマイスター」誕生の裏側
学校、レジャー、フィットネス。日本全国津々浦々に存在するスイミングプール。日本人なら誰もが一度は入ったことがあるはず。でも、そんなプールの水質について考えたことはあるでしょうか。50m先の壁まで透き通り視界が開けた美しい水もあれば、濁ってしまって数m先までしか見えない水もあります。また、殺菌のための塩素によって、肌がピリピリするという経験をした方も多いかもしれません。
アレルギー体質の方が増加傾向にある現代社会において、老若男女どんな方でも安心して、快適に利用できる「プール」の水質をつくるため誕生した「プールマイスター」。現代人にとって重要な「スキンケア」をテーマに、塩素殺菌による健康トラブルを解消し、肌の改善事例もある次世代の水質環境をつくるそのコンセプトと技術はどのように誕生したのか。その裏側に迫ります。
日本におけるプールの普及と「スイミングカルチャー」の発展
現在の日本では習い事ランキングの上位に常にランクインするスイミング。全国各地に約3,000のスイミングクラブ(水泳指導を実施するフィットネスクラブなどを含む)が存在し、人々の生活に溶け込み、社会インフラの一つにもなっています。これほどまでプールや水泳が身近にあるのは世界中を見渡しても日本だけと言っても過言ではありません。そんなスイミングの歴史は、意外にも1964年の東京オリンピックがきっかけだということをみなさんはご存知でしょうか。
1964年当時、現在のような競泳プールは日本国内ではまだまだ数少なく、選手たちの練習環境も決して恵まれたものではありませんでした。東京オリンピックでは男子4x200mリレーでの銅メダル1つという結果に終わり惨敗を喫した日本水泳。若年層の水泳教育環境の改善策として、代々木オリンピックプール(現在の代々木体育館)にて当時の監督だった村上勝芳氏がスイミングスクール事業の原型となる「代々木スイミングクラブ」を始めます。そして、数年後には日本で初となる民間資本のスイミングクラブ「多摩川スイミングスクール」*1が誕生したのです。
周囲を海に囲まれた海洋国家である日本において、自らの身を守るためのライフスキルとしての水泳。全身運動として子供の発育にも効果的であるとされる水泳。様々な時代背景や要因も重なり、多摩川スイミングスクールは経営的にも成功していきます。これに目を付けた人たちがその経営手法を学び、投資家たちを口説き落とし、スイミングクラブは全国各地に広がっていきました。
現在の日本水泳連盟会長であり1988年ソウル五輪男子100m背泳ぎ金メダリストの鈴木大地氏、2004年アテネ五輪・2008年北京五輪で100m・200m平泳ぎの2種目2連覇を達成した北島康介氏を含め、今日オリンピックなどの国際大会で活躍するスイマーたちも、ほぼ全員がスイミングクラブに通い、そのスキルと力を身につけてきました。習い事として日本社会に定着した「スイミング」は、こうした歴史の中で育まれてきたのです。
©️D&F project/Wataru Ninomiya
日本国内で減少するプールの現実とプール環境による身体への影響
一方で、ここ20~30年間で全国のプール数は著しく減少しています。全国の小・中学校に設置されているプール施設数は1996年から2021年の25年間でなんと約6000カ所減って、約22,000カ所。公営プールも約4割減の3,914カ所なのだそうです。*2
更に義務教育期間における水泳の授業も必修から外れ、コロナ期間中のプール離れも相まって、子供たちが水に触れる機会が減っていることも事実です。これは水泳界としても憂うべき状況ですが、どうしたらプールに足を運ぶ新たな目的が出来るのでしょうか?プールマイスターはそこに目を付けました。
1964年の東京オリンピックをきっかけに登場したスイミングは日本全国に広がり、子どもの習い事としても定着した一方、半世紀以上の時が経ち、時代や社会情勢の変化、現代人の体質の変化、施設の経年劣化など様々な問題や課題を抱えています。
そのひとつとして、近年、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、アレルギー性鼻炎などのアレルギー体質、老人性乾皮症により体への影響を強く感じることが多くなり、プールをやめる方、敬遠される方も増えてきました。厚生労働省のレポートによるとアレルギー体質は増加傾向にあり、今後このようなプール離れは増えてくると予測されます。
ベビースイミングから高齢者のリハビリまであらゆる背景の方々が親しめるプール。体に害のないプール環境はもちろん、肌を良くする、スキンケアできるプール環境をつくることができれば、プールの新たな役割ができて、もっと多くの人たちがプールで健康になれると考えたのです。
スイミングコーチとしての実体験から生まれた「水質づくり」というサービス
実は、スイミングコーチとしてキャリアをスタートした代表の福島大輔自身、コーチ時代に塩素濃度の高いプールでの指導中、呼吸困難に陥るという体験をしました。こうした実体験から、安全に水泳を楽しめる環境づくりへの思いが芽生えます。
アトピー性皮膚炎や乾皮症など、お肌の健康トラブルなどが理由で泳ぐことや友だちに会うことを楽しみにしてる子どもや会員の方々がプールから距離を置かざるを得ないというケースも何度も見てきました。泳ぎたくても泳げない、という状況を打破することもプールマイスターとして水質改善の手法を開発するモチベーションとなりました。
また、福島のケースほどではなくとも、職業病と諦められているようなコーチやスタッフの方々の症例も多く存在しています。
「スイミング指導者としての経験をベースに、水質管理のプロフェッショナルとして、100件以上のプールを見てきた経験をもとに、50年以上が経過した従来の水質管理方法を徹底的に見直してきました。研究機関や薬剤及び機器メーカーと共に研究開発を行い、これまで業界に流通していなかった新たな素材などを活用しながらこの10年間試行錯誤を繰り返しています。」と福島は語ります。
しかし、この事業を始めた当初は、「水に付加価値をつける」水質管理サービスという事業内容に対する理解を得られず、なかなか相手にしてもらうことが出来ず苦労しました。
スイミング業界の課題、お肌の健康トラブルなどの理由でプールに入ることが困難な方々が実在するという課題などを地道に訴え続ける中で、あるスイミングクラブの専務と出会い、少しずつ状況が変わっていきました。
このスイミングクラブでは、特に「塩素による手足の皮膚炎」や「涙道閉塞症」といった従業員の職業病とも言える健康被害で悩まれていました。それなら是非試してみてほしいと訴え、半信半疑ながらモニターしていただくと改善事例が見られたのです。この1店舗での実績をきっかけにプールマイスターの存在を知っていただいたことで、半年の間に同グループ内で14店舗に展開。そこから少しずつ業界内でも認知され、理解が得られるようになり、丸善インテック大阪プール(25mプール)などの公共施設も含め、これまで40箇所を超えるプールやレジャー施設に導入されています。
プールマイスターでは、オペレーション、薬剤、機器を見直し、水質を監修することで、従来のような大規模工事を伴わずに最上級のプール環境を実現。成果として2020年のアンケートで約80%の人が臭いや肌への感覚などで他のプールとの違いを体感している結果が出ており、実際にアトピーが良くなるなど肌が改善したとの声も寄せられています。またオリンピアンにも協力していただきながら、肌や体への影響を気にして普段プールに入れなかった子供への水泳教室を開催することで、子供たちの最高の笑顔と共に保護者の方々からも好評をいただいています。
株式会社D&F project代表取締役「プールマイスター」の福島大輔
©️D&F project/Wataru Ninomiya
プールマイスター監修の「水」の更なる可能性
これまでのプールやレジャー施設、水景で使われる「水」に新たな付加価値をつけることが、プールマイスターがつくる「水」の特徴です。水質管理には多くの浄水機器や薬剤などが用いられますが、パーツごとの確認作業ではなく、これらをトータルで監修することでひとと環境にやさしい水質づくりを行っているのは日本でプールマイスターのみです。化粧品等にも使われる自然由来成分を用いて、アレルギー体質の方が増加傾向にある現代人にとって重要な「スキンケア」をテーマに、世界初となる肌を改善するプールをつくることは最大の付加価値であると自負しています。 また、これまで培われた知識と経験に基づくこの水質監修のノウハウは、どんなプールやレジャー施設、水景にも転用できるという強みもあります。
また、プールマイスターの取り組みと技術はアカデミックな領域でも注目され、名だたる企業と肩を並べ、順天堂大学かゆみ研究センターとの共同研究にも参画しています。さらに「人と環境にやさしい水質づくり」の取り組みは、2022年度グッドデザイン賞を受賞しています。これらの事実からもプールでの健康トラブルは注目すべき社会課題のひとつとして認識されていることがわかり、この課題に対するプールマイスターの取り組み、方法が有効であることが評価されたものと考えています。
今後この取り組みが更に広まることで、一人でも多くの方がプールや水を楽しむことが出来る世界にすべくプールマイスターは研鑽と実践を続けます。
©️D&F project
*1 1967年に設立され、2003年に閉店した日本初の民間スイミングスクール
*2 参照:変わる学校プール、減り続ける公営プール 〜誰のための、何のためのものかを見極めた、計画的な施設整備を〜 (2022.10.12 笹川スポーツ財団)https://www.ssf.or.jp/ssf_eyes/sport_topics/20221012.html
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