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子どもたちの豊かな未来のために 「つみきば」の開発ストーリーとコロナ禍での挑戦

著者: 株式会社トーイングカー・スタジオ

「つみきば」は、子どもたちにとって大切な遊びの時間を良質なものにするために、保育現場から求められて生まれた積み木です。知育玩具開発の豊富な経験とノウハウを持つ、株式会社トーイングカー・スタジオがお届けしています。「つみきば」の開発のきっかけは複数の保育園の園長先生から偶然同じサイズの 積み木を希望する声があったから。保育現場のニーズに応え、上質な積み木を広めたいとの思いで始まった商品開発でしたが、コロナ禍という大きな困難に直面しながらの船出になりました。

このストーリーでは、「つみきば」の開発に至るまでのストーリーと、コロナ禍での挑戦についてご紹介します。



赤ちゃんの頃から心身の発達を促す、シンプルな積み木の開発

弊社は2009年設立の家族経営の小さな会社です。私たちは法人設立以前から長年にわたり、玩具・教材メーカーさんの開発デザインのお手伝いをしてきました。「つみきば」の開発のきっかけは、弊社代表の長男が保育園児だった20年近く前にさかのぼります。私たちがおもちゃ関係の仕事をしていることを知った保育園の先生に、4cmを基尺とするシンプルな積み木が手に入らないか相談されたことが始まりでした。長男は転園しましたが、転園先の保育園でも同じ相談を受けました。シンプルな板状の造形積み木が普及しはじめた頃のことです。

板切れのようなシンプルな積み木は、そのシンプルさゆえに想像力を刺激し、形を見立てる力、つくりたいものを工夫して表現する力を養います。そのため、このタイプの積み木は保育現場で人気となりますが、3歳以下の子が遊ぶには1つのピースが小さく、少し扱いにくいサイズです。知り合いの先生たちによると、こうした造形積み木にトライする前に、もう少し大きいサイズのシンプルな積み木であそび込むことが重要だけど、そんなサイズの積み木は市販されていないとのこと。赤ちゃんのころから手になじむ大きさの積み木で遊び、成長に合わせたサイズの構成玩具に移行していくことで、心身の発達を健やかに促すことができるのです。

私たちは企画書をつくり、取引のあるメーカーさんに0歳から遊べるシンプルな積み木の開発提案をしましたが、そのメーカーさんでは乳児向けアイテムは扱っていないため企画は通らず……。そのうち、長男は保育園を卒園し、この積み木のことは気になりつつも、ずるずる10年近く経った2014年のある日、最初に相談された保育園の園長先生から電話がありました。


弊社代表と長男(保育園時代)


0歳から安全に創造的な遊びができる上質な積み木、保育現場での必要性を実感

その電話の内容は「4cm基尺の積み木がほしい。特注でいいから、作ってもらえないか」というもの。ここから、つみきばの開発が始まったのです。先生たちと相談しながら、決まった積み木のピースの形状は4 x 4 x 2cm の正方形と8 x 4 x 2cm の長方形の2種類のみ。4cmが基本となる、子どもたちにちょうどいい手のひらサイズ。

先生たちは長年子どもたちと接する中で、子どもたち自身が無意識にこのサイズの積み木を集めて遊んでいることに気づいたといいます。だからこそ、創造的な遊びの場にこのサイズの積み木が必要だと感じたのだと。また、0歳から安全に遊べるように、無垢の天然木を無塗装で、しっかり面取りされていることも条件でした。

製造については、ツテを頼ってみつけた岐阜県の木工所さんにこの仕様で依頼し、200ピースを納品することができました。納品時には先生たちにも子どもたちにも喜んでもらえて、今でも遊んでもらっています。そのとき、実感したのは、本当にこの積み木が保育現場で求められていることと、商品化してもっと多くの子どもたちに遊んでもらいたいということでした。

しかし、メーカーや問屋ではない弊社が商品化するには、大きなハードルがありました。弊社の規模では小ロットの受注生産の形を取るしかなく、全国の木工産地の木工所をあたりましたが、その条件で受けてくれる業者はなかなかみつかりません。天然の木を材料とする積み木の場合、継続的に同様の材質のものを供給するには、かなりの量の材料を抱えなければならないからです。供給側にとっては大きなリスクになってしまいます。

無駄なく、森を保全する、サステナブルな積み木づくりへの挑戦

積み木の製造業者探しが3年近くになったころ、ある展示会で出会ったのが株式会社長谷萬・もくラボ事業部でした。長谷萬さんは東京・木場にある創業100年を超える材木商。実は、木場は弊社から歩いて行けるご近所で私たちもよく知る場所でした。

同社のもくラボ事業部では、保育園・幼稚園の園舎の内装木質化や遊具を用いる木育事業にも取り組んでいます。本物の木にふれる体験、木のぬくもりとともにある豊かな暮らしをコンセプトにされており、積み木づくりに協力いただけることになりました。

積み木の材料には、群馬県上野村の木材が使われています。家具や漆器をつくるときに出る端材や、自然の循環サイクルに欠かせない間伐材を用い、無駄なく、森の保全にも役立っています。「つみきば」のピースの色や質感がひとつひとつ異なるのは、こうした理由からです。森の恵みを後世に引き継ぐため、サステナブルな生産体制でお届けできるのが、長谷萬さんの強みです。


上野村の森林風景


コロナ禍におけるクリエイティブな遊びの新提案、積み木から生まれる100のひらめき

その後、積み木の名称を、クリエイティブな遊びの場としての意味と、古くからの材木の街・木場(きば)への敬意を込めて「つみきば」とし、0歳でも持ちやすいキューブ型のピースを加えました。また、「つみきば」には詳しいあそび方ガイドがつきますが、これが商品としての大きな特長となります。商品構成としては、積み木遊びの導入用に5ピースセット、みんなで遊べる100ピースセットをラインアップとし、2019年末、商品化にいたりました。


しかし、その翌春、幼稚園・保育園に営業活動を行おうとしていた矢先、日本でも新型コロナウイルスの流行が始まります。休園する幼保施設が続出、春には緊急事態宣言が出され、園向けの営業活動はできなくなり、保育現場では、感染対策から複数の園児がいっしょに積み木などで遊べなくなりました。私たちとしては100ピースセットを主力に考えていたので、販売計画をゼロから見直す事態となったのです。

私たちには玩具のデザインだけでなく遊び方の提案もできるという強みがあります。それを活かして、この事態を「つみきば」の付加価値を強化するチャンスに変えられないかと考えたのが、子ども一人で遊べる5ピースセットのあそび方ガイドをもっと充実させることでした。

積み木遊びといえば、みんなでたくさんのピースを使って大きなものをつくりあげるのが醍醐味というイメージがあります。もちろん、それも積み木遊びの楽しみ方のひとつですが、一人でも、少ないピース数でも、積み木遊びを無限に広げることはできると、私たちは以前から考えていました。最小限のピース数で何ができるか、何を見立てるか、考えながら遊ぶことで、豊かな想像力や探究心、工夫する力が育ちます。

そこで、せっかくなら、子どもたちの創造力を大きく広げようと、100通りの作例を提案できないかと考えました。高専生になった長男を中心に、一年間、ほぼ毎日積み木の作例づくりに取り組み誕生したのが、あそび方ガイド(冊子)「5ピースのつみきからうまれる100のひらめき」です。

この冊子には、タイトル通り、たった5ピース以下でできる立体と平面の100の作例が収録されています。さらに、積み木遊びをする子どもへの保育者の声がけ例も添えました。この1冊があれば、子ども一人でクリエイティブに積み木遊びができ、保育者の見守りと声がけの負担を減らせます。


コロナ禍を乗り越え、積み木遊びをよりいっそう楽しく、クリエイティブに


感染対策のための規制が続く2021年12月、5ピースセットを主力商品として「保育博」に出展。最小限の5ピースで遊びを広げるというコンセプトは新鮮にとらえられ好評でしたが、その後も緊急事態宣言やまん延防止等重点措置がくり返し発出されます。

幼保施設は感染対策に特に厳しいこともあり、本格的な営業活動ができない中、2022年はブランドサイトやカタログ、PR用の動画などの整備に力を入れました。あわせて、5ピースセットをパーソナルセット、100ピースセットを基本セットに商品名を変更。加えて、プレスリリースの配信やチラシ配布を行い、11月に再度「保育博」に出展するなど広報活動を行うことで、少しずつですが、購入や引き合いをいただくようになってきました。

導入いただいた幼保施設などからは「(パーソナルセットで)一人で集中して遊べる」「あそび方ガイドが保育者の声がけの際に役立つ」「保育者と1対1、または少人数で落ち着いて遊びたいときに最適」などの声を、また、教育の専門家からは「小学校算数の図形学習の下地づくりにつながる」との評価をいただいています。


今年5月のコロナ5類移行後、保育業界では、ようやく本格的な営業活動ができるようになりました。今後は、積み木遊びをよりいっそう楽しくクリエイティブに広げていけるよう、単なる販促活動だけでなく、遊び方の提案をさらに充実させていきたいと考えています。


●つみきばブランドサイト

https://www.tsumikiba.com


●「つみきば」の購入先:

つみきばストア(幼保施設・一般向け)

https://tsumikiba.stores.jp


chibito(一般向け/*商品の仕様が異なります)

https://www.chibito.jp

*親子向け簡易版あそび方ガイドつき

*国産材4種が学べる木育ガイドつき

*樹種レーザー印字タイプあり





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