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インターネットの進行形~古くて新しいイドバタコウギの挑戦

著者: 学校法人武蔵野大学 武蔵野文学館

聞けばちょっと誰かに話したくなる 、武蔵野大学発インターネットラジオ番組「イドバタコウギ」が話題になっているという。4月の開局から1か月で再生回数6万回を達成し、出演していただいた先生からも好評だ。コンセプトは、あくまでもゆるく、あくまでもアカデミックに。各分野の専門家との雑談を通じて、わかりやすくて面白いコウギを聞けばちょっと誰かに話したくなること請け合いだ。

https://www.youtube.com/@idobatakougi_mu/videos

こんな番組制作の中核を担っているのは武蔵野大学の4人の4年生。しかし、彼らはそれぞれが別な顔を持っている。大石さんは昨年行われたむさしの学生小説コンクールの入選者、森貞さんは2019年の俳句甲子園の出場者、伊藤さんは「東京学生映画祭」入選作の監督、そして江端さんは動画編集の熟達者なのだ。こんな多士済々なメンバーをどうまとめたのか。このストーリーでは「イドバタコウギ」開局の経緯や番組制作の裏側についてお伝えする。

大学発インターネットラジオの開局

第5回収録風景(ゲスト:明石修先生)


2022年の秋、武蔵野大学では新しい情報発信活動としてインターネットラジオの開局を検討していた。目的は、卒業後もOBOGのつながりを維持していくためのインターネットラジオ。早速具体化に向けた検討が始まった。


検討を重ねるなかから出てきた以下の3つが、その後も引き継がれ、メインのコンセプトとなってゆく。ここで十分に議論を行いメンバー全員が納得した上で作業を始められたのが大きいとメンバーは語る。

 ①わかりやすい雑談型講義ラジオ

 ②大学発信だからこそできる専門性と正確さ

 ③その先生だからこそ聞ける話を

①のわかりやすい雑談型講義ラジオというのは、つまり、壇上の講師とそれを聞く聴衆と いう関係ではないフラットな関係から生まれるフランクな会話の面白さを伝えるメディアにしたいということ。

②事前の入念なリサーチと専門家の先生によって何度も繰り返される確認など、信頼性には気をつけている。

③専門分野についてだけでなく、先生本人について知ることで、より面白さが増す。出来るだけ先生の著書、資料にあたるようにしている。

綿密な議論の元進められる「イドバタコウギ」の番組制作

第3回収録風景(ゲスト:伊藤羊一先生)


番組制作の進め方について簡単に見てみることにする。

ゲストが決まったのち、収録の6~7週間前に先生とスタッフ全員で集まって放送内容について議論を行う。それまでにパーソナリティ担当の2人はリサーチ結果をもとに台本を作成し、たたき台として提出する。そのたたき台をもとに議論が積みかさねられその後もミーティングの中でブラッシュアップを図り、社会的にも問題のない内容とするため、何度も繰り返し確認を行う。

例えば、第2回の小西聖子先生の回で言うと、専門が犯罪被害者学ということもあって、非常にデリケートな内容を扱うので、専門家ではないパーソナリティがどこまで踏み込んでいいのかなどもこの打ち合わせの中から決まっていった。先生の所属の変遷にあわせて内容をくみたてるとわかりやすいのではないかという意見が出され、台本に反映された。


台本は基本的に収録日の5日前に確定して、先生にお渡しする。ここで先生に最終確認をしていただき当日の収録にのぞむことになる。

編集は3ステップに分けて行う。一人が収録した内容を短くし、一人がテロップ用の文字おこしをし、一人がテロップを入れて整音するというように役割を分けている。編集は次回の制作と並行して進められる。

ショート番組の企画や番組構成の検討。よりリスナーを惹きつける番組を作るための試行錯誤は続く

主たるリスナーは30代から50代の男性という結果を見て、新しく始めたのが、ショートである。もともとのターゲットは共学化以降~現在の中高生。今聞いてくれている層はそのまま本編を聞いていただき、新規を増やそうという意図で新たに作っている。単体で面白いのと同時に本編への引きにもなるもの、を目指している。

現在、ショートの制作は新しく加わった2・3年生が行っている。先輩を見てどう思うか聞いてみると、なんでもこなしてしまって、とにかくすごい、引き継げるかどうか本当に心配だと語っていた。

そして、実は見逃せないのが、noteに掲載されている放送後記である。時間の関係で本編に入らなかった裏話や、メンバーの率直な感想が読める場として、ひそかな人気を呼んでいる。本編が気に入った方なら、必読だ。

https://note.com/idobatakougi_mu/


細かいトラブルは絶えず発生するし、議論もよく行われている。でも、だからこそうまくいっているのではないか、そう感じた。

例えば、この前はこんな議論があった。

番組テンプレートの話である。実際に作ってみれば分かるが、30分の番組などあっという間である。少しでも時間を節約したい。進行上の時間の効率化を考えるなら、番組進行や起承転結のつけ方はある程度固定化しておいた方が、毎回最適なものを一から作るよりもいいのではないかと考えるメンバー、それは手抜きになるから嫌だというメンバー、議論は今も続いている。

謎の仏教宗派から小説の書き方まで、現在、本編7本ショート9本を公開中。

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