結局、分別しても意味がない?取り残された廃プラスチックのリサイクルに挑んだ軌跡。5月30日「ごみゼロの日」に考える、新しい当たり前となる資源循環とは。
サティスファクトリーは、「社会を100年先に繋ぐ 環境問題解決企業」を掲げる廃棄物管理会社。設立28年目、この業界ではなかなか古参です。私たちがお手伝いするのは、ごみの回収方法と処理方法をより良くしていくこと。会社がごみを捨てるときって、すごくお金がかかりますよね。いらないものを捨てるためだけに年に何億円も払っていたり。それでいて、長距離輸送や焼却埋立で環境負荷になっていたり。そこでリサイクルや資源循環がうまく回りだすと、厄介なごみが減って、お財布にも地球にもやさしくなれる。そんな提案を重ねるうちに、脱炭素やサステナビリティのコンサルティングも依頼されるようになりました。
だれもが毎日出すごみを少しでも減らしたい。2020年から始まった資源循環への取り組み
2020年、私たちが開発したのは「ごみから作ったごみ袋」。捨てざるを得なかった廃プラスチックを集めて、形を変えて、もう一度使ってもらう。シンプルで分かりやすい取り組みだからこそ、今では全国15,000事業所に参加いただくまでに広がりました。このストーリーでは、開発担当の渡邊と営業担当の石井が、お客様との対話の中で触れてきた生の声を振り返ります。5月30日「ごみゼロの日」に、ぜひシェアしてください。
分別が壁となって燃やされてしまうごみ、価値ある資源だからこそできることを考えた
その年のはじめ、渡邊はとある物流センターへリサイクルの提案に訪れていました。
「いやー渡邊さん、そんな分別作業は手間がかかりすぎてできないよ」
センター長は、プラスチックのリサイクルが叶わず残念そう。
すぐに提案を切り替え、それらを燃やして処理することになりました。
「またか。本当はリサイクルできるのに、もったいない…」
商談を終えて車を走らせながら、悶々とした想いを巡らせていた渡邊。
捨てられてしまうごみを減らすために、何か出来ることがあるはずなのです。
渡邊は入社時、サティスファクトリーのある考え方に強く共感していました。
それは、〝ごみは不要物ではなく、価値ある資源である〟ということ。
だれよりも環境への熱い気持ちを持っているからこそ、湧き出る悔しさ。
積もった想いは溢れ、会社の歴史に残る大奔走が始まることになったのです。
輸入規制で取り残されるプラスチック、危機感からヒントを求めて情報収集
それから一週間が過ぎたころ、渡邊のもとに一本の電話が入ります。
「プラが急に回収されなくなったんだよ、どうにかしてほしい」
懇意にしてくれている物流倉庫の所長からでした。
サティスファクトリーは顧客に代わって不用な物の回収を手配し、
処理が完了するまでの情報を管理しています。
すぐに買取業者に電話をかけて、状況を確認しました。
「もしかして、輸出規制の影響ですか」
当然、渡邊には心当たりがあったのです。
(水辺に流出する大量のごみ)
さかのぼること2019年、バーゼル条約という国際ルールの改定が採択され、
各国で廃プラスチックの輸出入を規制する動きが広がりました。
その影響で、国外に輸出していた買取業者は回収を停止。
この改定がどこまでインパクトを与えるか、話題も話題でした。
それにしても、こんなにも早く影響が出るとは。
「どこにも運べないから、回収するのをやめたんだよ」
商売ができず意気消沈する買取業者のか細い声を聞きながら、
同様に取り残される廃プラがすぐに激増するだろうと懸念を抱きました。
(回収されたフィルムごみの山)
とりわけ渡邊の頭に浮かんだのは、物流資材のフィルムごみ。
荷崩れ防止のために、段ボールなどをぐるぐるに巻いた後、
ほどかれて大量に捨てられてしまう使い捨ての消耗品です。
もし、これらが回収されなくなったら、あまりにかさばって困ります。
どうにかして国内で再び活用できないか、
渡邊はヒントを求めて情報収集に駆け回りました。
そんな彼の姿を目にして、ひとりの同僚が声をかけたのでした。
「渡邊、ごみ袋だよ」
「...ごみ袋?」
ホンモノの〝廃棄物由来〟にこだわり、廃プラスチックが99%原料の「FUROSHIKI」誕生
ごみ袋は、誰もが毎日使うものであり、再生材を使用した種類も販売されています。
原料にフィルムごみを受け入れてくれる工場は間違いなくあるでしょう。
渡邊は同僚と話し、市場に出回る再生品を徹底的に調査することにしました。
「やけに綺麗だな」
全国の販売会社から取り寄せたサンプルを並べて関心する渡邊。
それらは新品同様に均一な色で、異物一つ感じられませんでした。
パッケージを見ても、どこから調達した原料かはわかりません。
営業に問い合わせると、再生原料の割合は2割前後とのこと。
それは他社から譲り受けた余り物の原料で、新品同様の品質を保ちます。
どうやら日本では「再生材」と言われているものの中に
型落ちなど使用済みではない原料も含まれることがわかりました。
すぐに捨てられてしまう運命を背負ったごみ袋に、
新品の原料が使われるのはあまりにもったいない話です。
この気付きは、渡邊に新たな光をもたらしました。
「うちは、使用済みの廃棄物由来であることにこだわろう」
ごみから作ったごみ袋はこうして生まれました。
(完成した99%再生材ごみ袋)
幸い、私たちにはごみを捨てる側の情報が多く集まっています。
国内の廃棄物管理先の顧客から原料となる廃プラスチックを集めて
資源として再利用するスキームが見えるため環境貢献の値を示すこともできます。
渡邊が駆け抜けた5ヶ月が実を結んで生まれた再生材ごみ袋は、
使用済みの廃プラスチックを99%まで含むことができました。
ごみ袋は大切な資源を包み、その中身が循環することで社会は変わる、
そんな想いを込めて「FUROSHIKI」と名付けられました。
商品価値が伝わらないもどかしさ、それでも立ち止まらず試行錯誤する日々
社内の商品発表会で綺麗な桐箱に入ったFUROSHIKIを見て、
ひときわ目を輝かせたのは営業担当の石井でした。
(お客様と商談を進める石井)
これでお客様の背中を押すことができると、意気揚々と戸を叩いたのは、
普段からお店のごみの管理を任せてもらっている定食屋のおじちゃん。
「これ、ごみから作ったごみ袋なんです!使うだけで環境に貢献できます」
自信満々にサンプルを手渡すと、返ってきた言葉は予想外のものでした。
「分厚いし、色がくすんでるね。しかもなんだか焦げたような臭いがする」
想像していたよりもネガティブな反応に驚き、不安に駆られた石井。
資源循環の一端を体感してほしくて勧めた良い商品なのに、、
価値が届かないもどかしさを感じながらも、足は止めません。
サンプルを抱え、街中の中華料理屋や居酒屋、八百屋へと右往左往。
そうしてたどり着いたのは、一軒のコンビニでした。
いつものように店長さんと会話する中で、迷いながらもFUROSHIKIを差し出すと
なぜだか店長の顔は嬉しそうに見えました。
「おおー!分厚いね」
またか…と思ったところ、一転。
「これまで生ごみの液漏れを防ぐために3枚重ねていたけど、1枚で済みそうだね」
この意外な反応が石井の営業活動にプラスな変化をもたらします。
確かめる思いで、次もコンビニを訪ねてみたところ、同じ反応を得るばかりか、
さらには、今使っているごみ袋より安いことがわかりました。
「どうやったら注文できる?」
これが念願、とうとう1箱目の受注です。
視点の転換「廃プラはごみじゃない、資源だ。」
石井の頭の中には、ポジティブな言葉が次々と紡がれていきました。
色のくすみやにおいも、使用済みの廃プラスチックを活用している、
本物のごみから作られている証であります。
環境貢献にも納得してほしい、ごみが資源であることを実感してほしい、
そんな想いを巡らせて、真っすぐに伝えたい気持ちに溢れます。
「ごみ袋って、捨てるために作られた製品ですよね」
「捨てるだけのごみ袋に、新しい素材を使う必要はありますか?」
このような語りかけに手応えを得はじめていた頃でした。
「自分たちが本当に環境貢献しているのか、実感が湧かないんだよね」
FUROSHIKIをいくつかの店舗で使ってくれている
チェーン店の本部の方がぽろっとこぼした一言でした。
FUROSHIKIの強みの一つは、CO2排出削減量を明確に算出できること。
言葉では伝えていたけれど、もっとわかりやすく示すことはできないか。
悶々と考えながらリサーチしていると、ある書面が目に留まりました。
「CO2排出削減証明書」
それは、再生材商品の購買によってどれだけの焼却処理を回避できたか、
お客様ごとに一定期間の環境貢献値をCO2排出削減量で示すものでした。
すぐに、企業や施設毎にこの証明書の発行を開始したところ、
環境への姿勢を示す外部発信や、社内啓蒙に活用いただく機会が増えました。
ごみ袋を買うのではなく、コンセプトを買う。
そんな捉え方が生まれ、さらなる販売拡大の契機を迎えたFUROSHIKI。
環境貢献を手に取れるツールを携え、石井は次々と契約を結びました。
FUROSHIKIは、相手にとって当たり前だった感覚を捉え直す機会となります。
ごみ袋を使う場所は、飲食店に限らず業種業態を問いません。
コンビニから医療機関、教育機関、金融機関など営業の幅を広げ、
ひと箱、またひと箱と、FUROSHIKIの縁を繋げていったのでした。
そんなある日、石井がFUROSHIKIを受注した食品メーカーの
サステナビリティ担当者から新たな相談が舞い込みます。
「いつも焼却してしまっている他の廃棄物もリサイクルできませんか?」
「FUROSHIKIのように”出口”が明確な活用方法を見つけたいんです」
たかがごみ袋、されどごみ袋。
FUROSHIKIをきっかけに、捨てているものを改めて見つめ直す。
これこそサティスファクトリーが目指す資源循環の輪の描き方でした。
全国に広がる共感の輪。誇りと熱意を胸に、100年先に繋ぐことを使命に
渡邊と石井、さらにそれにつづく者たちの奮闘の末、
FUROSHIKIは販売開始4年で全国15,000事業所に変化をもたらしました。
視点の転換は共感を生み、一社が次の一社を呼び、輪を急速に広げます。
石井は、誇らしく語ります。
「自分でも本当に良い商品だと思っているので、伝道師になれて嬉しい」
渡邊は、今も熱意を絶やしません。
「ごみ袋を売りたい訳ではない。引続き〝すぐ始められる〟仕組みを創り続ける」
これからも社会を100年先に繋ぐことを使命に掲げながら、
サティスファクトリーがごみを価値ある資源に変える挑戦は続きます。
(関連情報)
・99%再生材ごみ袋「FUROSHIKI」(https://www.sfinter.com/furoshiki/)
・CO2 5000t削減プロジェクト(https://www.sfinter.com/co2-5000t/)
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