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ストーリーの著者は、読者でもあります

フィンランドの文化に接して感じた日本の課題。職業教育の発展に寄与する、専門職に特化した職業教育・就職指導プラットフォーム「CareerMap」開発に込めた想いとは

著者: 株式会社グッドニュース

株式会社グッドニュースは、専門職に特化した職業教育・就職指導プラットフォーム「CareerMap」を開発・運営しています。


世界でもトップクラスの教育で注目されるフィンランドでは、職業教育にも力を入れています。先日フィンランドを視察した代表取締役 杉岡氏と、2023年10月に入社し現在フィンランド在住の社員 ラトヴァラ氏が、フィンランドの職業教育について語り合いました。

このストーリーでは、フィンランドの職業教育のゴールや文化の違いを通して感じた、日本の職業教育の課題。そして職業教育の発展に寄与する、専門職に特化した職業教育・就職指導プラットフォーム「CareerMap」開発に込めた想いについて紹介します。

〜対談本編〜 


杉岡 充敏 (すぎおか みつとし)

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グッドニュース代表取締役。2006年10月にグッドニュースを設立し、2015年に「CareerMap」を開発・公式リリース。





ラトヴァラ紗織(さおり)

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事業企画Div. プロダクトデザインチーム所属。フィンランド在住。2023年10月 グッドニュース入社。UI/UXデザインなどのプロダクトデザイン職を担当。


学生1人ひとりの個性を尊重する。日本よりフレキシブルで自由なフィンランドの教育制度

ラトヴァラさんはフィンランドの専門学校を卒業してすぐ、グッドニュースに入社していただきました。まずはフィンランドの教育制度を簡単にご紹介いただけますか。


ラトヴァラ: フィンランドの子どもは小中学校で9年間学んだ後、アカデミックコース(普通高校)か職業訓練コース(専門学校)のどちらかを選択します。ここで2~4年学び、その後は大学や社会に出る進路に進みます。フィンランドでは18歳までが義務教育となっていて小学校から大学まで学費が無料です。その中にはもちろん専門学校も含まれています。日本と比べると、国民の教育制度の中で職業に関する存在感が大きいですね。


杉岡: そちらでは小中学校を卒業すると、約50%の生徒が専門学校に進むと聞きましたが、実際はどうですか。


ラトヴァラ: 将来就きたい仕事をイメージしている学生は、専門学校に進学します。中には「とりあえずきた」という人もいましたけど(笑) 


杉岡: フィンランド視察では専門学校のひとつ「オムニア」を見学し、そのスケールの大きさに驚きました。オムニアで素晴らしいと思ったのは、進路変更の自由度です。選んだ学科が「ちょっと違うな」と思っても、同じ学校内で転科が可能。しかも各科に共通する一般教養やアントレプレナーシップなどの単位(クレジット)はそのまま持っていけます。教育において「誰一人取り残さない」というスローガンを掲げているだけあって、学生1人ひとりの個性を尊重する制度になっていると思いました。


ラトヴァラ: 私が通った専門学校でも、教育や看護などの学科から、デザイン系の学科に移ってきた人がいました。進路変更の自由度はたしかに高いです。別の専門学校に移っても、途中で辞めてもまた戻っても、それまで履修した単位を引き継ぐことができます。


杉岡: 日本に比べると、学年の概念も薄いですよね。フィンランドの学校は、必要な単位を取ればいつでも卒業できる。普通高校を卒業してから専門学校に入る人、専門学校から大学に行く人も多いと聞きました。


ラトヴァラ: そうなんです。大学には実務的なことを学ぶところと、学術的なことを学ぶところの2種類がありますが、専門学校から大学に行く場合は前者が多いですね。こちらでは普通高校を卒業しなくても、試験に合格すれば大学に入れます。


杉岡: 学び方が日本よりかなりフレキシブルで自由ですよね。しかも「勉強ができる=偉い」ではなく、普通高校と専門学校、双方の生徒がお互いを尊敬し合っているのを感じました。


ラトヴァラ: フィンランドは人口が少ないため、国民一人一人の価値を少しでも高めたいという希望が見えます。その一環として、国民の学費の無料と、いつでも学びの場に戻れる制度というものが整っているのかと。ただ、確かに「勉強ができる=偉い」ではなく、それぞれの特性やスキルに合った職業に就くことがより重視されているように感じます。日本のように「みんなが大学に行くから自分も」という風潮はほとんどないと思います。


フィンランドでは教師の職が人気。先生の裁量が大きく、教え方が画一化されていない

杉岡: オムニアに入学して、どんなことを感じました?


ラトヴァラ: 印象的だったのは、同じ教科でも先生によって授業のやり方が違うことですね。日本のように教え方が画一化されていないので、「この教科は〇〇先生がわかりやすい」など、学生によって受け取り方が全然違うこともあります。


杉岡: 先生の裁量が大きいのは、フィンランドが進めてきた教育改革の一環なのかもしれませんね。私が見学した学校は、職員室が自由で驚きました。日本のように堅苦しくなく、お洒落なカフェのような雰囲気なんですよ。そこにいる先生方もゆったりしていて、心の余裕を感じました。フィンランドで教師の職は人気だそうですね。企業の社長を務める人が「これからは社会貢献をしたい」と教師になったり、仕事と教職をダブルでこなしたりするケースがあると聞きました。


ラトヴァラ: 日本だと専門学校や大学を卒業したら就職するのが当たり前ですが、こちらでは学びたいことがあれば何歳でも学生でいられます。実際に、私自身が移民として30代半ばで学校に入学しましたし、今まで一度も就職したことがなく、ずっと色々な機関で学び続けているという同じ年齢のフィンランド人の方もいらっしゃいました。日本より就職に対するプレッシャーは少なく、縁があれば就職できると考えている人が多い印象ですね。

フィンランド語を母語としない私のような外国人は、ほかの学校よりも専門学校を卒業した方が就職しやすいのではと思います。専門学校では、仕事に必要な知識や技術をしっかり学べますから。フィンランド人はもちろん、EU圏からの移民、及び特定の条件下におけるEU外からのフィンランド在住移民は学費が無料であり、学生手当なども支給されるので、移民の人達は「フィンランドは勉強しながらお金がもらえる」と驚いています。


↑フィンランドの学食で出るヘラジカパイ

学生の希望に沿って作成される、充実のインターンシッププログラム

杉岡: 専門学校では単位取得にインターンシップが必須ということで、どの学科もインターンシップは充実していますよね。オムニアでは、企業の人事担当者が先生と協力しながら様々なプログラムを創っていると伺いました。受け入れ企業と学校の距離が近く、両者が学生の成長にコミットしていることを強く感じました。


ラトヴァラ: たしかにそうですね。私はフィンランドの会社で2回インターンシップを体験しましたが、まず「何をやりたい?」と希望を聞かれ、それに合わせてプログラムが組まれました。


杉岡: それは手厚い。インターンシップの費用(渡航費、宿泊費など)も学校に負担してもらえるんですよね。受け入れ先には海外企業もあると聞きましたが…。


ラトヴァラ: ええ。海外でのインターンシップを希望する場合、学校にいる専門の職員に相談します。私は日本の企業でもインターンシップを受けたので、費用は高めだったと思いますが、EU加盟国間の人材養成と人物交流・協力を高める「エラスムス計画」が主催するErasmus+(エラスムス・プラス)からの支援を受けることができました。


杉岡: そういえばフィンランドの企業では、入社後の企業研修がほとんどないんですよね。


ラトヴァラ: そうなんです。日本だと入社後に3か月~1年ほど企業研修を受けるケースが多いと思いますが、フィンランドにはありません。入社したら自分で仕事に必要なことを学んでいかなくてはなりません。


杉岡: 日本の企業研修にあたるものを、専門学校が担っているんですよね。入社したら1日目から職場に貢献できる教育がされている。卒業生が、初日から自信を持って働けるのはすごく良いですね。


ラトヴァラ: たしかにオムニアでは即戦力として働ける教育を目指しています。とはいえ、個々の企業が求める習熟度に完全にフィットしているかといわれると、そうではないケースもありそうです。個性が尊重される代わりに、自立を求められるフィンランドでは、仕事においても自分の力で切り開いていく場面が多いです。


産学の連携浅く、相互理解が足りない。フィンランドの文化に接して見えてきた日本の課題

杉岡: 今回のフィンランド視察を通して、日本とは違う文化を感じました。そのひとつは「自立の促進」です。日本の企業では社員が互いに競争しながら切磋琢磨し、自分を高めようとします。しかしフィンランドでは、比較対象はあくまでも過去の自分。周りと自分を比べて悩んだり落ち込んだりすることはあまりなく、自分史上、今が最高であれば良しとしません?


ラトヴァラ: わかります。私の夫も私が仕事で悩んでいると、「君ががんばっているならそれでいいじゃないか」といってくれます(笑)


杉岡: 日本と比べてフィンランドで国民の幸福度が高いのは、その辺りに理由がありそうですね。自分にプレッシャーを与えて自らの可能性を追求し、次の世代に何かを残そうとするような人とはフィンランドでは出会いませんでした。


ラトヴァラ: 文化の違いに接すると、日本の課題も見えてきますよね。


杉岡: そうなんですよ。フィンランドに比べると、日本は職業教育における産学の連携が浅いと感じました。日本の専門学校で先生が教える内容が、もっと仕事の現場に即したものになるといいんですけどね。専門学校で卒業した学生が職場で活躍できるように、学校と企業が一緒に考え協力する場面が増えてほしいと思いました。


ラトヴァラ: たしかに日本では学校と職場がはっきりと分かれ、両者の相互理解が足りないように感じます。職場に送る人材を育成する場として、もっと距離が近くなってもいいですよね。


杉岡: ええ。フィンランドでは、職業教育のゴールは納税者をつくることで、国民が働くのはフィンランドという会社経営に参画するようなイメージですよね。社会に必要な職業の人材を育成することで、国を守っていくという意志を強く感じました。日本と比べるとフィンランドは人口が少ないですが、日本が学ぶべき点はたくさんあります。


夢や希望を持って職業教育機関へ進学する道をスタンダードに


日本の未来に必要不可欠な多くの専門職。しかしこれまでご紹介してきたように、日本にはそもそも職業教育における産学連携不足をはじめ、様々な課題があること。また職業教育を受けて専門職を目指す学生の少なさが、日本全体の社会問題となっています。

「夢や希望を持って専門学校や専門職大学といった職業教育機関へ進学する道をスタンダードにすることで、職業教育の発展に貢献できるのではないか」という思いが、「CareerMap」の生まれた原点。CareerMapでは興味を感じる職業から逆算し、高校生が進路を選択できます。

CareerMapは専門学校の職業教育や就職指導をDXするシステムであると同時に、企業が専門職を採用するために欠かせないツールでもあります。学校と企業が連携して日本の職業教育を発展させるために必要不可欠な「キャリアデータプラットフォーム」として活用いただけるよう、これからもCareerMapの運営に取り組んでいきます。

利用事例~CareerMapを利用している学生&先生の声をご紹介~

【学生の声】

・知らない企業からのオファーだったのですが、私の履歴書をしっかりと確認しての内容だったのですぐに承諾しました。

・初めはなかなか就活を始める勇気がなく行動できなかったのですが、もらったオファーからすぐに内定を獲得することができました。


【留学生の声】

・大卒向け媒体における留学生対象求人は、基本的に大卒を対象にしているため応募不可などが多い中、CareerMapにおいては自分に合う求人を探すことができた。

・求人にも学生の情報にも先生が目を通せるので、色々な点で安心できる。(学生・企業の動きをある程度制御できる)


【先生の声】

・ある学生で、これまで視野に入れていなかった会社からオファーが届き、見学に行ってみたところ、思いのほか学生にあっている会社で好印象だったようで、そこから選考に進み、内定獲得、就職をすることができたようです。オファーがあったからこそつくれたご縁だったかと思います。学生には、CareerMapは専門学生を採用したい企業を検索できたり、オファーをもらえるアプリ、と広報していて、特にオファーで就職する事例が増えてきているので、しっかり履歴書を作り込んでオファーをもらう機会を広げなさいと広報しています。

・大卒向けサイトだと、ユーザー登録をするだけでも「当てはまる学校の分野がない」「選択肢の中に自分の属するものがない」など大変で時間がかかるが、CareerMap は専門職に特化しているのでその点はスムーズ。

・大卒向けの媒体では、専門学生向けの求人かどうかがわかりにくい点も合ったがCareerMapではそもそも専門学校に向けて提出しているのでその心配はなかった。


◾️CareerMap(キャリアマップ)について



専門職に特化した職業教育・就職指導プラットフォーム 「CareerMap」

学校へは就職指導DXツールとして、企業へは採用DXツールとしてサービスを提供。

学生は、業界に特化した職業学習コンテンツの閲覧・視聴、学校求人の検索や応募が可能な”産学連携”のプラットフォーム。




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学校向けHP : https://biz.careermap.jp/for-school/

企業向けHP : https://biz.careermap.jp/for-business/

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